アウトソーシングと派遣はどう違う?メリットや注意点などを解説2021.05.19

アウトソーシングと派遣の違い

社内のリソースがない、コア業務が圧迫されていることなどを理由に、アウトソーシングや派遣の活用を検討しているものの、それぞれの違いが今ひとつ理解できないという方は多いのではないでしょうか。アウトソーシングと派遣には、雇用契約や対価など、さまざまな違いがあります。自社にとって、どちらを選ぶべきか適切に判断するためにも、両者の違いを確認しておきましょう。
また、アウトソーシングはメリットが多い手法ですが、いくつかの注意点もあります。ここでは、アウトソーシングと派遣の違いを解説すると共に、アウトソーシングのメリットや注意点をご紹介します。外部に業務を委託することを検討している方は、参考にしてみてください。

アウトソーシングとは何か

アウトソーシングは、外部委託と同じ意味の言葉です。
アウトソーシング(outsourcing)とは、会社の外部から人やサービスを調達することです。従来は、備品や材料の調達も含めてアウトソーシングと呼んでいましたが、近年では人やサービスを調達する場合にのみ使用されています。

アウトソーシングの種類

アウトソーシングは、BPO・AMO・ITO・KPOの4種類に分類されます。この中でも近年注目されているのが、アウトソーシングの1つである「BPO」です。

<BPO>

BPOは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略称で、企業のある業務を一括して外部業者に委託することを指します。従来は、部門の中でも一部の業務を外部業者に委託することが一般的でしたが、BPOでは部門丸ごと外部業者に委託します。
その結果、委託した部門を社内に設置する必要がなくなり、コア業務への集中やコスト削減など、さまざまなメリットを得られるのです。BPO以外のアウトソーシングの種類についても、確認しておきましょう。

<AMO>

AMOは「アプリケーション・マネジメント・アウトソーシング」の略称で、企業が使用するソフトウェアや情報システムなどの運用・保守・管理を外部の専門業者に委託することです。社内にシステムエンジニアやプログラマーなどが在籍していなくても、ソフトウェアや情報システムの品質を保ち、適切に運用できるようになります。

<ITO>

ITOは「インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング」の略称で、情報技術および情報システムに関わる業務を外部業者に委託することです。AMOと同じく、社内にシステムエンジニアやプログラマーなどが在籍していなくても、ITOによって情報技術および情報システムに関わる業務を遂行できます。

<KPO>

KPOとは、「ナレッジ・プロセス・アウトソーシング」の略称で、データの収集や加工、分析などの知的業務を外部業者に委託することです。これらの業務に対応できる人材がいない、リソースがない場合は、外部の専門業者に委託することで解決できるでしょう。

アウトソーシングを活用する企業が増えている背景

アウトソーシングを活用する企業が増えている背景には、2つの要因があります。

1つ目の要因は、経営の安定化やさらなる収益アップを目的に、複数の事業の展開を目指す企業が増えてきたことです。
メイン事業の業務をこなしながら、新規事業の準備を進めることは容易ではありません。新規事業にリソースを割きすぎると、メイン事業の売上が低下する恐れがあります。
そこで、メイン事業の業務の質を維持しつつ、新規事業の効率的な展開を図ることを目的に、アウトソーシングが活用されているのです。

アウトソーシングする企業が増えている2つ目の要因は、人材不足です。中小企業庁の資料(※)によると、15~64歳の生産年齢人口は1995年の約8,700万人をピークに減少に転じ、2015年の時点で約7,700万人となりました。2060年には約4,800万人まで減少すると予測されています。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b2_1_2_1.html

企業の数も減少傾向にあるものの、人材の減少幅の方が大きいため、人材の確保に悩まされている企業は少なくありません。同時に、複数事業の展開に伴い業務量が増加したことで、一部業務をアウトソーシングする企業が増えたのです。

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_1.html#:~:text=1%20企業数の変化,-3-1図)。



アウトソーシングと人材派遣の違い

アウトソーシングと人材派遣の違い

外部業者に業務を委託する際は、アウトソーシングと人材派遣のどちらを利用するか迷う方が多いでしょう。アウトソーシングと人材派遣の違いがわからず、どちらを選ぶべきか判断できない方も少なくありません。
そこで、アウトソーシングと人材派遣の違いについて、雇用契約や対価など、さまざまな角度から比較解説します。

