経理が人手不足で仕事が回らない!そんな時にすぐ始めたい6つの対策2025.06.30

経理の人手不足に参っている人

「経理担当が急に辞めてしまって仕事が回らない」「求人募集をしても、いい人が見つからない」そんな人手不足の悩みを抱える中小企業は少なくありません。

人手がないからとストップさせるわけにいかないのが、経理業務です。カバーするには従業員に残業をさせたり、社長が自ら経理をしたりしなくてはならず、負担も大きくなりがちです。

この記事では、経理の人手不足で困っているならすぐにでも始めたい6つの対策を紹介します。短期的と中長期的、2つの視点で対策して経理業務を安定させましょう。

この記事は私が監修しました!
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「株式会社Bricks&UKアウトソーシング」 業務コンサルタント

経理の業務設計・運用に優れたコンサルタントが、効率的で正確な業務請負いをお約束します。

中小企業の人手不足、現状はどこまで深刻?

人手不足の深刻さ

多くの企業が頭を抱える人手不足問題。特に中小企業では、求人を募集しても応募が来ない、条件に合う人がいない、というケースが多くなっています。

ここでは、人手不足の実態について把握しておきましょう。

調査結果でみる人手不足の実態

厚生労働省による「労働経済動向調査」によると、人手不足感を抱いている企業はすべての業界で多く、求人を募集しても採用できていない企業の割合は約60%となっています(令和7年2月1日現在)。

商工会議所の調査でも、人手不足であると回答した企業は65.6%、3社に2社が人手不足という厳しい状況です(日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査集計」結果(2024年2月)より)。

人手不足が経理業務に与える影響

人手不足が経理業務に与える影響

定型業務の多いバックオフィスである経理部門には、人手不足のしわ寄せが来がちです。経理の人手不足は、会社に次のような大きな影響を及ぼします。

  • 社員の負担やストレスが増える
  • 業務が属人化する
  • 業務がブラックボックス化する
  • 本業・コア業務に集中できなくなる
  • 法改正への対応が遅れる

それぞれ説明します。

社員の負担やストレスが増える

経理には、期限がある仕事が多いもの。人手不足で1人の負担が増えると、残業や休日出勤をしてでも終わらせねばなりません。

労働時間が増えれば、身体的疲労や精神的ストレスも積み重なって大きくなります。それにより、働くモチベーションが低下、さらに続けば離職にもつながりかねません。

業務が属人化する

人手不足で自分の業務だけに集中する状態では、業務がその人にしかわからない「属人化」になりがちです。属人化すると、当人が病欠や退職などした場合に業務が回らなくなるリスクがあります。

また、他の人からは何をしているのかが見えない「ブラックボックス化」にもなりがちです。

業務がブラックボックス化する

属人化からブラックボックス化してしまうと、もし業務のやり方が間違っていても、誰にも気づかれないリスクがあります。気づいた時には遅く、大きなトラブルに発展することも。

さらに、会社のお金を着服するなど、不正の温床にもなる大きなリスクがあります。

本業・コア業務に集中できなくなる

経営者自身が経理業務を行うと、本来注力すべき経営戦略の構想、新商品の開発、顧客との関係構築などに費やす時間が削られます。これでは、経営に支障をきたす恐れも高まります。

経理担当者であっても、予算管理などのコア業務にかける十分な時間を確保することができません。

法改正への対応が遅れる

経理業務には、多くの法律が関わります。そのため、法律の改正は敏感にキャッチし、その都度適切な対応をする必要があります。

しかし人手不足で日々の業務に追われると、情報収集ができず対応が遅れたり、知識不足で必要性を把握できなかったり。必要だと理解していても、準備に時間が取れない可能性も。

