経理の無駄な作業を減らしたい!はびこる原因と根本から解決する方法2025.06.10

経理には「これ必要?」と言いたくなる作業も多いですよね。特にペーパーレス化が進んでいない、業務効率化のメスが入っていない会社に、無駄と思える作業は多いようです。
無駄な作業に時間やコストがかかっている状態は、社員のモチベーション低下やミスの発生、経営判断の遅れなど、会社が複数のリスクを抱えているのと同じこと。原因を明らかにして、対処しなくてはなりません。
この記事では、経理で無駄と思われる作業を洗い出し、無駄がはびこる原因やリスクを解説。根本から解決する方法も紹介します。
この記事は私が監修しました!
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「株式会社Bricks&UKアウトソーシング」 業務コンサルタント
経理の業務設計・運用に優れたコンサルタントが、効率的で正確な業務請負いをお約束します。
目次
「これって無駄では?」と感じる経理の作業

まずは、無駄に思える作業にどんなものがあるか、洗い出していきましょう。
手作業での伝票入力・転記

未だに多くの会社で、会計ソフトへの手入力や、別のシステムへの手作業による転記が行われています。
二重入力の手間、そのものが大きな無駄です。同じ情報を何度も打ち込むのは非効率ですし、入力ミスを誘います。これによる修正作業はさらなる無駄で、多くの時間が奪われてしまいます。
紙ベースでの書類管理・ファイリング

契約書や請求書、領収書など、さまざまな文書を紙で管理することも、現代では無駄なことの1つ。電子データでの管理が可能な今、紙でなくてはならない理由はありません。
紙で過去の資料を見るには、大きなキャビネットや倉庫の段ボール箱から分厚いファイルを引っ張り出し、探し出さねばなりません。
忙しい中、「どこにしまったっけ?」とホコリにまみれて探し回る時間は無駄ですし、大きなストレスです。
アナログな情報共有・承認フロー

ペーパーレス化が進んでいない会社では、「ハンコ文化」も根強く残ります。上司が外出や出張で不在にする間、承認を待つ無駄な時間が生まれます。机の上に置いておいても、他の書類に紛れて気づかれない、なんてことも。
情報を口頭で伝えていると、いつ誰が言ったのかなど記録が残らず、情報の信ぴょう性すら疑わしいものに。
紙で回覧するにしても、誰かのところで滞ったり、どこにあるかもわからなかったり。「今どこにあるのか」を確認するのも一苦労です。
慣習だけの資料作成・曖昧な確認フロー

「これって誰が見てるの?」、「共有なら別の資料でも可能なのに…」そんな資料を作り続けているケースもあるようです。慣習で続けているだけの不要な作業も、まさに無駄の一言でしょう。
チェック体制が整っていないような場合も、すでに他の人が確認したものを二重三重に確認したり、逆に「どうせ誰かが見ているでしょ」と形骸的なチェックになっていたりすれば、単なる無駄になりかねません。
郵送での書類のやり取り

請求書の送付や納品書の受領など、郵送での書類のやり取りも無駄の1つと言えます。封筒や切手の購入、発送準備といった手間のほか、印刷費や送料などのコストもかかります。
書類を送ってから到着するまでの時間も、オンラインでのデータ送付がメインの今では遅く感じられ、無駄な時間に思えます。
証憑(請求書・領収書など)の手入力

紙で受け取った請求書や領収書の内容を、手作業で1つ1つExcelや会計ソフトに落とし込むのも、システム連携で自動化が可能な今となっては無駄な作業と言えます。
取引件数が多いほど入力作業にも時間がかかりますし、それを人の目で1つ1つ確認することも、時間や労力の無駄と言えるでしょう。
その上ミスでも発生すれば、無駄どころか大きな信用問題にも発展しかねません。
小口現金の対応・管理

社員の立て替え経費や小額の支払いに利用される小口現金。キャッシュレス化が進まず、まだその管理に手間と時間を要する会社も少なくありません。
しかし、たとえば現金の残高が合わなかった時のストレスはかなりのもの。原因の究明に時間がかかれば、無駄な残業も発生します。
小銭を用意するために両替に行ったり、両替を頼まれたりすることも、単純業務とはいえ時間がかかる無駄な作業の1つです。
無駄な経理作業を放置することのリスクとは

