「自社経理とアウトソーシング、結局どっちが得?」の疑問に答えます2025.10.16

中小企業では、記帳や請求書の処理など日々の経理業務が本業を圧迫しているケースがよくあります。最近では、経理担当者が急に退職してしまって困っている、という声も多く聞かれます。

そこで浮上するのが、このまま自社で経理を続けるのか、外部の業者に委託すべきか、という選択肢。とはいえ、コストや安全性などわからないことも多く、判断に迷うところです。

ということで今回は、自社経理と経理アウトソーシングのどちらが得かを徹底比較します。委託する場合の選び方ポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

【結論】自社VSアウトソーシング、軍配は

結論の提示、答え

自社で経理を続けるのと、外部にアウトソーシングするのとで、どっちが優位に立つのか。表にして比較すると、多くの点でアウトソーシングが優位だという結果に至りました。

比較項目自社経理経理アウトソーシング
コスト
専門性・業務品質
経営状況の把握
業務の安定性・継続性
コア業務への集中
セキュリティ
ノウハウの蓄積

自社経理の場合は、体制や人数の充足度、担当者の人数やスキルなどによって変わってくることもあり、△マークが多くなっています。次の章から、各項目について具体的に見ていきましょう。

【詳細】自社VSアウトソーシングの項目別比較

比較する女性

上の表で見た項目別の結果について、なぜそうなるのかを解説します。

コスト面:見えない費用も含めてどうか

アウトソーシングを考えるにあたり、気になることの1つがコスト面です。外部委託するとコスト増になるようにも思えますが、「目に見えないコスト」も含めて考える必要があります。

自社経理の場合

自社に経理担当者を置くには、次のような費用がかかります。

  • 採用コスト
  • 給与・福利厚生費などの人件費
  • 教育費
  • パソコン、デスクなどの備品
  • 事務用品などの消耗品費、光熱費
  • インターネットや経理ソフトなどの利用料
  • (制度がある場合は)退職金
  • 新たな人材の採用コスト

人を雇う限り、これらは固定費としてかかり続けます。

経理アウトソーシングの場合

アウトソーシングには、次のような項目で費用がかかります。

  • (業者によって)初期費用
  • 業務委託料(基本料金)
  • (委託業務によって)オプション料金

アウトソーシングには必要な業務だけ・必要な期間だけ依頼することができます。そのため、人を雇う場合の固定費から変動費に転換できます。

また、料金体系は主に2つあり、自社の状況・ニーズに合わせて選べます。1つは、毎月定額の料金を払う「定額制(月額固定制)」。もう1つは、仕訳や取引の数に応じて料金が変わる「従量課金制」です。従量課金制なら、閑散期など業務量が少ない時に余分なコストを払う必要はありません。

依頼する業務や委託する業者にもよりますが、多くの場合、トータルコストで考えればアウトソーシングの方が安価になります。

経理アウトソーシングの料金相場については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

また、当社「Bricks&UKアウトソーシング」でのクライアントの事例を、こちらのページで紹介しています。ぜひ参考にしてください。

専門性・業務品質:法改正時にも対応できるか

経理をしている人

経理業務には専門的な知識が必要で、税制や法改正時には迅速かつ適正に対応しなくてはなりません。その点で、自社経理とアウトソーシングの違いを見てみましょう。

自社経理の場合

自社経理の場合、経理業務の専門性・正確性は担当者の知識レベルに依存します。経験が浅い、担当者の人数が不足しているなどの場合は特に、ミスが起こる可能性も少なくありません。

税制などの法改正があった場合も、情報を早くキャッチすることは難しく、自社が取るべき対応の判断・決断にも時間がかかります。

経理アウトソーシングの場合

経理アウトソーシングでは、経理知識のある人や経験者が集まり、経理業務を組織として専門に行います。そのため、ミスが起こる可能性は低く、業務品質は安定している傾向です。