最悪の場合、気づかぬうちにコンプライアンス違反となってしまうリスクがあります。

人手不足解消に必要な2つの視点と6つの対策

人手不足解消に必要な2つの視点と6つの対策

多くのリスクを抱える人手不足の状態を解決するには、どうしたらよいのでしょうか。

本来なら、新規採用で即戦力を迎えるのが理想かもしれません。しかし、どの業界も人手不足な状態であり、適切な人材を雇い入れるのは困難です。また、近年は転職も当たり前の時代となり、「採用してもすぐに辞めてしまう」という声もよく聞かれます。

そんな中でも人手不足をカバーして持続可能な経営をしていくためには、短期・中長期の2つの視点で多角的な対策を取ることが必要です。

【短期的な視点】即効性のある対策

人手不足解消に必要な視点と対策

まずは喫緊の対策として、すぐに始められて早い効果が期待できるのが、次の3つの取り組みです。

  • 業務プロセスの見直し
  • IT化・デジタル化
  • アウトソーシングの活用

それぞれ具体的に見ていきましょう。

業務プロセスの見直し

無理にでも一度まとまった時間を作り、現在の経理業務をすべて洗い出して可視化しましょう。その上で、不要な作業は廃止し、効率のよい流れにします。ポイントは次の3点です。

  • 無駄な作業の廃止
  • 承認フローの簡略化
  • 業務マニュアルの整備・共有

必要ないのに慣習で行っているような業務があれば、この機会に廃止することをおすすめします。形骸化した承認フローがある場合、それを廃止した場合のリスクも考慮した上で簡略化するとよいでしょう。

また、誰もがすべての作業を滞りなく行えるよう、マニュアルを作って共有することも重要です。誰かが休んで業務が滞ったり、特定の人待ちで無駄な時間ができたりしないほか、新たなスタッフの育成にも役立ちます。

こちらは、「いつかやりたい」と思っていても、なかなか手が付けにくい作業かもしれませんね。

漠然と業務を書き出し、無駄な仕事を洗い出すのはとても時間がかかり、骨の折れる作業だと思います。

私からは、まず業務リストではなく、業務フローを書いてみることをおすすめします。
成果物から業務フローを書き出すと、必然的にプロセスも書き出すことになるので、整理がしやすいですよ。
 
当社「Bricks&UKアウトソーシング」では、お客様の業務をヒアリングして、業務フローに落とし込むことも可能です。
やり方がわからなくてなかなか着手できない、という場合もぜひ、ご相談ください。

IT化・デジタル化

業務プロセスを見直したとしても、手作業・手入力が多ければ時間がかかります。ITツールなどを導入し、紙でのアナログな作業をデジタル化すれば、作業時間が大幅に短縮できるほか、ミスや不正の防止にもつながります。ポイントは次の3つです。

  • クラウド型会計ソフトの導入
  • 経費精算システムの導入
  • RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用

これから会計ソフトを導入するなら、特定のパソコンでしか使えないインストール型でなく、どこからでも複数人からアクセス可能なクラウド型の会計ソフトを選びましょう。

領収書の手渡しや入力は、スマホで領収書を撮影して申請できるシステムの導入で大幅に効率化できます。定型かつ大量の入力や繰り返しの多い単純作業には、RPAも検討してください。

世の中にはソフトがあふれかえっていて、「何を使ったらいいかわからない!」という方も多いと思います。

アウトソーシング会社では、業務の必然性に迫られ、とにかくいろいろな種類のソフトを操作します。
使いやすさやコストなども考慮して、お客様にぴったりのソフトをご紹介することもできますよ。

アウトソーシングの活用

社内で人手が足りず、補充もできないなら、外部の代行業者にアウトソーシングするのもおすすめです。経理専門のアウトソーシング会社に依頼すれば、社内で体制を整えるより早く対策でき、効果が出るのも早いでしょう。

もしかしたら、会社のお金や数字を扱う重要な経理をアウトソーシングすることに抵抗があるかもしれません。しかし、定型かつ専門性の高い経理はアウトソーシング向きであり、利用する企業も増えています。

