中小企業の経理、ずさんは禁物!放置するリスクと対策を解説します2025.09.25

現在の画像: 中小企業の経理、ずさんは禁物!放置するリスクと対策

中小企業では、経理がずさんになっているケースが少なくありません。たとえば次のような場合、ずさんな経理が事業に悪影響となる、もしくはすでに悪影響となっている可能性があります。

  • 経費精算は月末にまとめて行っている
  • デスクに入れっぱなしのレシートが複数ある
  • 売掛金や未収金の正確な額は知らない
  • 経理専任の社員はいない、もしくは1人しかいない
  • 税理士には決算の時しか相談しない

「中小企業の経理なんてどこもこんなものだ」と放置することは、事業経営にとって大きなリスクです。長く続けていくためにも、すぐに対策を始めましょう。

今回は、中小企業の経理がずさんになってしまう原因や、それによるリスク、取るべき対策を解説します。

経理が「ずさん」になる原因

経理が「ずさん」になる原因

中小企業では、経理業務が十分に行き届かず、管理がずさんになっているケースが少なくありません。その原因には、次のようなことが挙げられます。

  • 経理の専門担当者がいない
  • 担当者の知識・経験が足りない
  • 日々の業務に追われ後回しになりがち
  • 業務が属人化しブラックボックス化している
  • 業務の内容や状況を把握できていない
  • 古い慣習やIT化の遅れがネックとなっている

経理の専門担当者がいない

中小企業の経理の特徴、経理の専門担当者がいない

経理部門に専任の担当者をおく経済的余裕がない、という中小企業は珍しくありません。

そのため、事業主自らが経理を担当している、あるいは営業社員などに経理を兼務させている会社が多く見られます。
しかし、その多くは経理の知識や経験がなく、作業は手探りになりがちです。必要な処理がもれたり、ミスが起こりやすくなったりします。

わからないことがあっても解決できず、やむなく自己流で処理をし続ける。その結果、抜けやミスが放置され、ずさんな状態になってしまいます。

担当者の知識・経験が足りない

中小企業のずさんな経理の原因、担当者の知識や経験不足

経理専任の担当者がいる場合でも、知識や経験不足で業務がずさんになっていることは多々あります。

というのも、経理経験者といっても、知識や経験値は人それぞれですし、業種あるいは会社によっても、経理のやり方は異なるからです。

また、税法や会計基準が変更されれば、業務もそれに対応して変えたりする必要があります。知識や経験不足では、適切な対処ができず、正しい業務が行えません。

日々の業務で後回しになりがち

中小企業のずさんな経理の原因、日々の業務で後回し

経理は、事業経営に欠かせない重要な業務です。とはいえ、営業などと違って直接の利益を生まないことから、軽視されがちでもあります。

もちろん、社内の作業より、優先すべきは取引先やお客様への対応でしょう。後でまとめて処理しよう、と思っているうちに、レシートをため込んだり請求書の発行を忘れてしまったりして、処理がいい加減になってしまいます。

「経理は経理担当者に任せてあるから大丈夫だろう」「月末に帳尻を合わせれば何とかなるだろう」、などという考えから、管理も後回しにされる傾向にあります。

業務が属人化しブラックボックス化している

中小企業のずさんな経理のデメリット

経理を誰か1人に任せていることは、「その人にしかできない」属人化の状態であり、「その人にしかわからない」ブラックボックス化に直結します。

属人化やブラックボックス化した状態では、担当者が間違ったやり方をしていても、業務を怠っていても、さらには不正を働いていても、誰にも気づくことができません

当人が休職・退職したりして初めて、ずさんな経理や不正が発覚し、大きな損害を被った企業も少なくないのです。

古い慣習やIT化の遅れがネックとなっている

中小企業の経理がずさんな理由

いまだに手書きの帳簿や紙の請求書、Excelによる手作業の管理を行っている中小企業は少なくありません。

しかし、こうしたアナログな方法では、データの入力ミスや転記ミスが起こりやすく、情報の共有もスムーズに行えません。書類の保管などのルールも定まっていないケースが多いうえに「これまでこうしてきたから問題ない」と改善もされず、管理もずさんになりがちです。