無駄な作業を続けることの問題点は、単に担当者に手間や時間がかかっているというだけでなく、組織全体に関わるリスクが潜んでいることです。具体的には次のようなことです。
- 見えないコストの発生
- ヒューマンエラーの見逃し
- 他部署との連携不足、連絡遅延
- 不正の発生・見落とし
- 経営判断の遅れ
- 経理担当者の不満・離職
- コア業務への集中阻害
それぞれ具体的に説明します。
見えないコストの発生
無駄な経理作業を続けていると、些細で見えにくいコストが積み重なっていきます。たとえば、担当者の残業代はわかりやすいコストですが、それには光熱費も必要になります。
紙の書類には、用紙やファイルなどの消耗品費、印刷にかかる事務用品費、切手代などの郵送費、保管するための書庫やそのスペースも必要です。
スペース、つまり置いておくだけでも家賃やレンタル倉庫代などが必須です。廃棄するにも、シュレッダー代や廃棄業者への依頼費用は避けられません。
金銭以外のコストもあります。過去の書類を探すのにかかる時間も、積み重なれば大きなコストでしょう。
ヒューマンエラーの発生・見逃し
手作業でのデータ入力や、別のシステムへの転記、二重入力などの無駄な作業は、入力ミスや計算間違いなどのヒューマンエラーも起こしやすくします。
また、ヒューマンエラーは、気づくのもなくすのも困難です。請求書のミス、税務申告の誤りなど大きなミスにつながれば、会社としての信用にも響きます。
ミスが発覚した際は、原因の特定から修正、関係者への説明や謝罪などに手間と時間が取られ、業務が滞ってしまいます。
他部署との連携不足、連絡遅延
他部署との連絡を口頭や書面で行っていると、スムーズな連携ができず、時間にズレが生じがち。
たとえば営業社員からの経費申請が上司不在などにより遅れると、正確な月次決算ができません。
情報共有のルールが曖昧だったりすれば、必要な情報がタイムリーに届かずクライアントに不信感を持たれてしまったり、ビジネスチャンスを逃したりといった事態に繋がります。
不正の発生・見落とし
形骸化した承認フローや確認体制では、チェックが甘くなります。そうなれば、従業員による着服などの不正が起こりやすくなります。ずさんな管理体制では不正にも気づけず、会社が多大な損失を被ってしまいます。
不正は、金銭的な損失だけでなく、信用やイメージの失墜といった大きな損害につながり、回復には長い時間がかかります。
経営判断の遅れ
経理業務に手入力や紙での管理が多いと、集計などの作業に時間がかかります。これは、必要な売上やコスト、利益といった重要な数字をリアルタイムに把握、分析することも困難にします。
現状の正確な数字の把握が遅れれば、戦略的な判断や新たな投資決定などが遅れます。間違った予測やビジネス機会の損失につながりかねません。
経理担当者の不満・離職
手入力や転記などの無駄な作業は、経理担当者のストレスや疲労を増幅させます。仕事へのモチベーションが削がれ、「このままでいいのか」といった疑問や、改善しない会社への不満や不信感が生まれることも。
優秀な人ほどより高レベルな環境を求め、離職を考える可能性があります。優秀な社員を失えば、新たな採用や教育コスト、残った従業員の負担増など、組織の不安定さにつながります。
コア業務への集中阻害
日々のルーティン作業に追われていると、経理が力を入れるべきコア業務が疎かになるのも問題です。
経理のコア業務とは、予算の策定や資金繰り予測、経営分析など、会社の将来を左右する重要な業務を指します。
無駄な作業に時間を取られてコア業務に集中できなければ、経営にも悪影響を及ぼします。これでは経理が単なる「作業部署」になってしまいます。
無駄な作業がはびこる6つの根本原因
経理に無駄な作業が発生してしまうのには、奥底に複数の原因が考えられます。解決するために必要な、その根本原因についても見ておきましょう。
昔からのやり方に固執

「これまでずっとこうしてきたから問題ない」―この考えが、無駄な作業を温存する原因の1つです。
変化を嫌い、前例を踏襲するだけでは、非効率な業務プロセスでも見直し・改善されることなく、組織の成長も図れません。
ITリテラシーの不足・ITへの抵抗感

前項にも通じますが、新たなことへの苦手意識、ITツール導入の必要性やそのメリットについての理解不足も、無駄な作業をなくせない原因です。
新たな挑戦よりも現状維持を選び、結果として無駄なアナログ作業に頼り続けてしまいます。
経理部門の孤立、他部署との連携不足

営業と経理の連携がうまくいかない会社は多いもの。必要な情報がタイムリーに届かない、書類のルールや提出期限が守られないことなどによって、経理にしわ寄せが来る結果となります。
これには、いわゆるバックオフィスへの軽視や理解不足も原因となっている可能性が。最適化は会社全体ですべきとする意識の醸成が必要となるでしょう。
経営陣の理解不足、投資への消極性

営業部門だけでなく、経営陣が経理の重要性を理解していない、経理にIT投資する必要性を見出していないするケースも多いようです。
そうなると、経理部門が十分な予算や人員を確保できず、無駄を改善しようにも行うことができません。
多すぎる業務量、人員の不足

日々の業務や目の前のタスクに追われる状況では、無駄だと思う作業でも、とにかく進めるしかありません。
上司に改善を提案する時間も取れず、同じく上司も多忙なため、改善を検討する時間的・精神的余裕がない状態になってしまいます。
業務マニュアルなし、属人化