経理のアウトソーシングについては、最後の章「即効性はこれが一番!経理アウトソーシング」でもう少し詳しく説明します。

【中長期的な視点】根本的な対策

人手不足解消に必要な視点と対策

人手不足が続くこれからの時代、持続的な経営を行うには、上で紹介した短期的な対策を取りつつ、次のような中長期的な取り組みで、会社の基盤を強化していくことが必要です。

戦略的・能動的な採用活動

求職者に有利な売り手市場で求める人材を確保するには、待つだけでなく、応募者を集める努力が必要です。

最初に行うべきは、自社が求める人物像、自社に合う人材とはどんな人物かを明確にすること。いくら能力が高くても、合わなければ戦力にならない可能性もあります。

その上で、次の3つのポイントを押さえた採用活動を行いましょう。

  • 自社ブランディングと情報発信
  • 多様な採用チャネル(媒体)の活用
  • 選考プロセスの見直し

自社の強みや魅力を、公式サイトや求人サイト、SNSなどで積極的に発信してください。社風や業務の様子などがわかると、求職者側も応募しやすくなります。「働きやすそう」など、メリットを感じてもらうことが大切です。

求人広告を出す際は、業界専門など「求める人材の目」に留まりやすい媒体を選ぶことも重要です。社員からの紹介(リファラル採用)も、ある程度の信頼が保証されて安心です。求職者に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」の活用もおすすめです。

選考プロセスでは、応募から内定までの日数を短くするなどして、他社に流れるのを防ぎたいもの。複数人による面接、意向の丁寧なヒアリングなどで選考の精度を上げ、ミスマッチを防ぎましょう。

働きやすい環境づくり

人手不足の根本的な解決策

自社の魅力を発信して求職者を集めるには、まず実際に「魅力ある職場」であることが必須です。離職を防ぐには、既存社員にも働きやすさを感じてもらえなくてはなりません。

魅力ある「働きやすい職場」のポイントは、主に次の3つです。

  • 柔軟な勤務が可能な制度
  • 適正な評価制度
  • 良好な人間関係

時差出勤や時短勤務、リモートワークなど、柔軟な働き方を可能にし、家庭と仕事の両立をサポートする制度は、すでに多くの企業で取り入れられています。選択肢が多いほど理解がある会社と見なされ、人も集まりやすくなります。

能力やがんばりを正当に評価することは、離職を防ぐことにつながります。適正な評価ができる体制を作り、社員の定着率を高めることは、組織の安定や強みに直結します。

忙しい中でも、同僚との関係が良好なら、業務上のストレスは多少でも軽減できます。上司との関係も良好であれば、生産性の向上やより良い職場づくりなど、組織全体の成長につながります。

給与・待遇の見直し

優秀な人材を確保し、モチベーションを維持するには、給与や待遇も重要です。次のようなポイントで見直してみてください。

  • 同業他社・地域水準との比較
  • 評価制度との連動
  • 福利厚生の充実

同じ業種・同じエリアの求人は、求職者にとって比較対象となります。同様の募集で自社よりも高い給与や好待遇の企業があれば、そっちへ流れないために合わせるなどする必要もあるでしょう。

適正な評価制度を導入したら、給与や待遇もその評価に合うものでなくてはなりません。もし本人にとって思わしくない評価でも、制度に問題がなく、納得がいく基準や説明があれば、向上意欲につながる可能性もあります。

住宅手当や家族手当、育児や介護と両立するための特別休暇など、福利厚生が充実していると社員の満足度も上がります。独特な制度のある会社も多く、個性を出すことでも魅力は作れます。

即効性はこれが一番!経理アウトソーシング

人手不足の解消はアウトソーシングで解消

人手不足に対抗する短期的なアプローチの中でも、素早い解決とプラスのメリットが大きいのが経理のアウトソーシングです。

最後に、経理業務をアウトソーシングすることの主なメリットを紹介します。有力候補として視野に入れてみてください。

すぐ導入!経理のプロが即戦力に

人手不足の解消にアウトソーシング

新しく経理担当者を雇うとなれば、求人広告の作成・掲載から書類選考、面接、採用まで数カ月単位の時間や労力、コストがかかります。それでも、定着せず早期離職となるケースも。