確認作業をしても、人の目では見落としもあります。書類の山に埋もれて重要書類が紛失してしまうケースも珍しくないでしょう。

ずさんな経理が引き起こす6つの重大リスク

中小企業のずさんな経理が引き起こす6つの重大リスク

経理をずさんにしておくと、単に「お金の流れがわかりにくい」というだけでなく、経営そのものにも、次のような重大なリスクがあります。

  • 資金繰りの悪化による現金不足
  • 無駄な支出の増加による利益の減少
  • 横領など不正行為の発生
  • 税務調査での指摘と多額の追徴課税
  • 取引先や金融機関からの信用失墜
  • 優秀な人材の離職

それぞれ説明します。

資金繰りの悪化による現金不足

中小企業のずさんな経理が生み出すリスク、資金繰りの悪化による現金不足

経理がずさんな状態では、期日を過ぎても売掛金が入らないことに気づけなかったり、逆に済ませるべき支払いを忘れてしまったりしがちです。

これを放置すると、順調に売り上げがあっても銀行口座にはお金がない状態に。利益は出ているのに現金がないため支払えず、「黒字倒産」という最悪の結果を招いてしまいます。

無駄な支出の増加による利益の減少

中小企業のずさんな経理によるリスク、無駄な支出の増加による利益の減少

経理がずさんだと、同じ備品を何度も購入してしまったり、不要なサービスの使用料などを払い続けたり、という無駄がどんどん発生します。

経費精算のルールが曖昧ならさらに、経費にすべきでないものまで計上されてしまいがち。

こうした無駄は、年間にすると大きな額に。せっかく売上が増えても、出ていくお金が多ければ、利益は少なくなってしまいます。

横領など不正行為の発生

中小企業のずさんな経理のリスク、横領など不正行為の発生

経理にチェック体制が整っていないと、不正も起こりやすくなります。たとえば経費精算の領収書を水増しする、架空の取引先を使って現金を着服するなど。

こういった横領行為は、気づかれないとどんどんエスカレートする傾向にあります。発覚した時にはすでに遅く、取り返しのつかない額になっていることも少なくありません。

税務調査での指摘と多額の追徴課税

中小企業のずさんな経理による税務調査での指摘と多額の追徴課税

税務調査が入った場合、売上の計上が漏れていたり、在庫が実際より多く計上されていたり、経費が二重計上されていたりすると、必ず指摘が入ります。

納めるべき税金の不足が発覚すれば、追加で納税しなくてはならず、それには延滞税もかかります。

場合によっては、過少申告や無申告に対する加算税も必要となりますし、悪質と見なされれば重加算税の対象です。

取引先や金融機関からの信用失墜

ずさんな経理で取引先や金融機関からの信用を失った中小企業の事業主

取引先への支払いが何度も遅れたり、振込金額が間違っていたりすれば、相手からの信用を失います。信用の回復は困難なため、契約を打ち切られる可能性があります。

融資で資金調達するなら、金融機関からの信用が大切です。しかし、口座の管理や確認を怠って残高不足が続けば、会社の信用情報に傷がつきます。審査で経理のずさんさが露呈すれば、資金調達も難しくなります。

優秀な人材の離職

中小企業のずさんな経理で退職を決めた優秀な人材

仕事に真摯で優秀な人材ほど、ずさんな経理処理には不満が募ります。慣習で無駄な作業をさせられたり、やるべきことが正しく行われず放置されたりしている状態では、ストレスがたまり、能力を存分に発揮することもできません。

改善するにしても1人では難しいため、会社を見限って転職を考え始める人も。人手不足の今、即戦力となる人材の確保は難しく、採用にも手間やコストがかかります。

経理のリスク回避に取るべき改善策

経費のリスク回避に取るべき改善策

ずさんな経理は会社にとって大きなリスク。しかし、今からでも適切な対策をとれば回避も可能です。
自社ですぐに始められる改善策は、大きく3つあります。

  • 業務プロセスの見直しとマニュアル化
  • 経理担当者への教育とナレッジの共有
  • 会計ソフトの導入などITの活用

1つ1つ解説します。

業務プロセスの見直しとマニュアル化

中小企業のずさんな経理を改善するため業務を可視化する男性

まずは、現状の業務フローを「見える化」しましょう。誰が、いつ、どのような経理作業をしているかを書き出します。見える化した業務の流れや作業内容に、無駄や重複などがないかを確認してください。

