経理はパートよりアウトソーシングがお得?コスト面などから徹底比較2025.03.15

終身雇用から転職の時代に入り、「経理は正社員でないとダメだ」という時代も終わりました。コスト削減のためにも、パート雇用で経理担当者を探そうとしている事業主の方は少なくありません。
確かにパートなら比較的早く採用できますし、子育て中などで短時間しか働けない経理経験者が見つかる可能性もあります。
しかし実は、パートよりもおすすめの選択肢があります。それが「経理のアウトソーシング」です。
この記事では、経理をパートで採用するのとアウトソーシするのとを比較します。自社に合うのはどちらの方法か、ぜひ検討してみてください。

目次
経理を正社員でなくパート採用する理由
以前は、会社の重要な数字や金銭を扱う経理部門は正社員だけに任せるのが一般的でした。
しかし近年は、経理業務をパートタイマーに任せることも珍しくありません。それには社会的な背景や企業の狙いがあります。
経理をパート採用する背景と狙い

今や正社員でも転職は当たり前の時代です。「正社員には愛社精神が培われている。だから不正の可能性も低い」などという考えも、過去のものになりました。
そのため、次のような狙いで経理を正社員でなくパート採用する企業が増えています。
- 人手不足・急な欠員の補充
- コストの削減
- 雇用期間や労働時間の柔軟性
それぞれ見ていきましょう。
人手不足・急な欠員の補充

就職・転職の売り手市場が続き、多くの中小企業が人手不足に悩む状態です。
経理の人手不足を解消するため、あるいは急に退職してしまった経理担当者の補充として、パートが選ばれることも増えました。
コストの削減

短時間のパートで採用すれば、給与や社会保険料の負担も正社員よりかなり削減できます。
バックオフィスにかかるコストを抑えるにも、パートは候補の筆頭でしょう。
雇用期間や労働時間の柔軟性

有期契約で雇用でき、正社員より短い勤務時間で求人募集ができるのも、パート採用のメリットです。
もちろん法の規定内ではありますが、ある程度は自社の都合に合わせた柔軟な契約で採用できます。
企業が経理のパートに期待すること

企業は経理のパートに次のようなことを求めています。
- 経理のスキル・実務経験
- 作業の正確さ・ていねいさ
- 職場への適応力・協調性
比較的低コストで、労働時間も短いパートですが、企業が求めることは正社員に求めることと変わりありません。
企業にとっては都合のよい立場とも取れるパートタイマーですが、正社員と同等のことが求められる環境では働く側の負担が多く、不満がたまりやすい状態でもあります。
2021年より「同一労働同一賃金」が原則となり、パートでも社員と同等の業務を任されれば同等の賃金を払うべきとされています。
不合理な待遇の格差があったとしても罰則はありませんが、従業員の不満を招き、早期離職につながるので注意が必要です。
経理をパート採用することのメリット・デメリット
経理担当をパートで雇うことには、メリットもあればデメリットもあります。改めて確認しておきましょう。
経理をパート採用するメリット

前項とも重複しますが、経理のパート雇用には企業にとって次のようなメリットがあります。
- 採用コスト・時間が抑えられる
- 業務の繁閑を考慮して契約できる
- 人件費を抑えられる
1つずつ見ていきましょう。
採用コスト・時間が抑えられる
人材採用には、求人広告費や人材紹介会社への手数料など、多くのコストがかかります。
採用コストは年々上昇していますが、パートなど非正規雇用の場合は正社員の半額以下というのが一般的です。書類選考や面接なども、パートは正社員より簡略化される傾向です。
業務の繁閑を考慮して契約できる
パート採用の場合、契約の期間を定めた有期雇用ができ、勤務時間も3時間程度から可能です。
閑散期に時間を持て余すことなく、自社の実状とニーズに合った採用が可能です。
人件費を抑えられる
人件費は、勤務時間が短いほど安く抑えられます。
勤務時間が正社員より大幅に短いなどの場合は、社会保険料などの負担もありません。
ただし「パートだから社会保険に入れなくていい」というわけではないので要注意です。
経理をパート採用するデメリット

