年末調整は外部委託で手間から解放!メリットや委託時の注意点を解説2025.02.06

年末調整は経理代行への依頼で手間から解放!

年末調整(年調)といえば、企業の総務・経理担当者にとって面倒で大変な業務の1つ。毎年11月になると憂鬱になるという人も少なくありません。

年末調整には社員による申告書が必要です。しかし、「提出期日を守ってくれない」「記入内容が間違っている」「わからないからと空欄で出されて確認が手間」などスムーズにはいきません。扶養などについてのチェックもあるので、社員数が多いほど作業は煩雑です。

そこで利用したいのが、年末調整業務を委託できる代行サービスです。

この記事では、年末調整の外部委託について解説します。代行業者の種類や委託できる業務の内容、委託する際の注意点を解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事は私が監修しました!
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会計・税務に関する高い専門知識で、株式会社Bricks&UK Outsourcingの
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年末調整業務とその課題

年末調整業務の課題

まずは、年末調整とはどんな業務かをおさらいし、年末調整作業で課題となる点を見ておきましょう。

年末調整とは

「年末調整」とは、1年間に支払った所得税の過不足を調整する手続きです。

会社勤めの人の所得税は給料から天引き(源泉徴収)しますが、この額は想定所得から概算の税率で計算されたものです。そのため、実際の所得による正しい所得税額を毎年11月下旬~1月に計算し、過不足を調整します。

このとき、基礎控除のほか配偶者控除や任意保険・社会保険料控除など、人によって異なる控除もあるため、一人ひとりが申告書を提出しなくてはなりません。

年末調整で経理がやること

年末調整で経理(会社によっては総務)担当が行うのは、次のような作業です。

  • 対象となる社員に申告書類を配布する
  • 記入後の書類を回収し、内容を確認する
  • 年末調整の計算をする
  • 給与支払報告書を提出する
  • 法定調書を作成・提出する
  • 全員に源泉徴収票を配布する

会社が配って回収する申告書類は、主に次の3種類です。

  • 1)扶養控除等(異動)申告書
  • 2)給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 3)保険料控除申告書

2は配偶者控除を受けない人は不要、3は生命保険など任意保険に加入していない人、社会保険等を天引き以外で支払っていない人など、申告の対象にならない人は不要です。

これ以外に、住宅ローン2年目以降の人からは、税務署が交付する住宅ローン控除の申告書も提出されます。転職して中途入社した人からは、前職の源泉徴収票も提出してもらいます。

年末調整時に必要となる法定調書とは、支払調書・法定調書合計表、源泉徴収票、給与支払報告書のことです。

年末調整の作業上の課題

年末調整を行う経理の課題

年末調整の作業では、次のようなことが課題となります。

  • 特定の時期のみ業務量が増える
  • 記載内容のチェックが手間である
  • 提出の督促や修正・確認など追加対応も多い
  • 最新の法改正などの把握も必須
  • 法定調書の作成も必要

年末調整は、決算時に次ぐ経理の繁忙期です。忙しくなるとわかっていても、何カ月も前から着手することはできませんし、期限もあります。

限られた期間内で、社員1人1人について書類を回収するだけでなく確認や修正依頼などもしていれば、どうしても時間がかかります。通常業務との並行で、ミスなども起きやすくなります。

法改正によって年末調整の申告書の様式や計算方法が変わることも多いです。そのため、最新情報を把握して従業員への周知を行う必要もあります。

年末調整業務を効率化させる2つの方法

年末調整をスムーズに進め、作業時間を短縮するには、主に次の2つの方法があります。

  • 年末調整手続きを電子化する
  • 年末調整作業を外部に委託する

それぞれ説明します。

年末調整手続きの電子化

年末調整手続きの電子化

電子化とはつまりペーパーレス化、紙で行っていた作業を電子データによる作業に変えることです。すでに2021年1月の申告分より、一部の対象企業では電子化が義務付けられています。

電子化した場合、従業員が加入する保険の控除証明書をデータで入手し、国税庁の年調ソフトあるいは会社指定のソフトウェアで申告書を作成します。

控除証明書のデータは自動入力されるので、会社が内容の確認・訂正依頼などをする必要がありません。

提出された申告書データを給与システムに取り込めば、税額が自動計算されます。市販のソフトウェアは有料ですが、配布・回収状況の管理など、さまざまな便利機能も備わっています。

代行サービス会社への委託

経理代行サービスへの委託

年末調整業務は、代行業者に委託することもできます。委託すれば、自社で行う作業は大幅に減ります。作業の一部だけ委託することも、すべてを委託することも可能です。

紙での作業のまま委託できる業者もあれば、利用に伴い電子化が必要となる業者もあります。電子化が必要な場合は、システム導入のサポートもしてくれる業者がほとんどです。

代行サービスについては、次の章で詳しく紹介します。

年末調整の代行サービスとは

年末調整の代行サービスとは

年末調整業務を一部またはまるごと請け負うのが年末調整の代行サービスです。自社から見ると、外部業者への業務委託、いわゆるアウトソーシングです。

代行サービスの業務内容

サービスの内容は各社さまざまですが、主に次のようなことを委託できます。

  • 従業員への申告書類の配布
  • 書類の回収・内容のチェック
  • 不備・未提出者への対応
  • 従業員からの問い合わせ対応
  • 控除データの作成
  • 年税額の計算、過不足税額の通知または転記
  • 源泉徴収票・給与支払報告書の作成
  • 法定調書合計表の作成・提出
  • 支払調書の作成
  • ファイリング

