クラウド会計の導入メリットとデメリット、注意すべき落とし穴とは2026.01.05

クラウド会計は、データ連携や自動仕訳機能によって経理の手間を大きく減らせる便利なツールです。しかし、実際には「初期設定が難しい」「どのソフトが自社に合うのかわからない」「思ったほど効率化できない」といった声も少なくありません。
また、便利な一方で、導入のしかた次第ではミスや混乱を招く“落とし穴”もあります。
今回は、クラウド会計のメリットと注意点を整理します。失敗しないためのポイントをわかりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
「クラウド会計」とは何か

クラウド会計(クラウド会計ソフト)とは、インターネット経由で利用できる会計ソフトのことです。昨今の人手不足や人件費の高騰により、中小企業でも、作業効率の改善や業務の柔軟化を求めて導入する企業が増えています。
まずは、クラウド会計と従来型の会計ソフトとの違いと、クラウド会計のしくみをおさらいしておきましょう。
クラウド会計と従来型ソフトの違い

会計ソフトには、大きく分けて、今回説明する「クラウド型」と、従来の「インストール型」と呼ばれるものの2種類があります。
従来型は、自社のパソコンやサーバーにソフトをインストールして使う方式で、オンプレミス型とも呼ばれます。市販ソフト(パッケージ型)の多くもこの形態です。
クラウド型との違いを表で比較してみましょう。
| 比較項目 | クラウド型 | インストール型 |
|---|---|---|
| 利用環境 | インターネットにつながればどこでも可能 | インストールしたパソコンでないと不可 |
| データ管理 | 自動バックアップ・自動更新 | 手動で更新・バックアップが必要 |
| 同時作業 | 複数人での同時編集も可能 | 単独利用が基本 |
| 導入・更新 | インストール不要、常に最新版 | アップデート作業が必要 |
クラウド型は、使う場所を選ばず、作業もしやすいので、テレワークや複数拠点での経理にもぴったりです。
クラウド会計のしくみ

クラウド会計の最大の特徴は、データが自動で取り込まれ、自動で処理されるしくみにあります。銀行口座やクレジットカード、請求書発行システムなどと連携させると、取引データが自動で取り込まれ、仕訳も自動で候補が作られます。
担当者は、その内容を確認して確定するだけ。入力作業が大幅に減り、ミスの防止につながります。また、データはクラウド上でリアルタイムに更新されるため、経営者や各部門とも最新情報を共有できます。
このように便利に使えるしくみのため、今ではクラウド会計が主流となっています。
クラウド会計でできること

クラウド会計には、従来の会計ソフトにない便利な機能が数多く用意されています。入力の自動化や、データ連携、リアルタイムの共有など、手間を減らし、業務負担を軽くする仕組みです。
まずは、代表的な機能から見ていきましょう。
自動仕訳や自動入力

クラウド会計は、銀行口座やクレジットカード、決済サービスなどと連携できます。常時つないでおけば、取引明細が自動でクラウドに取り込まれます。
取り込まれた明細をもとに、クラウド会計が「どの勘定科目にすべきか」まで自動で判断し、仕訳候補を入力してくれます。
スムーズな帳簿・決算書の作成

クラウド会計では、登録された仕訳データが各帳簿にも自動で反映されます。総勘定元帳・試算表・仕訳帳なども、入力やデータ取り込みのたびにリアルタイムで更新されます。
さらに、決算書の作成に必要な数値も自動で集計されるため、月次・年次の資料を作るためにデータを集め直したり、Excelでまとめ直したりする必要はありません。
日常の入力がそのまま帳簿づくりにつながるため、数字の確認や決算準備がスムーズに進みます。
領収書・請求書の電子保存

領収書や請求書は、スマホで撮影してアップロードするだけで保存できます。日付や金額、取引先といった必要な情報は自動で読み取られるため、整理の手間が大きく減ります。
データはクラウド上で一元管理され、検索や共有もスムーズ。
紙で保管する必要がないので、保管スペースも必要ありません。もちろん、電子帳簿保存法に対応した形式でデータ保存できます。
経費精算の自動化

クラウド会計ソフトは、経費精算アプリと連携してデータを取り込めます。アプリに登録した領収書画像や入力内容がそのまま反映されるため、経費の内容確認から仕訳作成まで自動できます。
未処理や未承認の案件を簡単に把握でき、何が未処理か、承認がどこで止まっているかもすぐにわかります。
給与計算や各種支払いの連携
クラウド会計ソフトは、給与計算ソフトやネットバンキングと連携し、給与や取引先への支払いデータを取り込めます。取り込んだ情報は仕訳に反映でき、振込データの作成など、支払いの準備にもつなげられます。
源泉所得税や社会保険料など、納付に必要な金額データも扱えます。
部門別・事業別の集計