経理業務にかかわる最新の法や税制改正についても、いち早く情報をつかみ、必要な対応を取ることができます。

経営状況の把握:リアルタイムで追えるか

経営の現状の把握

経営者として、業績をリアルタイムに把握することも重要です。これについては、物理的な距離が影響します。

自社経理の場合

自社内で経理担当者が資料を作成するため、リアルタイムに業績を把握することも簡単です。ただし、集計・提出スケジュールを決めておくなどする必要があります。

経理アウトソーシングの場合

物理的に離れているため、その場で今すぐに、というのは難しいです。しかし、密に連絡を取り、クラウドシステムを活用することで、月次決算書などをタイムリーに受け取ることは可能です。

業務の安定性:突然の退職、減員でも大丈夫か

一人しかいない経理の人が休んだら

経理業務が滞ることは、会社の一大事でもあります。そのため、業務の継続性、安定性も欠かすことはできません。自社経理の場合とアウトソーシングで比較しましょう。

自社経理の場合

中小企業では、1人しか経理担当がいない、経理担当者が少なく不足している、というケースが少なくありません。

そのため、経理担当者が休職退職となれば、業務がストップし、取引先に迷惑をかける可能性が高いです。

経理アウトソーシングの場合

経理アウトソーシングの場合、業者にもよりますが、組織としてある程度の人数を確保しています。そのため、スタッフの休職や退職があったとしても、組織としてカバーするため業務は継続されます。

ちなみに、業者名を出すことなくクライアント企業として業務を行うため、相手に代行だと知られることもありません。

コア業務への集中:時間を有効に使えるか

コア業務、時間の有効活用

同じ時間を使うなら、経理などノンコアな業務より、売り上げにつながるコア業務に集中したいものです。その点ではどうでしょう。

自社経理の場合

日々の記帳や経費精算、請求書発行など、経理業務は多岐にわたります。1日のうち多くを経理作業に費やすこととなり、コア業務に集中できないケースが多いです。

小口現金が合わない、営業担当者からの書類提出が遅くて仕事が進まない、などの事態も発生しがちで、ストレスにもなります。

経理アウトソーシングの場合

経理の一部または全部を外部に任せることで、自社がやるべき経理の工数を確実に削減できます。そのため、多くの時間や人員を、重要なコア業務に充てられるように。

コア業務に集中できれば、生産性の向上につながり、増益も期待できます。

セキュリティ面:機密情報が守れるか

機密情報を守る

経理が持っている情報は、すべてが会社の機密情報でもあります。情報漏洩のリスクも限りなくゼロにする必要があります。

自社経理の場合

経理業務は、社内で属人化したりブラックボックス化したりしがちです。1人しか知らない・わからない情報が増えると、内部不正やミスによる情報漏洩などのリスクが高まります。

その状況で不正やミスが起こっても、大ごとになるまで誰も気づかないケースがほとんどです。

経理アウトソーシングの場合

信頼できる経理アウトソーシング会社では、ISMS認証の取得など、厳格なセキュリティ体制を敷いています。

オフィスの出入りやパソコンの使用もパスワードなどで管理されており、社外・社内双方の視点でリスクへの対策が取られています。ただし、業者によって異なるので契約前の確認は必須です。

ノウハウの蓄積:自社には何が残るのか

最後に、経理業務のノウハウについても見ておきましょう。

自社経理の場合

自社内で経理業務を完結しているなら、通常、業務ノウハウは社内に蓄積されていきます。

とはいえ、引き継ぎや作業マニュアルがしっかりと機能していなければ、知識や経験は誰にも引き継がれず、ノウハウの蓄積も困難です。

担当者の急な退職があれば、引き継ぎもされず、一からやり直しになりかねません。

経理アウトソーシングの場合

アウトソーシングは業務を業者に任せることなので、丸投げした場合、社内にノウハウは残りません。

ただ、それが問題となるのは、一度アウトソーシングに出した後、将来的に「自社で経理を内製化したい」と方針転換する場合などに限られます。

「経理業務に精通した人材を育てたい」という場合は、丸投げでなく一部の作業のみ委託するという方法もあります。

【総括】中小企業こそアウトソーシング、その理由

アウトソージングの活用

冒頭の表で、アウトソーシングに「〇(優位)」の項目が多い理由は明白です。それは、次の点につきます。

「時間とリソースを、会社の成長に使えるようになること」

経理を外部委託すれば、コストを固定費でなく変動費に変えられます。

業務の一部をアウトソーシングするだけでもメリットは大きいですが、丸投げすれば、人材の採用や退職時の手続き、それに伴う金銭的負担からも解放されます。

個人のスキルの優劣や、部署内の教育やスキルアップ、人間関係のいざこざに頭を抱える必要もありません。

さらに、経理の専門知識を持ったアウトソーシング会社に任せることで、時間をかけて取り組むべきコア業務に専念できるように。結果、生産性の向上、競争力の強化といった大きなメリットにつながります。

