経理代行をフリーランスに依頼することのメリット・デメリットを解説2024.12.20
ルーティン作業も多いことからアウトソーシングする企業も増えている経理業務。委託先の選択肢の1つに、フリーランスがあります。
ただし、フリーランスの人に経理代行を任せることには、メリットもありますがデメリットも複数あるので注意が必要です。
この記事では、経理代行をフリーランスに任せるメリットとデメリットを解説します。
目次
経理代行に委託できる業務と委託先
まずは、経理代行に委託できる業務と、委託できる業者の種類をおさらいしておきましょう。
委託可能な経理業務
経理業務のうち、次の作業はアウトソーシングで外部業者に委託することができます。
- 記帳
- 経費精算
- 売掛金・買掛金の管理
- 見積書・請求書の発行
- 振込・入出金管理
多くの作業が委託可能ですが、税金に関係する決算書の作成や年末調整などは、税理士資格のある人にしか代行できません。
経理代行を請け負う業者
上記のような作業は、外部に委託可能とはいえ、いずれも会社のお金を扱う重要な業務。そのため、委託先は慎重に選ばなくてはなりません。
経理業務の代行を請け負っているのは、次のような業者です。
- 税理士・税理士法人
- 経理アウトソーシング業者
- フリーランス経理
この記事では、このうちフリーランス経理について掘り下げます。
フリーランス経理とは
「フリーランス」は、企業に雇われない働き方やその人を指す言葉です。この記事では、経理業務に特化したフリーランス、個人で経理業務を専門に請け負う人を「フリーランス経理」と呼びます。
フリーランス経理とはどんな人か
フリーランス経理として働いている人には、次のような人がいます。
- 企業の経理担当を辞めて独立した人
- 副業で経理業務を請け負っている人
- 法人化していない税理士・会計士
いずれにしても、経理の知識と経験を活かしてフリーランスとして働いている人たちです。
フリーランス経理を探す方法
フリーランス経理を探すのには、次のような方法があります。
- クラウドソーシングサービス
- スキルマーケット
- マッチングサービス
- 知り合いなどからの紹介
手軽なのは、「クラウドワークス」「ランサーズ」などのクラウドソーシングサービス、「ココナラ」などのスキルマーケットです。
いずれも、希望の条件で委託相手を募集することもできますし、登録されているワーカーの中から自社の条件に合うフリーランスを探して交渉することもできます。
フリーランスと企業を結ぶマッチングサービスも選択肢の1つではありますが、経理人材は多くないのが現状です。
インターネット経由ではなく、知り合いなどから紹介されるパターンもあります。
経理代行をフリーランスに依頼するメリット
フリーランス経理への依頼には、次のようなメリットがあります。
- 他の委託先より安くできる可能性が高い
- 柔軟な対応をしてもらいやすい
- 実際に作業する人物とやり取りできる
- 担当者が入れ替わることがない
順に説明します。
他の委託先より安くできる可能性が高い
フリーランス経理は、税理士事務所や代行サービス会社よりも安い料金で業務を請け負ってくれる可能性が高いです。
というのも、フリーランス経理の多くが1人ですべての作業を行うので、人件費がかからないからです。作業に大がかりな設備も必要なく、自宅兼オフィスで仕事をしている人も多く、必要経費が少ないことも理由の1つです。
ただし、税理士や会計士の資格を持つ人の場合は、請け負う業務の幅も広く、料金も高い傾向にあります。
また、人件費はかからないのが一般的ですが、中には他のフリーランスに再委託するフリーランスもいます。
柔軟な対応をしてもらいやすい
組織に縛られない分、柔軟な対応をしてもらえる可能性が高いのも、フリーランス経理のメリットです。
個人の裁量で仕事ができるため、臨機応変な対応がしやすく、自社に沿った対応を希望する場合にも交渉しやすいでしょう。
実際に作業する人物とやり取りできる
契約前の時点から、窓口となる別の人ではなく実際に作業してくれる人とやり取りできるのも、フリーランスのメリットです。
メッセージや電話でやり取りすれば、人となりも想像しやすくなって相性の良し悪しも測れ、信頼度も増します。
担当者が入れ替わることがない
担当者が固定なのも、フリーランスと契約するメリットと言えます。組織との契約であれば、担当者が変更になることも珍しくなく、そのたびに説明の手間がかかることも。
担当者の質は業務の質につながるので、選んだ人物が固定で担当してくれるのは安心材料の1つです。
経理代行をフリーランスに依頼するデメリット
メリットがある一方、フリーランス経理への依頼には次のようなデメリットもあるので注意が必要です。
- 能力などの個人差が大きい
- 信頼性や能力を測りにくい
- 対応できる業務量に限りがある
- 連絡が突然途絶えるなどの恐れがある
- 病気などで急に業務不能となる恐れもある
- セキュリティ対策が甘い恐れがある
順に見ていきましょう。
能力などの個人差が大きい
「フリーランス経理」と一口にいっても、経歴やスキルはさまざまです。資格1つ取っても、簿記2級と税理士資格とでは知識に大きな差があります。
実務経験が1年しかない人もいれば、15年以上の人もいますし、仕事に対する姿勢や自己管理能力なども当然異なります。「どの人に頼むか」が成功・失敗を大きく左右します。
信頼性や能力を測りにくい