しかし経理アウトソーシングなら、これらの手間はありません。引き継ぎや情報共有を行えば、経理の専門家が自社の即戦力になってくれます。教育や待遇、定着率に頭を悩ませる必要もありません。

面倒なことは任せて本業・コア業務に集中

経理をアウトソーシングするメリット

経営者自身が経理を担当していたり、本来の業務以外に経理担当を任されていたり、入力や転記などの作業に時間を取られたりしている人にとって、アウトソーシングは大きな助っ人です。

定型的な作業は代行業者に任せてしまえば、自分は資金調達や予算管理、営業や商品開発、経営戦略の立案など、本来注力すべき本業やコア業務に集中することができます。結果として、生産性の向上経営の安定企業の持続的な成長につながるでしょう。

人を雇うよりコストも時間も節約可能

経理をアウトソーシングすることのメリット

正社員を1人雇うには、給与のほか社会保険料、福利厚生費、教育費、備品代や光熱費など、見えなくても大きなコストが必要となります。たとえ繁忙期以外が暇だとしても、削減できるのは残業代くらいかもしれません。

その点アウトソーシングなら、必要な時期だけの利用や、一部業務だけの委託も可能。そのため、無駄な固定コストの削減にもつながります。

外注と同時にIT・デジタル化も可能に

経理をアウトソーシングするメリット

経理部門のIT・デジタル化が進んでいない場合、アウトソーシングの活用で同時に解決することも可能です。

自社で一から始めるには手間も時間もかかりますが、アウトソーシングを利用すれば、ネットバンキングの導入などに必要なサポートが受けられます。

業者が導入・運用している最新の会計ソフトや経費精算システムなどの利用もサービスに含まれるため、設定などの手間が省けます。

常に最新!法改正への対応も心配無用

経理をアウトソーシングするメリット

消費税法の改正や電子帳簿保存法など、近年でも経理に影響する法改正は頻繁に行われています。しかし、常に自社で情報を追いかけ、タイミングを合わせて適切に対処することは、法や税の知識があっても大きな負担でしょう。

経理アウトソーシングなら、常に最新の情報をキャッチし、必要な対処を適切に行ってくれます。対応の遅れや、コンプライアンス違反を心配する必要もありません。

人手不足の経理はアウトソーシングで即解決

人手不足の問題は、今後も続くと予想されます。転職市場も活発になり、苦労して採用し、教育した社員がすぐに退職してしまう可能性も少なくありません。

本業以外でそのような苦労をするより、アウトソーシングで即戦力を得、本業に集中して経営を強化する方が効率的ですし、コストも抑えられます。

当社「Bricks&UKアウトソーシング」では、業務改善のコンサルも行い、最適な形でアウトソーシングを請け負います。人手不足でお困りなら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

今はとにかく人手不足の時代です。
昔に比べて転職が容易になった世の中で、「経理をやっていました」と言う人はたくさんいても、「経理業務の実績をきちんと積んできた人」を探すのはとても難しくなっています。

その点、経理アウトソーシングにはメリットしかありません。たとえば…
・必要な時だけ利用でき、社会保険料などもかからないので、人件費に比べてコストが圧倒的に安い
・退職のリスクがない
・社員に見せたくない情報も、守秘義務契約を伴う外部業者になら安心して委託できる など

当社にご相談いただくお客様のほとんどが、経理担当者が辞めてしまった、あるいは定着しないことをきっかけに、アウトソーシングを検討されています。

社員の時間や能力はぜひ、貴社のコア業務に有効活用していただき、ノンコアな仕事はアウトソーシングする、という選択肢を選んでみてはいかがでしょうか。

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