業者によっては、従業員への書類配布・回収や従業員への確認などは自社で行う必要があるケースもあります。基本プランには含まれず、追加料金がかかる場合も

その他、たとえば未提出や不備の場合の対応は、リストアップしてくれるだけの業者もあれば、従業員への連絡までしてくれる業者もあるなど、サービス内容は細かく異なります。

代行サービス業者の種類と注意点

年末調整業務の委託先には、次のような選択肢があります。

  • 税理士法人
  • 年末調整代行サービス業者
  • 経理アウトソーシング会社

この他にも、フリーランスで年末調整業務を行っている個人や、社会保険労務士事務所や行政書士事務所が請け負うケースもあります。

ただし、年末調整は所得税の手続きであり、源泉徴収票の作成や法定調書合計表の提出などは税理士だけが代行可能です。そのため、代行業者にこれらを依頼する場合は、税理士との提携を確認する必要があります。

委託先を選ぶときに考慮すべきポイント

年末調整の委託先を選ぶときに考慮すべ年末調整の

年末調整業務を外部委託する際には、次のポイントを踏まえて業者の選定を行いましょう。

  • 紙・電子のどちらで委託するか
  • 希望する業務に追加料金が必要でないか
  • 既存の会計システムで対応可能か
  • セキュリティは万全か

紙・電子のどちらで委託するか

紙での対応を希望する場合は、紙で委託可能な業者を選ぶ必要があります。国も電子化をすすめていますし、代行業者も電子化を前提とするところがほとんどです。委託と同時に電子化を打診されることも多いでしょう。

電子化するだけでも業務の効率化ができるので、良い機会ととらえ検討することもおすすめします。

希望する業務に追加料金は必要でないか

委託先の業者によって、サービス内容や料金は異なります。公表されている料金表で安く見えても、委託したい作業が「通常プランには含まれない」などの理由で追加料金が必要となり、結果として高額になるケースも。

まずは、年調業務の一部を委託するのか全部を委託するのかを決めます。その内容で相見積もりを取るなどして、実際に必要となる料金を確認してから選ぶのが得策です。

既存の会計システムで対応可能か

年末調整の代行では、年末調整のデータを会計システムに取り込むことで作業が大きく効率化できます。

しかし、システムの連携ができなければ、新たなシステムの導入が必要となり、費用も高くなります。使用中のシステムのままで対応可能かどうかも選定のポイントです。

セキュリティは万全か

年末調整の申告書には機密情報が記載されるため、万全なセキュリティ対策が必須です。

どのようなセキュリティ対策を取っているのか、具体的な対策を確認した上で、信頼できる業者を選びましょう。

年調業務を外部委託する際の注意点

経理代行サービスを選ぶ際のポイント

上の章のポイントで委託先を慎重に選ぶことのほか、次のようなことにも注意が必要です。

  • 税理士との提携を確認すること
  • 委託先への依頼は早めに行うこと
  • 委託先と決めたルールを守ること

税理士との提携を確認すること

前述のとおり、年末調整の業務には税理士にしか代行できない業務が含まれます。

書類の配布や回収、チェックなどの作業に資格は不要です。しかし、源泉徴収票や法定調書の作成など、税理士の独占業務にあたる業務を委託する先は、税理士・税理士法人か、税理士と連携している代行サービス業者でなくてはなりません。

代行サービス業者の場合、名称だけでは判断できないので、必ず税理士との提携の有無を確認してください。提携している税理士の氏名も聞いておくと安心です。

委託先への依頼は早めに行うこと

年末調整業務を委託するなら、前もって業者を選定し、なるべく早く依頼しておきましょう。代行業者も忙しくなるため、8月に入ると申込受付が締め切られている、もしくは多忙で断られるおそれがあります。

電子化に対応する場合は、その準備にも時間が必要。遅くとも半年前には業者の選定に入っておきたいところです。

委託先と決めたルールを守ること

年末調整を業務委託でスムーズに進めるためには、自社も委託先に協力する必要があります。

たとえばデータ入力のみ委託する場合は、自社ですべき作業の期限を守りましょう。業者への書類提出期限を守り、未提出者リストが届いたら速やかに当人に連絡を取るなどして、業務を遅らせないようにします。

すべて委託する場合でも、任せきりで放置せず、業者から問い合わせがあればすぐに対応するなどしてください。

年末調整業務の効率化は外部委託がおすすめ

年末調整業務の効率化は外部委託がおすすめ

年末調整を外部に委託することは、今や珍しくありません。申告書のチェックや税額の計算、従業員からの問い合わせ対応など、あらゆることが委託可能です。アウトソーシングすれば業務が大幅に効率化でき、担当者の残業やストレスも大幅に減るでしょう。

紙での作業を続けている場合は、電子化を視野に入れ、委託業者に相談してみるのがおすすめです。システムの導入からサポートしてくれる業者もたくさんあります。

ただし、年末調整業務には税理士でしか代行できないものがあります。業者への委託は、税理士との連携の有無を必ず確認し、信頼できるところを選びましょう。

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