クラウド会計ソフトは、取引データを部門や事業ごとに自動で分類・集計することもできます。
部門ごと・事業ごとの売上や経費がどれだけあるかをすぐに確認でき、数字の比較もしやすくなります。
取り込まれたデータはクラウド上で同じ形式に整理されるため、各部門からバラバラの形式で提出されたデータを手動で整える手間もありません。
データ分析とレポート作成

クラウド会計は、蓄積された取引データから、月次推移や費用内訳などのレポートも自動で作成できます。
グラフや一覧で表示できるため、数字の比較や過去データの確認がしやすく、経営判断に必要な情報もすぐに取り出せます。
効率化だけじゃない!クラウド会計のメリット

クラウド会計の魅力は、単に作業を省力化できるだけではありません。日々の業務の確実性や、経営判断のしやすさにもつながる幅広いメリットがあります。
時間と手間の削減

クラウド会計なら、業務管理の手間や時間も大きく減らせます。
売上や経費の数字がクラウド上にまとまっているため、複数の資料を取り寄せて見比べたりする必要がありません。承認作業もオンラインで行えるので、会議や移動の合間に対応可能。わざわざ会社に戻る面倒もなくなります。
ミスの防止と属人化の解消

クラウド会計では、金額入力や計算が自動化されるため、転記ミスや入力漏れが起きにくくなります。
処理ルールや必要データがクラウド上で共有されるため、誰でも同じように対応できます。
特定の担当者に依存した状況や、その担当者の不在時に業務が止まるようなことも防げます。
経営状況の可視化

クラウド会計なら正確な数字をいつでも確認できるため、状況に応じた判断をすばやく下せます。
どの事業が利益を生み、どこに改善余地があるのかが明確になることで、投資判断や優先順位づけがしやすくなり、結果として利益向上や競争力強化につながります。
法改正や電子申告にも対応
クラウド会計は、税制改正や会計基準の変更時にソフトが自動でアップデートされるので、自社で対応する必要がありません。常に最新のルールに沿った処理が可能です。
また、電子申告に対応したソフトなら、確定申告や各種税金の手続きもオンラインで完結。書類作成や郵送の手間を減らせます。
クラウド会計の導入時に注意すべき落とし穴

クラウド会計は便利ですが、導入したものの十分に活用できず、効率化できていない、という声も実はよく聞かれます。ここでは、何が失敗につながるのか、落とし穴となることを見ておきましょう。
導入するソフトの選択ミス

自社の業務フローや規模に合わないソフトを選ぶと、思ったような効率化ができません。
たとえば、請求書の処理件数が多いのに請求書関連の機能が少ないソフトを選んでしまうと、多くを手作業で続けなくてはならないことに。
また、自社の必要とする機能が備わっていないものを選ぶと、導入後に追加が必要になるなどして、手間やコストが余分にかかります。
初期設定や勘定科目の入力ミス
クラウド会計を導入する際は、残高や勘定科目など開始時の設定を正しく行う必要があります。この時点で入力ミスや口座連携の不備があると、仕訳作業や帳簿作成がスムーズに進まず、修正に手間がかかります。
たとえば、開始残高の入力を誤ると、月次の試算表や決算書の数字が合いません。銀行口座やクレジットカードとの連携に不備があると、自動取り込みが機能せず、結局手入力しなくてはならなくなります。
「クラウド会計は全自動で万能」の思い込み
クラウド会計のメリットは作業の自動化。とはいえ、すべて完全に自動化されるわけではないことに注意が必要です。たとえば、仕訳候補の勘定科目がズレている、口座から取り込んだデータが仕訳待ちにたまっていく、といったことは日常的に起こります。
そのため、人による一定の確認や修正作業はどうしても必要です。
運用ルールの未作成や徹底不足

クラウド会計をスムーズに運用するには、入力ルールや承認フローを事前に決め、社内で共有することも重要です。ルールが曖昧だったり徹底されていなかったりすると、やり方がバラバラになり、ミスや混乱の原因となります。
たとえば、経費申請の承認フローが決まっていないと、承認待ちで作業が止まることも。また、勘定科目の使い分けルールが統一されていないと、同じ費目が別の科目に計上されるなどして、帳簿が複雑化。集計や分析にも、時間がかかってしまいます。
クラウド会計をうまく活用するためのポイント

クラウド会計のポテンシャルを最大限に活かすには、事前の準備と工夫が欠かせません。ここでは、業務をスムーズに進めるための具体的なポイントを整理します。
自社に合うソフトを選ぶ