その上で、業務の手順や担当、ルールを明確にし、マニュアルを作成します。マニュアルがあれば、誰でも同じ作業ができ、ミスや不正の防止につながります。担当者の変更・採用時の引き継ぎもスムーズになり、教育にかかる時間も大幅に減らせます。

経理担当者への教育とナレッジの共有

中小企業のずさんな経理を改善するための勉強会

属人化や、それによる業務停滞・不正などのリスクを防ぐには、担当者が1人でも複数でも、個々のスキルアップが効果的です。

定期的に勉強会を開く、外部セミナーに参加させるなどして、スキルアップを図りましょう。また、そうして得た知識や情報は、共有することも大切です。

ミーティングやビジネスチャットなどで情報共有・交換すれば、スキルや情報が過度に偏ることもなく、コミュニケーションの一環としても役立ちます。

会計ソフトの導入などITの活用

中小企業の経理を改善するためのソフトウェア

手書きやExcelでの管理を続けているなら、ITを活用した業務効率化を図りましょう。人の手で行う作業が多いほど、入力ミスや計算ミスにより経理が不正確となるほか、手間による担当者の負担も大きくなります。

会計ソフトや経費精算システムなど、自社に必要なITツールを活用すれば、適切な経理が簡単に行えます。システムの連携で業務効率化が進むほか、情報共有も容易になり、正しく素早い経営判断に役立ちます。

自社で対応しきれない場合の解決策

IT導入について契約し、握手を交わす中小企業事業主と外部の専門家

前述のような社員教育やIT導入を自社で行うには、手間や時間、費用がかかります。さらに、社員教育やIT導入には、助成金や補助金の対象となるものも。自社が対象となる制度かどうかの判断や、申請手続きにも多くの手間がかかります。

そこで視野に入れたいのが、外部の専門家に依頼することです。活用方法によっては、経理担当者が自社にいなくても経理業務が進められます。ここでは大きく2つの選択肢を紹介します。

  • 税理士との顧問契約
  • 経理アウトソーシング会社への代行依頼

それぞれの特徴について見ていきましょう。

税理士との顧問契約

税理士のアドバイスを受ける中小企業事業主

税理士は、税金に関するプロです。そのため、日々の経理処理はもちろん、決算や税務申告に関しても相談・委託できるのが大きなメリットです。

一般的に、税理士との契約は、スポット(決算期など短期)でも可能です。しかし、それでは自社の傾向や実状が把握しにいため、十分な対応ができない可能性も。

そのため、メリットを最大限にするには、年間など長期の顧問契約が最適です。とはいえ、相応のコストもかかるため、経営状況などによっては難しいかもしれません。

経理アウトソーシング会社への代行依頼

経理アウトソーシング会社のスタッフ

経理を適正化・効率化する方法には、税理士との契約以外に、経理アウトソーシング会社への委託という選択肢があります。経理業務の一部または丸ごとを代行してくれるサービスです。

委託の費用はかかるものの、人を雇うのに必要な賃金や社会保険料、教育訓練費用などに比べれば安く抑えられる可能性が高いです。また、求人の募集から採用、教育などにかかる手間や時間もいりません。

経理アウトソーシング会社の中には、税理士法人を母体とする、もしくは税理士と提携している会社もあります。その場合は、税務申告・相談など税理士資格が必要な業務もあわせて委託可能です。

ずさんな経理はアウトソーシングで適正化

中小企業の経理を最適化する歯車のイメージ

経理がずさんな状態になっている中小企業は少なくありません。とはいえ、中小企業だからとそれを放置してよいわけはなく、事業が継続・発展していくには必ず是正する必要があります。

自社で業務プロセスを見直したり、会計ソフトを導入したりといった方法は効果的です。しかし、そのノウハウや時間がないからずさんな状態になっているケースも多いでしょう。

そこでおすすめしたいのは、経理を専門家にアウトソーシングし、正しく処理してもらうことです。そうすれば、自社では本業に専念できますし、経営に必要な数字が正しければ、正しい判断もしやすくなります。

当社「Bricks&UKアウトソーシング」は、中小企業の経営サポートを得意とする税理士法人が母体です。

単なる作業の代行ではなく、業務プロセスの見直しなど、根本的な課題解決に向けたアドバイスもさせていただきます。ぜひ一度お問い合わせください。

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