雇用契約の違い

アウトソーシングの場合、雇用契約ではなく準委任契約(あるいは委任契約)か請負契約を締結します。準委任契約とは、委任された外部業者が作業に対する責任を持ちます。ただし、作業の管理責任はアウトソーシングをする側にあります。準委任契約は、運用・保守やコンサルタント業務など、成果物の明示が難しい業務に適した契約です。

一方、請負契約は成果物が完成・検収された後に料金が支払われます。経理やシステム開発、クリエイティブ業務など、成果物の明示が可能な業務に適した契約です。 それでは、人材派遣に関しては、どのような契約を締結するのでしょうか。人材派遣では、派遣会社と派遣先企業の間で労働者派遣契約を締結します。そして、雇用契約を締結するのは、派遣会社と派遣労働者です。

業務指示系統の違い

アウトソーシングは、外部の専門業者に対して業務を指示できますが、実際に業務を遂行する労働者に対して直接指示はできません。外部の専門業者が労働者に指示を出す形となります。一方、人材派遣の場合は派遣労働者に対して業務を直接指示できます。

対価の違い

アウトソーシングでは、業務の遂行や成果物に対して対価となる報酬が発生します。一方、人材派遣では派遣労働者の労働に対して報酬が発生するのです。アウトソーシングの場合、報酬が発生する条件を明確に定めておかなければ、トラブルが起こる恐れがあります。

業務を委託できる期間の違い

アウトソーシングの場合、業務を委託する期間に制限はありません。対して人材派遣では、同じ職場・部署では最大3年までしか働けないのです。ただし、部署異動すればカウントがリセットされます。また、無期雇用派遣契約を締結した場合には、3年のルールに縛られることなく契約を継続できます。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングを活用することで、社員のリソースに余裕が生まれ、コア業務に集中できるようになります。アウトソーシングのメリットについて、詳しくみていきましょう。

業務の効率化

1人の社員が複数の業務を抱えている場合、いずれかの業務でトラブルが起きるともう一方の業務にも支障をきたす恐れがあります。また、複数の業務を高いレベルで遂行するには、思考の切り替えも必要です。業務の中でも自社内で遂行しなくても良い業務をアウトソーシングすることで、社員にかかる負担を軽減できます。このような業務効率化によって生産性が高まれば、より少ないコストで多くの利益を生み出せます。
また、重要性が高い業務に集中するために、知識やスキルを求められない業務をアウトソーシングするにも1つの方法です。例えば、経理の中でも一部の業務をアウトソーシングすれば、他の業務の精度が高まることでミスが減る可能性があります。

専門人材による競争力の強化

専門性が求められる業務もアウトソーシングが可能です。
例えば、社員向けの教育や研修などは、その内容で社員の成長率が決まると言っても過言ではありません。教育・研修の専門業者にアウトソーシングし、自社の方針や業務内容などに適した教育・研修が行われることで、自社で行うよりも良い結果になる可能性があります。
また、物作りに特化しているものの優秀な営業担当者がいない会社は、営業代行業者にアウトソーシングすることで、他社に勝つための競争力を強化できます。
専門人材を育成するには、長い年月とノウハウが必要ですが、専門業者にアウトソーシングをすれば、即座に専門人材による競争力の強化を実現できるのです。

コストの削減

専門的な業務を専門業者にアウトソーシングする場合、自社で行うよりもコストを抑えられる可能性があります。
専門業者は、コスト削減のノウハウを持っているほか、効率的に業務を遂行できるため、自社で行うよりも安い報酬で委託できることが多いのです。
また、アウトソーシングを検討する際に、自社と専門業者の違いを比較することで、自社の業務フローの問題点が浮き彫りになり、コスト削減に必要な要素が判明する場合もあります。

組織のスリム化

事業が成長すると共に部署や社員が増え、組織が肥大化するケースが多くみられます。組織が肥大化すると、意思決定のフローが複雑化し、顧客のニーズへの対応が遅れて結果的に売上が落ちる恐れがあります。
そこで、アウトソーシングで工数を削減したり部門を撤去したりすることで、組織をスリム化できるのです。

アウトソーシングを活用すべき業務とは

アウトソーシングすべき業務とは

人材派遣でも、専門的な人材が派遣されることで、アウトソーシングと同じような効果が期待できます。ただし、人材派遣よりもアウトソーシングを活用すべきケースもあります。
それでは、人材派遣ではなくアウトソーシングを選ぶべき業務の特徴について、詳しくみていきましょう。

