経理の繁忙期をラクにする!業務効率化とアウトソーシング活用術2025.12.04

経理には毎月月末・月初に繁忙期があり、年末には年度の繁忙期も重なります。経理担当者にかかる負担は大きく、モチベーションの低下やミスの増加を招き、離職の原因にもなり得ます。
とはいえ、繁忙期だけ経理を増員するのも現実的ではありません。
そこで実施したいのが、業務フローの改善やITツールの導入による業務効率化。繁忙期だけ経理をアウトソーシングするのも、業務のムダとムラをなくすのにおすすめの方法です。
今回は、繁忙期をラクにする業務効率化の方法と、アウトソーシングの活用法について解説します。
目次
経理の繁忙期はいつ?年間の流れと業務内容

経理の繁忙期は、大きく次の3つの周期で訪れます。
- 月次(月末月初)
- 四半期(3カ月ごと)
- 年次(年末、決算時期)
これが重なる時期には担当者の負担もピークに達するため、特に注意が必要です。それぞれのタイミングで何をするのかも見ていきましょう。
毎月訪れる月次の繁忙期

経理では、月末と月初は必ず忙しくなります。というのも、取引先への請求や支払いがまとめて行われ、集計など期限の決まった作業も集中するからです。
| 時期 | 主な業務 | 具体的な作業 |
| 月末 | 月の売上と費用の確定・請求、 帳簿締め | 請求書の発行、売掛金・買掛金の締め処理、給与計算(締め日が月末の場合) |
| 月初 | 請求した代金の回 収、 前月分の費用や税金の支払い | 給与の振り込み、売掛金の入金確認(消込作業)、各種支払い業務 |
月次業務が遅れると資金繰りの悪化や信用の低下につながるため、締め切りは厳守です。そのため、担当者の残業や休日出勤も増えてしまいます。
四半期・半期ごとの集計作業

3カ月ごとの「四半期」、6カ月ごとの「半期」には、経営状況を把握するための業績報告などが行われます。その集計作業などが通常業務に加わるため、忙しくなります。
| 時期 | 主な業務 | 具体的な作業 |
| 四半期 | 業績集計と資料作成 | 部門別データの集計 計画と実績のズレなど、月次より詳細な経営資料の作成 |
| 半期 | 固定資産・在庫の確認と評価 | 年次決算に向けた固定資産の減価償却確認や棚卸し資産の評価 |
| 中間業績のまとめ | 半期分のデータの整合性チェックと修正 | |
| 重要な勘定科目の残高確認 | 未払金や仮払金の残高確認作業 | |
| 法人税等の中間申告・納付 | 企業規模により、納税と申告作業が必要 |
さらに、5月~6月には住民税の計算作業、7月には社会保険料を決める標準報酬月額に関する算定作業が加わり、より忙しくなります。
年末調整と決算期は最大の山場

経理が最も忙しくなるのが、年末調整作業が発生する11~12月と、年度末の決算月です。
| 時期 | 主な業務 | 具体的な作業 |
| 年末 | 年末調整と法定調書作成 | 全従業員の控除書類の回収と確認、所得税の計算、源泉徴収票や法定調書の作成 |
| 年度末 | 資産と負債の金額を確定 | 実地棚卸しや固定資産の除却・売却などの最終確認 |
| 決算書の作成と税務申告 | 1年間のすべての取引を集約、利益や財務状態の最終的な確定、法人税などの申告と納付 |
特にこの時期は、短期間に膨大な作業が集中します。どれも重要な業務であり、多忙を極めます。
経理の繁忙期に潜む、見逃せないリスク

経理の繁忙期は必ずやってきて、担当者は残業や休日出勤などでなんとか時間を作り、業務を行っています。しかしそこには、次のような大きなリスクもはらみます。
致命的ミスが増加するリスク

期限が迫るなか、過剰な業務量をこなしていると、ヒューマンエラーも起こりがちです。単なるミスですめばいいですが、繁忙期の重要な業務でのミスは、経営にも致命的となる可能性が。
振込先や金額の間違い、誤送金などの可能性が高まります。計算ミスや計上漏れで残務諸表の数字が不正確になれば、経営判断に影響することも。税金の計算をミスすれば、過少申告などでペナルティを受ける恐れも出てきます。
ノウハウの属人化と不正のリスク
経理部門で起こりがちな、「その人にしか業務ができない、わからない」という属人化。繁忙期には、時短や即席の効率化のため、属人化がさらに進みがちです。属人化すると、当人が体調を崩して休めば業務がストップし、他の業務にも支障をきたします。
チェック機能も働かないため、ミスが起きても気づくのは困難です。さらにブラックボックス化して何をしているのかもわからなくなれば、架空請求や経費の水増しなど、不正の温床にもなり得ます。
従業員の疲弊と退職のリスク