【実践】失敗しないアウトソーシング会社の選び方

多くの選択肢がある

経理アウトソーシングには、自社経理にないたくさんのメリットがあることは明らかです。とはいえ、経理アウトソーシングを請け負う業者は多数あり、料金体系や業務範囲、サービスの質などは業者によって異なります。

そのため、アウトソーシング会社を選ぶ際のチェックポイントも確認しておきましょう。

委託可能な範囲と対応の柔軟性

委託業務の範囲は必ず具体的に確認してください。特に注意すべきは、委託できる作業の範囲と、資格が必要な業務の取り扱いです。

たとえば未収金について言えば、未収であるという「確認」だけで終わる業者もあれば、相手への督促まで請け負ってくれるところもあります。

また、決算書の作成や税務申告、年末調整や給与計算にかかる法的な判断などは、資格が必要な業務です。税理士や社会保険労務士との連携があるアウトソーシング会社でないと請け負えません。

経理と一言でいっても、会社によってやり方などは異なるものです。自社に合った柔軟な対応をしてくれるかどうかも、コストを抑え、継続して任せられるかどうかの大きなポイントです。

当社「Bricks&UKアウトソーシング」の業務範囲や対応については、こちらのページで紹介しています。

セキュリティ対策と信頼性

セキュリティ対策

単に業務を代行するというだけではなく、アウトソーシングにするにあたり、クラウド会計システムなどの導入・活用を支援してくれるかどうかも確認ポイントです。

「○○のリスクについてはどう対策しているか」など、具体的にいくつか質問してみてください。ISMS認証を取っているかどうかなども1つの指標ではありますが、それだけでは不十分な場合もあります。

「Bricks&UKアウトソーシング」のセキュリティ対策については、こちらのページで具体的にお知らせしています。

ITツールの導入支援とサポート体制

単に業務を代行するというだけではなく、アウトソーシングにするにあたり、クラウド会計システムなどの導入・活用を支援してくれるかどうかも確認ポイントです。

既存のシステムの継続使用も含めた、自社に最適なツールの導入・活用支援をしてくれるかどうか。業務プロセスの改善なども提案してくれる業者を選べば、アウトソーシング活用のメリットも倍増します。

中小企業の経理代行の経験値

経理をしてる人と経験値を得ている感じの画像

自社と同業種・同規模の中小企業の経理代行経験があるかどうかも、必ず聞いておきましょう。それによって、話の通じやすさ、利用のしやすさが大きく違ってきます。

業種による特殊な経理処理が必要な場合はなおさらです。

代行業者にとって、組織が確立された大企業よりも、中小企業の経理代行は難易度が高い傾向です。有名大企業の実績があるからと言って、中小企業へのきめ細やかな対応を期待できるとは限りません。

委託先選びの流れや失敗しないためのポイントについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

【まとめ】今とこれからの経理課題にアウトソーシングを

これからはアウトソーシングを

自社経理と経理アウトソーシング、どちらにもメリット・デメリットはあるものの、おおむねアウトソーシングに軍配が上がります。

特に、アウトソーシングすべきかどうかでネックとなりがちなコストの問題は、実際使ってみれば「前よりコスト減になった」という会社も多いものです。この場合のコストはぜひ、額面だけでなく、採用や退職にかかるトータルコスト、労力なども含めて考えてみてください。

当社「Bricks&UKアウトソーシング」では、記帳代行などの一部アウトソーシングはもちろん、丸投げにも対応しています。業務プロセスの改善など、土台作りからお手伝いいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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