さまざまな経歴・能力・性質の人がいる中、インターネット経由で適切な人材を見つけるのは簡単ではありません。
資格があるから、経歴が長いからと言って正確な仕事ができるとは限りません。経理はデザイナーなどのように実績を見せるのも難しく、本人が書いたプロフィールをどこまで信用できるかも難しいところです。
対応できる業務量に限りがある
フリーランスは基本1人で作業するため、対応できる業務量も限られます。
一般的に、フリーランスは複数の契約先の業務をかけ持ちしています。そのため、先に依頼があった他社の業務で手一杯となれば、自社の業務が遅れるなど支障が出る恐れもあります。
連絡が突然途絶えるなどの恐れがある
フリーランスにはさまざまな人がいるのは前述の通りですが、優秀な能力を持っていても、責任感が希薄な人、メンタル的に弱い人などの場合、突然連絡が取れなくなるリスクもあります。
特にネット上だけのやり取りの場合、当人と連絡が取れなくなれば、なすすべがなくなり、損害賠償などに発展しかねません。
病気などで急に業務不能となる恐れもある
フリーランスが基本1人であることには、健康面でのリスクもあります。たくさんの業務を1人で抱え、無理をするなどして体調を崩す人も。
代わりがいないため、入院など長期療養が必要となれば大問題です。病状などについて知ることができなければ、契約継続の判断も難しいでしょう。
セキュリティ対策が甘い恐れがある
フリーランス経理として働く場合、企業ほど万全なセキュリティ対策を取ることは難しいもの。当人の危機管理意識が低いと、できる対策も取られていない恐れがあります。
自宅兼オフィスで作業するケースが多いですが、シェアオフィスなどを利用する可能性もあります。経理能力は高くても、情報リテラシーが低ければ高リスクです。
経理代行のフリーランスを選ぶ際のポイント
上記のデメリットを見ると、フリーランスだから良くないというわけではなく、「人によるところが大きい」と言えます。そのため、フリーランス経理に代行を依頼する際は、次のようなポイントを押さえて最適なパートナーを選びましょう。
- 資格や実績を確認する
- ITや情報リテラシーについても確認する
- 何度かコミュニケーションを取ってみる
- 実施しているセキュリティ対策を聞く
- 稼働時間や他社の引受状況を確認する
- 他者からの評価を確認する
- 文書にて契約を交わす
それぞれ説明します。
資格や実績を確認する
まずは経歴などの情報を確認しましょう。どんな資格を持っているか、経理の実務経験が何年あるのか。大企業の場合は分業制が多いので、経理のどの業務を担当していたか。
自社と同じ業種での実務経験があるかどうかも確認しておきたいところです。
ITリテラシーについても確認する
使用するExcelや会計ソフト、各種システムなどが問題なく使えるか、セキュリティについての理解があるかも確認しておきたいポイントです。
経理業務に直結することだけでなく、たとえばパソコンが使えなくなった、ネットが繋がらなくなったなどのトラブルに対応できるかも確認しておくと安心です。
実施しているセキュリティ対策を聞く
セキュリティに関しては、実際に行っている対策を確認しましょう。
「はい・いいえ」で答えられる質問ではなく、「対策として何をしているか」を説明してもらうのがおすすめです。
何度かコミュニケーションを取ってみる
「人」を見るには、コミュニケーションを取るのが一番です。質問や相談をする中で、メッセージや電話での応対、返信スピード、理解度などを確認してください。
「対ひとり」となれば、相性が悪い人も避けたいもの。態度や言葉選びに引っ掛かるところがないかもチェックすべきポイントです。
稼働時間や他社の引受状況を確認する
自社の業務にどれくらいの時間・ウェイトを割いてくれるのかも重要です。
稼働時間や他社からの業務引受状況などを確認し、自社の対応をする余裕の有無も見ておきましょう。
他者からの評価を確認する
クラウドソーシングサービスなどの場合、過去・現在のクライアントからその人に対する評価を見ることができます。必ず確認しましょう。
コメントの内容から、仕事振りを推し量ることもできます。星の数よりコメント内容を重視してください。
契約の際は文書を交わす
委託時は、必ず文書にてフリーランス個人との委託契約、秘密保持契約を交わしましょう。
民法上は、文書でなくても契約は成立します。クラウドソーシングサービスなどの場合、システム上で「契約」ボタンを押せば契約成立。お互いに住所や社名・本名がわからない状態でも仕事ができてしまいます。
便利なシステムではありますが、経理という重要な業務を委託する場合には、情報漏洩時や音信不通となった際などに大きなリスクとなります。
「Bricks&UKアウトソーシング」のすすめ
フリーランス経理への依頼にはメリットもありますが、リスクも大きいのが実状です。
もちろん、責任感が強く優秀なフリーランスもたくさんいます。しかし、自社に合うその人を見つけるのは簡単ではありません。また、優秀な人材であるほど多忙で、高い報酬が必要です。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」は、税理士法人が母体の経理代行会社として、幅広く質の高いサービスを提供しています。
事前に担当者を知ることや、経理の丸投げも可能、丁寧なヒアリングからの業務フロー策定でも多くのクライアントから高評価を得ています。ぜひお気軽にご相談ください。