経理のペーパーレス化を成功させるには?失敗しない進め方のポイント2025.09.11

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書庫に入りきらないほどたくさんの紙類が山積みになっている、書類を探すのにいちいち時間がかかる、何度も繰り返すから紙がもうボロボロ・・・。

そんな状況に困っているなら、ペーパーレス化のチャンスです。紙べースでの業務には、大きなリスクもあります。

とはいえ、ペーパーレス化を自社単独で進めるには、準備に手間と時間がかかります。何より、最適なシステムを構築するための知識がないとうまくいきません。

このコラムでは、今後欠かせない「経理のペーパーレス化」について、そのメリット・デメリットや進め方、失敗しないためのポイントを解説します。

経理のペーパーレス化とメリット・デメリット

経理のペーパーレス化とメリット・デメリット

経理部門でのペーパーレス化は、単に紙の書類をなくすというだけではありません。まずは。ペーパーレス化の狙いや効果、メリット・デメリットを把握しておきましょう。

ペーパーレス化は「業務のデジタル化」

ペーパーレス化とは「業務のデジタル化」

ペーパーレス化とは、その名のとおり「紙」を使わなくすること。そう聞けば単に請求書や領収書をパソコンで作り、メールなどでやり取りすることに思えますが、それだけにとどまりません。

ペーパーレス化の本質は、紙を使わないことで、各種の申請・承認・保管といった一連の業務プロセスをデジタル化すること。狙いは「業務の効率化」です。

経理のペーパーレス化が進む背景

経理のペーパーレス化が進む背景

なぜ今、経理部門のペーパーレス化が急務なのか。それには、社会的な複数の変化が影響しています。

人手不足

少子高齢化により、今後も人手不足の状態は続くでしょう。そのため、限られた人数で最大限の成果を出さねば、企業として生き残ることができません。

AIの普及

AI技術はどんどん進化し、普及しています。AIによる請求書などの作成や自動仕訳、データ分析といった機能を活用するには、デジタルへの移行が不可欠です。

働き方の多様性

人手不足は、働き方の多様性にもつながっています。テレワークやリモートワークなど、場所にとらわれない働き方も可能になりました。

オンラインで業務をやりとりするのに、紙に印刷して郵送していては時間のムダ。全員がリモートなら、一斉に書類を渡したり回収したりもできません。

法改正への対応

経理に関する法令は改正されることも多く、常に対応していかねばなりません。

特に2024年1月からは「電子帳保存法」により、電子取引で受け取った請求書や領収書などのデータは原則として電子保存が義務付けられています。紙に印刷しての保存は認められません。

ペーパーレス化による3大メリット

ペーパーレス化による3大メリット

複数の背景によって必要となってきた経理のペーパーレス化。必要性だけでなく、メリットも複数あります。特に大きなメリットとなるのがこの3つです。

  • 業務効率化と生産性向上
  • コストの削減
  • セキュリティの向上

業務の効率化と生産性の向上

手入力やファイリング、書類探しなどは、ペーパーレス化すれば自動化でき、大幅な時間短縮になります。

それにより、経理は月次決算や資金繰りの分析など、より専門知識を生かした生産性の高い業務に時間をかけられます。

コストの削減

請求書や領収書が紙でなくなれば、印刷にかかる用紙・インク代や郵送費が不要になります。

また、書類を保管するファイルやキャビネット、倉庫のスペースも不要になり、オフィスのコンパクト化やスペースの有効活用につながります。

セキュリティの向上

書類を電子データで保管すれば、紛失や盗難、情報漏洩などのリスクも減らせます。

データは複数人で共有できますが、アクセス権限を設定すれば必要な人だけに絞れ、内部統制も強化できます。

ペーパーレス化のデメリット

ペーパーレス化には、導入時などにデメリットとなることや注意点もあります。次の3つの点はあらかじめ把握し、リスクには適切な対策を講じておきましょう。

  • 初期コストは必要である
  • 業務プロセスの再設計や社内教育も必須となる
  • システム障害などのリスクもある

初期コストは必要である

経理ペーパーレス化のデメリット

ペーパーレス化には、各種システムやITツールの導入が必須です。それに伴い、複合機やスキャナーなどの機器を購入しなくてはならないケースもあるでしょう。その支出は避けられません。

しかし、長期的に見れば、紙ベースでの作業・保管などよりコスト削減となるため、費用対効果は高いと言えます。

ITシステムなどの導入には、国などの補助金が受けられることがあります。税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