コスト面などにメリットがある一方、経理のパート採用には次のようなデメリットもあります。
- スキルのバラつきが大きい
- 責任ある業務は任せにくい
- 役員報酬や社員の給与額などを知られる
- 定着しにくく、長期的な育成は難しい
- 時間外労働が難しい
順に説明します。
スキルのバラつきが大きい

パート採用の場合、正社員に比べて採用基準が低く、選考過程も簡略化されがちです。そのため、経験・スキルのレベルを正確に把握するのは難しいでしょう。
別の企業の実務経験が長くても、自社の業務は未経験で即戦力にならなかった、というケースも多々あります。
責任ある業務は任せにくい

営業時間中フルにいるわけでない、かつ給与も低いパート社員には、責任ある仕事は任せにくいものです。
パートは本来、サポート的立場や作業要員としての活用に適しています。
役員報酬や社員の給与額などを知られる

経理を任せるなら、経営の数字だけでなく役員報酬の額や一般社員の給与額なども知られることになります。
パートの賃金との差が大きいなどの場合、それによって当人のモチベーションが下がったりする恐れもあります。
定着しにくく、長期的な育成は難しい

正社員と比べ、パートで働く人にはキャリアや働くことへのモチベーションや会社への愛着心・忠誠心のようなものも低い傾向があります。
「嫌ならやめればいい」という意識も正社員より強いため、定着しにくく、長期的に育成しようにも難しいのが現実です。
定着しなければ、その都度また採用コストや引き継ぎなどの必要性も発生してしまいます。
時間外労働が難しい

また、時間を限定して働くのがパートなので、繁忙期でも時間外労働は断られがちです。
会社のために多少無理してでも…という姿勢も期待はできません。
「経理をアウトソーシングする」という選択肢

経理をパートで採用することのメリット・デメリットを見ると、メリットよりデメリットの方が明らかに多いことがわかります。
コストが安いというだけでパートを採用しているなら、その他の選択肢も視野に入れてみてはどうでしょうか。
その選択肢の1つが、経理のアウトソーシングです。
経理のアウトソーシングとは

経理のアウトソーシングとは、自社で行っている経理業務を外部の代行業者に委託することです。
重要な業務を外部に委託することに抵抗があるという人もいますが、経理には定型業務も多いのでアウトソーシング向き。規模の大小を問わず、多くの企業で活用されています。
記帳などの一部業務のみのアウトソーシングも、経理業務まるごとのアウトソーシングも可能です。
経理をアウトソーシングするメリット

経理をアウトソーシングすることには、次のようなメリットがあります。
- 専門知識を持つプロに任せられる
- コア業務に集中できる
- 人件費などコストが抑えられる
- 最新の経理システムが使える
- 業務効率化もできる
専門知識を持つプロに任せられる
経理の代行業者は、経理の業務経験や知識を持った人の集まりです。
組織として存在するため、自社で人を雇った場合のように「知らない」「やったことがないからわからない」と業務が滞ることもありません。
コア業務に集中できる
経理をアウトソーシングすれば、自社の人材はコア業務に集中できます。
総務と経理を兼任していたなら総務に専念できますし、経営者自らが経理をしていたなら、より高度な経営判断に注力できます。
人件費などコストが抑えられる
経理アウトソーシングのコストは、人を1人雇うより安くなることが多いです。
給与などのほか、採用にかかるコスト、勤怠などの労務管理、研修など教育のコストも必要ありません。
最新の経理システムが使える
経理代行業者では、経理システムも最適化されています。
業者が最新のものを活用することで、自社が保守管理などの費用を払うことなくその恩恵を受けられます。
業務効率化もできる
業者が持つ知識のほか、他社の経理代行で培ったノウハウも、自社の代行に活かされます。
改善すべきフローなどがあれば、業者によってはアドバイスをしてくれます。そのため、経理業務を効率化できます。
経理をアウトソーシングするデメリット

