インターネットバンキングを使わない理由・それでも使った方がいい理由2025.03.05

「インターネットバンキング」は、金融機関の振込や入金確認、残高照会などをオンラインで手軽に行えるサービスです。窓口のある銀行やネット銀行など、さまざまな金融機関で活用されています。
人手やコストを少しでも抑えたい中小企業にとって、日々の業務効率化は重要な課題。経理業務の大幅な時間短縮につながるインターネットバンキングは、ぜひとも利用したい便利なサービスです。
しかしネットバンキングには「セキュリティが心配」「今までのやり方を変えるのは面倒」など、あまり気乗りしない人もいるかもしれません。
そこで今回は、インターネットバンキングを利用しない人の理由を深掘りし、それを超える利用のメリットを紹介します。セキュリティに関する利用の注意点も解説するので参考にしてください。
目次
インターネットバンキングの基礎知識
まずは、インターネットバンキングについておさらいしておきましょう。
インターネットバンキングとは

インターネットバンキングとは、金融機関でのさまざまな取引をオンラインでできるサービスです。個人・法人ともに利用可能です。
パソコンやスマートフォンを使って、自宅やオフィス、外出先など、場所を選ばず銀行の手続きや取引を行えます。平日の限られた時間に窓口に出向いたり、ATMに並んだりする必要がありません。
ネット銀行との違い
「インターネットバンキング(略してネットバンキング)」と混同されやすいのが「ネット銀行(略してネットバンク)」です。
「ネット銀行」とは、実店舗を持たず、ネット上のみで取引する銀行のことです。セブン銀行や楽天銀行、ソニー銀行などがよく知られています。
一方、「インターネットバンキング」は、金融機関によるオンライン上のサービスの1つです。実店舗の有無にかかわらず、多くの金融機関で行われています。
インターネットバンキングでできること

インターネットバンキングでは、次のようなことができます。
- 入出金明細や残高の確認
- 振込・振替
- 税金の納付
- 公共料金の自動引き落とし
それぞれ簡潔に説明します。
入出金明細や残高の確認

自社の口座の取引状況を、パソコンやスマホでいつでもどこからでも見ることができます。リアルタイムに入金があったかどうか、口座に現金があるかどうかを確認できます。
振込・振替
口座間の資金移動や、他の金融機関への振り込み、従業員の給与振込などもオンラインで簡単にできます。
税金の納付

法人税や固定資産税といった各種の税金も、インターネットバンキングを使って納めることができます。
ただし、納税には政府のe-Tax(国税)やeLTAX(地方税)の利用登録が必要です。また、手続きはインターネットバンキングやe-Tax、eLTAXの利用可能時間内に限られます。
公共料金の自動引き落とし
電気や水道、ガス代などの公共料金も、インターネットバンキングで口座から自動引き落としにすることができます。
インターネットバンキングの利用率

インターネットバンキングの基本がわかったところで、気になるのが他の人たちの利用状況です。法人についての統計はないので、個人に関する統計を参考に紹介します。
全国銀行協会による「インターネットバンキングの利用状況調査(2024年度)」によれば、インターネットバンキングの利用者の割合は64.5%です。
過半数ではあるものの、7割には達していません。過去のデータでも、2012年が65.2%、2019年度は60.3%といずれも60%台です。
ただし、この調査は前述のとおり個人の利用者を対象としたものであり、法人の場合は数字も異なる可能性があります。
インターネットバンキングを使わない理由

インターネットバンキングを利用しない人の「使わない理由」には、主に次のようなことが挙げられます。
- 必要性を感じない
- メリットがわからない
- セキュリティ面が不安
- 申し込み手続き・設定が面倒
- IT導入に抵抗感・苦手意識がある
- 何かあったときに相談しにくい
上記の調査でも、30%前後の人が「必要性を感じない」「メリットがわからない」「手続きが面倒」という回答でした。
ただ、「必要性を感じない」と答えたのは30歳以下や60歳以上が多く、相談のしづらさを理由に挙げた人の多くは70歳以上です。あくまでプライベート利用に関する結果と言えるでしょう。
「面倒」という回答は30代の女性が、「セキュリティ面の不安」は50代女性に多く、個人のITリテラシーや知識不足、慣れなども影響していると考えられます。
インターネットバンキングの利用メリット

個人はともかく企業では、「必要性がわからない」「面倒だ」という理由でインターネットバンキングを利用しないのは「もったいない」と言わざるを得ません。ここで改めて、インターネットバンキングを利用するメリットを確認しておきましょう。
インターネットバンキングの利用には、次のように数多くのメリットがあります。
- 24時間いつでも利用できる
- 銀行にわざわざ行く必要がない
- 残高照会・取引明細が簡単に確認できる
- 振込・振替が簡単にできる
- 振込手数料が安い(あるいは無料)
- 公共料金の支払いができる
- 預金・借入金利が有利である
- 法人向けサービスも充実している
それぞれ詳しく見ていきましょう。
24時間いつでも利用できる

ほとんどの金融機関で、インターネットバンキングは原則として「24時間利用可能」となっています。
せっかく銀行に行ったのに窓口が終了した後だった…など苦い経験をしたことのある人も多いでしょう。その点、インターネットバンキングなら都合のいい時に利用できます。
ただし、システムメンテナンスなどで利用できない日付・時間帯もあります。その場合は告知されるため、前もった対処も可能です。
わざわざ銀行に行く必要がない