社内で完結させる必要がない

経理や人事、総務などのバックオフィス業務は、社内で完結させる必要がありません。アウトソーシングを活用することで、より優れた人材の確保や適切な給与計算などのメリットを得られます。
そのほか、コールセンターやアフターメンテナンス業務なども、アウトソーシングに適した業務です。 営業や製造などもアウトソーシングできますが、自社の取り扱い製品・サービスによっては、自社で完結した方がよいでしょう。
例えば、製造に独自技術を用いている、長年にわたり関係を築いてきた取引先が多いといった場合は外部業者に任せると、業務の質が落ちたり成績が悪くなったりする恐れがあります。

コア業務を圧迫している

コア業務を圧迫している業務は、アウトソーシングした方がよいでしょう。例えば、日々の管理・保守業務、クレーム対応、給与計算、プレゼン資料の作成などは、時間的コストがかかりやすくコア業務を圧迫しやすい業務です。
コア業務を圧迫している業務をアウトソーシングすれば、コア業務に注力できるようになります。

自社にリソースがない

新たな事業を展開しようにも、自社にリソースがない場合は、何らかの業務をアウトソーシングすることでリソースを増やせます。新事業の展開は自社内で行い、事業が安定したらアウトソーシングするのも1つの方法です。
なお、どの業務をアウトソーシングするべきかは自社が力を入れたい業務や考え方などで異なります。
また、自社にリソースがない場合、正社員を雇用するのも1つの方法です。しかし、正社員には給与の他にも賞与や福利厚生、研修などにコストがかかります。アウトソーシングであれば、比較的少ないコストで社内のリソースを確保できます。

アウトソーシング利用時の注意事項

アウトソーシングは便利な手法ですが、いくつかの注意点があります。次の注意点を守ったうえで、アウトソーシングを実行しましょう。

アウトソーシングする前の社内準備が必要

業務の一部をアウトソーシングする場合は、事前に業務フローの見直しが必要です。アウトソーシングした結果、業者との連携がうまくいかず、業務が円滑に進まなくなる場合があります。どの業務、部門をアウトソーシングすれば業務効率が高まるのか十分に検討しましょう。

リスクへの対策

業務をアウトソーシングする場合、社内データや顧客データを渡すことになり、個人情報や機密情報が漏洩するリスクを伴います。また、自社の独自技術やノウハウが関連する業務をアウトソーシングする場合は、これらが競合他社に漏洩し、自社の立場が危うくなる恐れもあります。
外部業者は自社と異なる方法で情報を取り扱っている可能性があるため、ルールを事前に決めておくことが大切です。
ただし、アウトソーシングしない場合でも情報漏洩のリスクはあります。情報漏洩を過度に恐れるのではなく、事前に対策をしておくことが重要です。

アウトソーシング業者によってはクオリティが低い可能性もある

外部業者によって、業務遂行能力や知識・スキル・ノウハウなどが異なります。もし、業務遂行レベルが低い業者にアウトソーシングすれば、自社の不利益に繋がる恐れがあります。事前に外部業者の評判や知識・スキルなどをチェックして、安心して委託できる業者を見つけましょう。
また、すでにアウトソーシングを利用している取引先企業に、おすすめの業者を尋ねてみるのも1つの方法です。
ただし、アウトソーシングに対する考え方は企業によって異なるため、必ずしも自社に適した外部業者を紹介してもらえるとは限りません。

料金設定によってはコストが高くなることもある

外部業者への委託費用は、業者によって大きく異なります。料金に対して業務の質が低い業者に委託すると、かえってコストが高くなる恐れがあります。
「料金」と「業務内容・実績」のバランスがとれた業者を選びましょう。また、期間限定でアウトソーシングして、業者の能力を推し量るのも1つの方法です。

アウトソーシングと派遣の違いを理解して上手く活用しよう

アウトソーシングと派遣は、契約や対価、業務を委託できる期間などが異なります。アウトソーシングを活用すれば、コア業務へ注力できるようになると共に、コスト削減も実現できます。
経理や人事、総務などのバックオフィス業務は、積極的にアウトソーシングすべきと言えるでしょう。

経理のアウトソーシングは、税理士法人Bricks&UKにお任せください。請求書発行業務や売掛金管理、振込業務、返済計画表の作成のほか、業務改善や利益率アップ、生産性向上などのコンサルティングも得意としており、お客様からご支持をいただいています。
優秀な人材を確保できない、コア業務を圧迫している、組織をスリム化したいなどの理由でアウトソーシングをご希望の方は、当社までお気軽にご相談ください。

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