業務プロセスの再設計や社内教育も必須となる

業務プロセスの再設計

ペーパーレスのためのシステム導入時には、業務プロセスを再設計する必要があります。

とはいえ、どのシステムを導入し、どのようにクラウド化するか、その選択も難しいもの。自社の実状・ニーズに合わないものを導入し、かえって効率が悪くなる例も少なくありません。

経理アウトソーシング化で必要となる社内教育

また、従業員がこれまでの慣習を捨て、新しいシステムに慣れるには教育も不可欠です。データ化する際のルール決めや、周知のための研修などを行う必要もあるでしょう。

最適なペーパーレス化の実現には、ITや業務設計の知識を持つ第三者が客観的に業務を把握した上で、業務フローを再設計する。

社内にリソースがなければ、業務プロセスの見直しから行ってくれる経理アウトソーシング業者に相談することをおすすめします。

システム障害などのリスク

ITシステムやツールには少なからず、システム障害が起きるリスクやサイバー攻撃を受けるいリスクがあります。一時的に業務がストップする、あるいは情報漏洩で損害を被る可能性は、ゼロにはできません。

そのため、まずは信頼できる業者のサポートを受けて質の良いシステム・ツールを導入し、データのバックアップを定期的にとるなどの対策もしておきましょう。

経理のペーパーレス化を成功させる3つのステップ

経理のペーパーレス化を成功させる3つのステップ

では、経理をペーパーレス化するには、何から始めればいいのでしょうか。

ペーパーレス化の成功のカギは大きく2つあります。1つは、自社に合ったシステムやツールを選ぶこと、もう1つはスモールスタートで段階的に進めていくことです。無計画にペーパーレス化を進めると、予想外の負担の大きさに現場が混乱し、業務に支障が出る恐れがあります。

次のようなステップで、効果を検証しながらムリなく進めていきましょう。

ステップ1:業務プロセスの見直し・再設計

業務プロセスの見直し・再設計

まずは、現在の業務フローを「見える化」し、ペーパーレス化に必要な準備をします。

具体的には次のような作業です。

  • 1)現状のフローについて、課題を洗い出す
  • 2)理想の業務フローを設計する
  • 3)最適なシステムやツールを選ぶ

直面している課題、たとえば時間がかかりすぎだと感じている作業、二度手間になっている入力など、非効率になっている点を書き出すなどしてまとめます。

次に、課題を解決するためにはどの作業を自動化すべきか、どの順で処理するのがスムーズかなど、理想的な業務フローに設計し直します。

ここで初めて具体的なツール選びに入ります。新たなフローの実現に必要なシステムやツール(請求書発行システム、経費精算システムなど)を決めていきます。

ステップ2:請求書・領収書の電子化

請求書・領収書の電子化

具体的なペーパーレス化は、紙で存在している請求書や領収書を電子データ化することから始めます。

手順は次のとおりです。

  • 紙の書類をスキャンする
  • パソコン上のフォルダ名や保管先を決めて保存する
  • クラウドサービスを導入する
  • 取引先に電子取引への切り替えを依頼する

書類のデータ化は、スキャナーやスマホのカメラ機能を使って行います。保存先やファイル名などは、誰にでもわかりやすくし、統一感を持たせるため、ルール化しておきましょう。

新たに発行するものについては、たとえば請求書は請求書発行システムなどのクラウドサービスを導入します。これにより、データで作成した請求書をそのまま取引先に送付できるようなり、作成したデータは自動的に保存されます。

取引先へは、請求書などについて、紙でなくPDFデータをメールで送るなどしてもらうよう依頼します。

ステップ3:経費精算のシステム化

経費精算のシステム化

経費精算は、会社の全従業員が関わる業務です。ここをシステム化することで、社内全体の業務効率が劇的にアップします。

具体的には次のようにします。

  • 1)自社に合うシステムを選んで導入する
  • 2)ルールを決めて全社内に周知する
  • 3)新たなシステムが浸透したら、古い業務フローは廃止する

経費精算システムを導入すると、従業員はスマホで領収書などを撮影し、アップロードするだけで申請できるようになります。

ただし、ルールを決めておかないと管理が困難になるため、必要なルールは決めて周知させましょう。

即日すべてを切り替えるのは難しいため、システムによる新たな方法と古い業務フローが一時期混在することは避けられません。

そして、混在した状態を放置すると両方のやり方が残って複雑化してしまいます。期日を決めるなどして切り替えてください。

ステップ4:クラウド会計ソフトの導入

クラウド会計ソフトの導入

経理業務をさらに効率化するため、クラウド会計ソフトを導入します。このソフトは、「クラウド型」であることがポイントです。それにより、請求書の発行システムや経費精算システムなど、さまざまなツールと連携できるようになります。