ただ、経理アウトソーシングにも、次のようにデメリットとなる点があります。
- 委託費用がかかる
- 業者への機密情報の開示が必要
- 社内にノウハウが残らない
- コミュニケーション不足がネックとなる
委託費用がかかる
コストダウンになるとはいえ、外部業者なので料金の支払いは必須です。
経理代行サービスと一口に言ってもさまざまな業者が存在し、業務範囲や料金も異なるため、委託する業者や業務範囲などによっては高額になることも。
業者への機密情報の開示が必要
経理をアウトソーシングするには、委託先業者への情報開示も必須です。
経理が持つ情報といえば機密情報も多いですが、開示・共有しなくては代行もできません。
社内にノウハウが残らない
アウトソーシングすることで、経理ノウハウが自社に残らないこともデメリットと言えるでしょう。
ただ、将来的に内製化する可能性がなければ大きな問題ではありません。
コミュニケーション不足がネックとなる
代行業者とは、相性やコミュニケーションも重要です。密に連携を取らなければ、無駄な作業や時間ができてしまい、代行依頼するメリットが半減してしまいます。
丸投げにしたとしても、代行業者とのやり取りは必須です。
経理パートの採用vs 経理アウトソーシングを比較

では具体的に、経理をパート採用する場合とアウトソーシングする場合で何がどう違うのかを比較してみましょう。
負担する費用
負担する費用は、経理アウトソーシングの方が少なく済むのが一般的です。
ただし、委託する業者や委託する業務の範囲などによっては、あまり変わらない、もしくは高額にもなり得るので注意が必要です。
パート採用 | 経理アウトソーシング |
---|---|
・採用コスト (求人広告費、採用管理サイトの利用料、面接用の貸会議室利用料など) ・人件費 (給与、社会保険料、福利厚生費など) ・備品・消耗品費 (パソコンやデスク、文房具、社員証など) | ・委託費用 ・(場合によって)システム導入費用 |
アウトソーシングへの委託時に、システムの導入費用がかかるケースがあります。
ただしこれはデメリットとなるだけでなく、業務効率化という大きなメリットにもつながる出費です。
行うべき人事労務管理
アウトソーシングの委託先は外部業者のため、実務スタッフの人事労務管理もアウトソーシング会社が行います。
自社で何もする必要がないというのも大きなメリットです。
パート採用 | 経理アウトソーシング |
---|---|
・求人募集、選考、採用 ・雇用契約 ・勤怠・労務管理 ・教育訓練 (引継ぎや業務指導、コンプライアンス教育など) ・職場環境の整備 (物理的な環境や人間関係など) ・人事評価・昇給 など | 必要なし |
業務の専門性
業務の専門性については、パートの場合、採用する人材に大きく依存することになります。
その点、経理代行サービスでは経理の代行を本業としており、業務の専門性も高いです。
パート採用 | 経理アウトソーシング |
---|---|
・個人の経験やスキルにバラつきあり ・採用時点での見極めは困難 | ・専門知識や経験を持つ人の集まり ・教育などは業者で行われる |
業務効率
務効率についても、パートでは採用する人材の経験や能力が関わるほか、自社の体制でも大きく異なってきます。
アウトソーシングの場合、これまでの実績で培った業務のノウハウや、進化する各種経理システムの活用によって、効率的な作業が行われています。
パート採用 | 経理アウトソーシング |
---|---|
・個人の能力や経験、自社の業務量や社内体制、業務フローなどが大きく関わる | ・ノウハウや各種システムを活用した効率的な作業を実施 |
対応の柔軟性
パートは正社員に比べ、柔軟な対応も難しくなっています。
一方で経理アウトソーシングは、自社の状況に合わせた業務設計、つまりムダを省き、必要なサービスだけを行うことが可能です(ただし対応の柔軟性は業者による)。