インターネットバンキングでは、オフィスにいながらにして取引が可能です。台風や豪雪の日も、感染症が蔓延した際も、気にせず利用できます。
たとえば事務所を移転して取引銀行の支店が遠くなった、不便になったようなケースでも、わざわざ行く必要がありません。現金を持ち歩く必要がないことも、セキュリティの面で安全です。
残高照会・取引明細が簡単に確認できる

インターネットバンキングでいつでもどこでも残高や取引明細が確認できるのは、事業経営者にとって最大のメリットかもしれません。
手元に現金がいくらあるかで、経営の先行きが左右されることもあります。 通帳記入のためにわざわざ銀行に行く必要もなく、従業員の時間を無駄にすることもありません。
振込・振替が簡単にできる

口座間の資金移動や他行への資金移動なども、インターネットバンキングで簡単に手続きできます。
24時間即時で送金・入金できたり、自動で定期的に振込・振替できたりと、便利に使えます。
振込手数料が安い(あるいは無料)

インターネットバンキングでは、振込手数料が安いことも大きな特徴です。手数料は、窓口よりATMの方が、ATMよりインターネットバンキングの方が安い設定となっています。
金融機関によっては、同銀行への振り込みは何度でも無料、他行への振り込みも一定の条件をクリアすれば無料となるケースが多いです。1回数百円の手数料でも、振込件数が多いほど大きな負担となるので見逃せません。
以前はインターネットバンキングの利用手数料は高いイメージがありました。
しかしITを推し進める政府の働きかけにより、多くの金融機関が手数料の無料化や減額を行っています。
公共料金の支払いができる

電気やガス、水道など、毎月必ず支払う公共料金も、インターネットバンキングで申し込めば自動的に引き落としできます。
忙しくて支払いをうっかり忘れるようなことも防げます。
預金・借入金利が有利

一部の金融機関では、インターネットバンキングの利用者には預金金利を上乗せしたり、借入金利を優遇したりするサービスも行っています。
ネット利用による人件費削減、他社との競争によるものと考えられますが、これから利用するなら金融機関のサービスを比較検討して決めましょう。
法人向けサービスも充実

多くの金融機関が、インターネットバンキングの法人向けサービスも充実させています。従業員の給与や賞与の振り込みができるほか、会計システムとの連携で業務効率化を図ることも。
会計システムとの連携で、会計データの自動取り込みや支払業務の一元化などが可能となり、経理担当者の負担が大幅に軽くなります。
また、これにより経理業務を外部業者にアウトソーシングすることも容易になります。
ネットバンキング利用時のセキュリティ対策

ネットバンキングについて最も心配なのはセキュリティ面でしょう。実際にフィッシング詐欺などが横行しており、金融機関でもワンタイムパスワードや二段階認証、自動ログアウトなどのセキュリティ対策が取られています。
それに加えて、自社で次のような対策を取ることも必須です。
- 銀行推奨のセキュリティ対策を実行する
- パスワードなどアカウントの管理を徹底する
- 不審なメールやSNSは無視する
- セキュリティ対策ソフトを導入する
- 口座の残高チェックをこまめにする
それぞれ確認していきましょう。
銀行推奨のセキュリティ対策を実行する

金融機関によっては、ログイン時のワンタイムパスワードなどを選択制とし、使わなくてもアクセスができるようになっているケースもあります。しかし、インターネットバンキングを利用するなら、推奨される対策を必ず実行しましょう。
使わなかったことで被害に遭うケースも少なくありません。
パスワードなどアカウントの管理を徹底する

パスワードなどアカウント情報は適切に管理し、忘れないようにしなくてはなりません。金融機関がセキュリティを強化しているために、忘れてしまうと再設定などが必要となり、正規のユーザーでも使えなくなってしまいます。
もちろん、いつもと違うログイン画面に疑いを持たずアクセスしてしまったり、パスワードなどの情報を安易に入力したりしないことも重要です。
不審なメールやSNSは無視する

金融機関を装い、偽のウェブサイトを作って誘導し、IDやパスワードなどを不正に入手しようとする犯罪が増えています。
基本的に、日本語に不自然さがあったり、公式のアイコンが表示されなかったりする場合は不正メールの可能性が高いので無視してください。メールを開いたとしても、本文中にあるURLなどをクリックしてはいけません。
セキュリティ対策ソフトを導入する

ウイルスなどが埋め込まれた悪意あるプログラムを「マルウェア」と言います。インターネットバンキングの利用前に、マルウェア対策用のソフトは必ずインストールしておきましょう。
OSやソフトウェアも、常に最新状態にアップデートすることにより最新のセキュリティで守られ、安全性が高まります。
口座の残高をこまめにチェックする

インターネットバンキングが便利だからといって、自動の操作に任せきりにしてはいけません。口座をこまめに確認し、覚えのない支出がないかなどをチェックしましょう。
何かあった場合には、すぐに金融機関に連絡する必要があります。
すぐにでも活用しよう!ネットバンキング

インターネットバンキングは、忙しい中小企業の事業主や、日々の作業に追われる経理担当者にとって使わない手はない便利なサービスです。
時間や場所に縛られず振り込みなどの手続きや入出金の照会ができ、時間のムダがなくなります。
セキュリティへの不安は、正しい知識と危機感を持って対策すれば怖がりすぎる必要もありません。便利なインターネットバンキングを、有効に活用してください。
経理業務が負担なら、外部業者にアウトソーシングするのも1つの方法です。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」でもインターネットバンキングを利用しますが、実際にお金を動かすのは当社ではなくお客様自身なので安心です。ご検討の上、ぜひお気軽にお問い合わせください。