具体的な進め方は次のとおりです。

  • 1)自社に合ったクラウド会計ソフトを選ぶ
  • 2)既存のデータを取り込む
  • 3)新たな業務フローを確立し、移行する

クラウド会計ソフトは、自社がすでに使っているITツールと連携できるものを選びましょう。これまでの仕訳データや銀行口座、クレジットカードなどの情報を自動で取り込めるよう設定します。

新たなソフトの導入によって、業務フローも見直すことが必要です。チェック体制を見直したり、担当者の役割変更などを行い、手入力などの手間が減った分、月次決算を早めるなどこれまで着手できなかったことを進めていきましょう。

ペーパーレス化でも不十分?その先の最適解とは

ペーパーレス化でも不十分?その先の最適解とは

ペーパーレス化を実現すれば、大きく業務改善が進むことは間違いありません。ただ、それでもまた解決できない課題もあります。

ペーパーレス化でも残る課題

ペーパーレス化しても、次のような課題は残ります。

  • 手作業がゼロにはならない
  • ITリテラシーが必要
  • コア業務に専念するのは難しい
  • 社内ルールの策定や徹底に手間がかかる

手作業はゼロにはならない

既存書類のスキャンが必要なほか、取引先がペーパーレス化されない場合は、紙での作業を続ける必要があります。

ITリテラシーが必要

クラウド会計ソフトなどのシステムを使いこなし、連携させて活用するには、ITに関するある程度の知識が必要です。

社内にITリテラシーを持つ人がいないと進まず、うまく活用できない恐れもあります。

コア業務に専念するのは難しい

ペーパーレス化で経理の効率化はできても、システムへの入力などやるべきことはなくなりません。経営に近いコア業務だけに専念できるかと言えば難しいでしょう。

社内ルールの策定や徹底に手間がかかる

ペーパーレス化に伴い、新たなシステムに合わせた業務フローや、書類の作成・管理方法などの変更が必要となります。

それに関して社内ルールを作成し、周知・徹底させるのは簡単なことではありません。しかしここを怠ると、思ったような業務効率化が進みません。

その課題を解決するのは「経理アウトソーシング」

経理のペーパーレス化には、ある程度の負担もかかります。自社の負担を極力減らしたい場合は、経理アウトソーシング業者に相談するのが賢い方法です。

経理アウトソーシングとは、請求書代行、経費精算、記帳代行など、経理業務の一部または丸ごとを外部の専門家が代行してくれるサービスです。アウトソーシングすると、委託に際してペーパーレス化が自然に叶います。

経理アウトソーシングのメリット

経理アウトソーシングには、次のようなメリットがあります。

  • コスト削減
  • コア業務への集中
  • 正確で適正な処理
  • 業務フローやルールの最適化

アウトソーシングへの委託費用はかかりますが、ほとんどの場合は、人を1人雇うよりコストの削減になります。採用や教育などにかかる手間や時間も不要です。

経理業務を外注すれば、日々の経理作業から解放され、売上を伸ばすための業務に専念できます。委託先は経理の専門家なので、自社で行うより正確かつ、法に則った正しい仕事をしてれます。

業務フローの改善やルール化についても、現状の課題を解決する最適な方法の提案が可能です。

経理のペーパーレス化、始めるなら今すぐに

経理のペーパーレス化には、紙ベースでの作業の手間から解放され、業務効率化が可能になるという大きなメリットがあります。

ただ、ペーパーレス化はつまりデジタル化であり、ITリテラシーや社内での新たなルール作成、業務フローの変更などが必要です。事業のかたわら、手間も時間もかけねばなりません。

自社の負担を最小限にする方法としては、経理のペーパーレス化だけでなく、経理のアウトソーシングも行うのが得策です。アウトソーシングなら、専門家が課題解決の最善策を提案してくれるでしょう。

当社「Bricks&UKアウトソーシング」では、まずは丁寧なヒアリングを行い、貴社の課題解決に向けたサポートを実施します。
業務フロー改善も得意としていますし、母体である税理士事務所との連携で、幅広いお手伝いが可能です。お気軽にご相談ください。

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