パート採用 | 経理アウトソーシング |
---|---|
・雇用契約時の業務内容、勤務時間、日数の範囲にとどまる ・暇でも時給は発生する ・時間外の対応は難しい | ・必要な時に必要なサービスを依頼できる ・時間外や緊急の対応は難しい |
ただ、時間外の対応については、パートと経理アウトソーシング、どちらも対応は困難です。急な依頼をしなくて済むよう、業務進行のスケジュールもしっかりしておく必要があるでしょう。
経理アウトソーシングの委託先と選び方
経理をアウトソーシングしようと考えた場合、委託先も検討する必要があります。選択肢と選び方について見ていきましょう。
経理アウトソーシング先の選択肢
経理アウトソーシングの委託先には、主に次の3種類が挙げられます。
- 税理士・会計事務所・税理士法人
- 経理アウトソーシング業者(経理代行サービス会社)
- フリーランス経理
まずはこの中のどの業者に依頼するかを考えましょう。
税理士や会計事務所の場合、より質の高いサービスが期待できるほか、税務や決算業務も一貫して委託できるというメリットがあります。ただしその分、料金も高くなる傾向です。
経理アウトソーシング業者は、専門業者でありつつ、料金が比較的安いことが特徴です。税理士法人が母体となっている業者も多く、その場合は税務や決算についても連携して税理士が行ってくれます。
フリーランスで経理業務を行う人に依頼するのも1つの方法です。
ただし、インターネットのクラウドサービスを利用する場合、スキルの個人差が激しいほか、連絡が急に取れなくなったり、体調不良で急な契約解除を余儀なくされたりするケースもあります。料金は一番安くなる可能性もありますが、セキュリティの面も含め、利用には最も注意が必要です。
委託先の選び方ポイント
委託先を選ぶ際は、次のポイントで選ぶのがおすすめです。業者はたくさん存在していますが、それぞれで業務内容や範囲、料金やセキュリティ面など、多くの条件が異なります。
- 運営元はどんな会社・どんな人物か
- 実績はどれくらいあるか
- 自社と同じ業界・業種の実績もあるか
- 自社に必要なサービス・サポートをしてくれるか
- 業務内容に見合った料金か
- 連絡はしやすいか、レスポンスは早いか
- セキュリティ対策は万全か
- 実務担当はどんな人か、どんな体制か
自社の重要な情報を共有しても問題ない相手なのか、自社のニーズに応えてくれるのかなどを見極める必要があります。
自社と同じ業界・業種の経理代行実績があって、特有の事情や処理方法なども承知していれば、よりスムーズに委託できます。
セキュリティ面では、プライバシーマークなどの取得の有無や、実施しているセキュリティ対策を具体的に確認しておきましょう。
担当者にさまざまな質問をし、対応やそのスピード、相性なども見極めてください。
経理はパート採用よりアウトソーシングがおすすめ
経理担当者がすぐに必要、誰でもいいからすぐ来てくれる人が欲しい、と急いでパートを募集しようとしていませんか?
もしくは、パートなら正社員より安い給与で、同じような仕事をしてもらえると思ってはいませんか?
コストも手間もかけられない場合、採用よりも外部委託がおすすめです。パートは正社員よりコストが抑えられるものの、業務内容や質が正社員と同等の場合は「同一労働同一賃金」が原則です。
そこでおすすめなのが、経理のアウトソーシングです。パート雇用より安くなる可能性も高く、労務管理なども不要です。経理専門の業者なので作業の質も高いと期待できます。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」は、1カ月のお試しから可能な経理アウトソーシングサービスを行っています。税理士法人が母体なので、税金関係や決算関連の業務も請負可能です。ぜひお気軽にご相談ください。