繁忙期には、担当者にかかる負担も相当なものです。ミスをしてはいけない、期日までに終わらせなければならない、という責任感や緊張感を常に持ちながらの作業。それを連日の残業や休日出勤などで続けていると、体力的・精神的に疲弊し、モチベーションが低下します。
疲弊はミスを招くほか、体調不良で長期休職といった事態になりかねません。仕事へのモチベーション低下は転職への動機となり、急な退職のリスクが高まります。
繁忙期リスクに備える3つの改善策

事業を行う限り、経理の繁忙期は避けられません。だからこそ、リスクはできるだけ低く抑えるための業務改善が必要です。考えたいのは、次の3つの改善策です。
- 業務フローの整理とペーパーレス化
- 会計ソフトなどツールによる業務の自動化
- 外部のプロを活用するアウトソーシング
それぞれ解説します。
業務フローの整理とペーパーレス化

効率化の基本は、ムダをなくし、ムラもなくすこと。まずは業務フローを整理し、ペーパーレス化で手作業のムダをなくします。
請求書や領収書など紙の書類は電子データ化し、書類の手書きや保管、捜索にかかる時間やスペースを削減します。また、業務の手順をマニュアル化し、誰もが同じ作業を同じレベルでできるよう統一します。
会計ソフトなどツールによる業務の自動化

手作業のムダをなくすには、ITツールなどの導入による業務の自動化も欠かせません。たとえば、クラウド会計ソフトを導入し、銀行口座やクレジットカードを連携させて仕訳を自動化します。
経費精算システムを導入すれば、スマホで領収書を撮影するだけでデータ化と自動精算が可能に。請求書管理ツールを使えば、請求書の発行や郵送、消込作業も自動化可能。
いずれも、導入で手間が減るだけでなく、ミスも減らせるメリットがあります。
外部のプロを活用するアウトソーシング
経理には定型的な業務が多いため、実はアウトソーシングにも向いています。
経理のアウトソーシング会社は、言うまでもなく経理業務を専門に代行しています。請負実績が多いほど、経理や業務効率化のノウハウも持っています。従業員を1人雇うより安くプロの知識を活用できるケースがほとんどで、多くの企業で活用されています。
社内改革の難しさと外部委託のメリット

経理の繁忙期の負担軽減には、社内での業務改善も有効ですが、それ以上におすすめなのが、外部への委託です。その理由を、順を追って説明します。
自社での改善にかかるコストは大きい

業務フローの見直しやITツールの導入は、口で言うほど簡単ではありません。改善のための時間を繁忙期に作るのは不可能に近いでしょう。自社に合ったツールやシステムの構築には、業務設計やITに関する専門的な知識も必須です。
改善したつもりが浸透せず、ツールがあるのに手作業が続けられている、システムがうまく連携しておらず二度手間になっている、というケースもよくあります。しかしそれでは、費用をかけてムダを増やしただけになってしまいます。
外部委託で得られる確実なメリット

外部に業務を委託するアウトソーシングは、一定期間だけ、一部業務だけの委託も可能です。増員ほどの手間や費用もかからないので、繁忙期対策に最適です。
社内の業務負担が減るのはもちろんのこと、委託の際に業務フローがおのずと改善されること、経理専門スタッフによる正確な作業で、致命的なミスが回避できることなど、複数のメリットがあります。
繁忙期だけでも外部のスタッフの目が入り、属人化の解消にもなります。抑止力が働き、不正のリスクも大幅に削減できます。
次の経理繁忙期が来る前に対策を!

経理の繁忙期は待ったなしでやってきます。業務量が単に多いというだけでなく、信用や法律にかかわる致命的なミス、不正などのリスクもはらむため、体制をしっかりしておく必要があります。
とはいえ、タダでさえ忙しい中で社内改革をするのも難しいでしょう。おすすめは、経理専門のアウトソーシング会社に委託することです。
繁忙期対策としては繁忙期のみの委託も可能ですが、定型業務をまるごと委託すれば、退職リスクもなくなり、人手不足でも関係なく、外部に専門のリソースを確保できます。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」は、業務設計の実績も豊富で、ていねいなヒアリングから状況に合った課題解決をお手伝いします。ぜひお気軽にご相談ください。