業務マニュアルがなかったり、特定の人にしかできない業務があったりすることも、無駄を生む原因です。
マニュアルがなければ、担当者によってやり方が異なり、確認作業も手間取ります。属人化が進めば、二重チェックや業務フローの逆行といった非効率さが生まれます。
無駄をなくす!経理業務効率化の4つのポイント
ここまで見てきた、経理の無駄な作業の具体例と、それが引き起こすリスク、そして根本原因。これらを解消し、経理業務を効率化するための具体的なポイントを見ていきましょう。
業務フローの見直しと標準化

経理業務を効率化するには、まず現状の業務フローを「棚卸し」し、「見える化」することが不可欠です。担当者が複数いる場合、全員のすべての業務から無駄を洗い出さなければ、効率化はできません。
不要な作業は廃止し、必要な作業とそのフローをまとめた業務マニュアルを作成。業務の標準化、つまり誰がやっても同じようにできるようにします。
そうすれば、経理部署全体の業務能力が上がり、効率も上がります。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」では、お客様の仕事を現状のままお引き受けすることはありません。
まずは経験豊富な業務設計士が現状を確認させていただき、無理のないアウトソーシングのために必要なルール整備などをご提案いたします。
業務フローに無駄がある気がするものの、その無駄をどう抽出すべきかわからない…そんなお悩みをお持ちの経理部長様、経営者様はぜひ一度、当社「Bricks&UKアウトソーシング」にご相談ください。
ITツールやシステムの積極活用

無駄な作業の多くが手作業・手入力によるものです。そのため、業務効率化にはITツールやシステムの活用が欠かせません。
たとえば会計ソフトを導入すれば、入力・集計・確認の手間を省けます。経理精算システムで申請・承認フローをシンプル化、オンライン請求書でペーパーレス化を図るなど、各種システムの利用も便利です。
社内外の情報共有には、グループウェアやチャットツールを導入しましょう。
大量のデータ入力や定型的な繰り返し作業が多い場合には、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)による自動化も検討すべきです。
新規のお客様のほとんどが、経理の作業手順書をお持ちでない状態です。
しかし、手順書のないまま紙ベース・知識や経験に頼った作業を行うのには大きなリスクがあります。
作業工程や、作業の必要性・理由などがわからなければ、担当者が退職した後にトラブルとなりかねません。
たとえばチャットツールでコミュニケーションを取る、人のスキルでなくシステム設定で運用するなどしていれば、記録を残せたり、属人的なフローを作らずデータ作成ができたりして、リスク回避につながります。
現状の経理業務の中で、システムに変換できる部分がないか、ご検討されることをおすすめします。
意識改革とコミュニケーションの円滑化

経理業務の効率化には、働く人の意識改革と円滑なコミュニケーションが欠かせません。まずは、経理部門から他部門へ積極的に働きかけ、部門を超えた協力体制を築きましょう。
また、経営層にはIT投資の重要性や経理業務の価値を伝え、理解してもらうことが大切です。
そして何より、経理担当者自身がIT化の必要性を理解し、新しいツールや仕組みを積極的に受け入れる姿勢が必要です。
外部へのアウトソーシングを検討

社内で経理の効率化を進めるのが難しい場合や、時間的に余裕がない場合、外部へのアウトソーシングも有益な方法です。経理専門の業者なら、社内で行うよりミスなく効率よく進めてくれるでしょう。
一部業務や丸投げなどの融通も利くため、自社に合った使い方ができ、コア業務にも集中できます。
経理代行を専門とする経理アウトソーシング会社のほか、税務申告や決算業務の代行もできる税理士などへの委託など、社外リソースをうまく活用してください。
経理の無駄をなくせばいいことづくめ

経理には無駄な作業も多く思えますが、多くの場合、無駄なのはその「方法」です。経理の仕事自体に無駄はないと理解して、必要な業務改善やIT化などを進めていきましょう。
とはいえ、進めるにも時間や労力はかかります。手に負えない場合には、経理アウトソーシングなど外部リソースの活躍も検討してください。
当社Bricks&UKアウトソーシングは、業務プロセスの改善を得意とした経理代行会社です。多くの場合、パート採用より安いコストで委託できます。ぜひ一度お問い合わせください。
アウトソーシング会社を活用するメリットは、かつては「コスト」のみだったように思います。しかし、転職が当たり前となってきた世の中で、経理マンが退職することへのリスク回避という側面も強くなってきました。
退職する社員が、すべての情報をきちんと後任に引き継ぐとは限りません。後任も、中途半端に任されればプレッシャーとなり、早期退職するといった構図も生まれかねません。
「人」に悩んだ時こそ、退職リスクのない経理アウトソーシングを活用してみてはいかがでしょうか。