クラウド会計ソフトと一口に言っても、機能や操作性などはさまざまです。そのため、自社の業務フローや取引量に合い、かつ必要な機能が備わったソフトを選ぶことが重要です。
中途半端に手作業が残ったり、追加コストが発生したりするのを避けるには、「どれでも同じ」と決めつけず、各ソフトの機能を比較して選ぶ必要があります。
あらかじめ、クラウドの導入目的を明確にしておくことも必須です。
運用ルールを作成して共有する
ソフトの入力ルールや承認フローを事前に決め、社内に周知することが重要です。ルールが曖昧だと、操作する人によってやり方がバラバラになり、ミスや作業の遅れが生じます。
そのためには、業務フローを整理し、マニュアルを作るなどする必要もあるでしょう。
定期的にデータを見直す

クラウド会計では、自動取込みや仕訳候補が便利な一方で、内容が正しく処理されているかの確認も欠かせません。
仕訳のズレや未処理のデータを放置すると、後で修正するのが難しくなり、帳簿の整合性チェックにも時間がかかることに。取引データは、毎日または週ごとに見直すと安心です。
セキュリティ対策を徹底する

クラウド会計はデータをオンラインで扱うため、不正アクセスや情報漏洩を防ぐセキュリティ対策は必須です。
たとえばパスワードを共有していたり、退職者のアカウントを削除せず放置したりしているようでは高リスク。二要素認証の設定や権限管理など、しっかりと対策しておくことが必要です。
経理アウトソーシングで最適なクラウド化

クラウド会計には大きなメリットがありますが、実際には「設定が難しい」「思ったほど効率化できない」「社内に詳しい人がいない」など、運用でつまずく企業も少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、「経理アウトソーシング」です。専門家のサポートには次のようなメリットがあるので、真の負担軽減が可能になります。
専門家がソフト選びや導入をサポート

クラウド会計をうまく活用するには、まず業務フローを整理し、「どう運用していくか」の方針を決めておくことが大切です。そのうえ、最適なソフトを選び、導入準備を進めます。
経理アウトソーシングなら、こうした事前の準備や最適なソフトの選定、各種設定まで一括でサポート。導入の段階から、無理なくスムーズにクラウド化を進められます。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」は、クラウド導入の実績も豊富です。税理士法人が母体だからこそのノウハウで、その他のさまざまな課題解決もお手伝いできます。
初期設定や運用ルールづくりもおまかせ
実際にクラウド会計を使い始めるには、口座連携の設定や仕訳ルールの登録、承認フローの整理など、細かい初期設定が必要です。それができていないと、間違った仕訳になったり、承認が止まったりとムダな手間が発生することに。
経理アウトソーシングなら、こうした設定や日々の入力・確認方法といった運用ルールの整備もサポート可能。社内にITリテラシーのある人がいなくても、トラブルなく運用できるようになります。
日々の入力・確認作業もまるごと効率化

クラウド会計で自動化できる作業は多いですが、現金の管理や領収書の確認、取引内容の補足入力など、人の手が必要な業務も残ります。
そこで、クラウド会計の導入と同時にアウトソーシングを活用すれば、自動化できるところはクラウド会計が、自動化できない部分は外部の専門家が対処。日々の負担を大きく減らせます。
ちなみに、アウトソーシングは一部業務だけでも丸投げでも対応可能。状況に合わせた柔軟な使い方ができます。
属人化やミスを防ぐ体制ができる
経理は「慣れている人だけがわかるやり方」になりがちで、当人が休む・辞めるとなると、業務が止まってしまうことも。また、独自ルールのまま処理をしていると、入力ミスや漏れにも気づきにくくなります。
経理アウトソーシングを活用すれば、業務プロセスの標準化もスムーズにでき、作業のチェック体制も整備されています。属人化になることなく、専門家による作業でミスも大幅に減らせます。
法改正や会計基準の変更時にも即時対応で安心だということも、専門家を活用するメリットの1つです。
クラウド会計の導入には専門家を頼ろう

クラウド会計の導入には、作業の効率化や経営状況の可視化など、大きなメリットがあります。しかし導入前の設定や運用ルールの整備などをしないと、せっかくの機能を使いこなせず失敗する可能性も高いです。
経理アウトソーシングを活用すれば、最適なソフトの導入から運用まで、専門家がサポートします。属人化やミスも防ぎつつ、本来の業務に集中できる環境を整えられますよ。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」では、業務設計に長けたスタッフがクラウド会計の導入をサポートします。必要な部分だけ、必要な時期だけの活用も可能。ぜひお気軽にお問い合わせください。

