経理代行の丸投げはどこまで可能?委託先や業務の内容、注意点も解説2025.02.21

起業以来、事業に関わるすべてを自分1人でしてきた場合、事業が軌道に乗るにつれ負担となるのが「経理」です。今後も1人で進めていくには限界を感じる人もいるでしょう。

また、経理担当者を1人雇ってはいたものの、突然退職されるなどすれば、たちまち業務が回らなくなってしまいます。

そこで確認しておきたいのが、経理業務を「丸投げ」できるサービスです。今回は、経理の丸投げとはどこまでの範囲を意味するのか、メリット・デメリットや費用相場のほか、丸投げする際の注意点も解説します。

経理の丸投げとは

経理を「丸投げする」という表現はよく使われますが、具体的にどこまでの範囲なのか気になりすよね。まずはこの「丸投げ」について確認しておきましょう。

経理業務のすべてを委託すること

経理の丸投げとはすべてを委託すること

経理業務の丸投げとは、自社で行う経理のすべてを外部委託することを指します。

主な流れは、まず領収書や請求書、通帳のコピーや賃金台帳などの資料を代行業者に送るか、もしくはデータにして送付します。すると業者が、記帳や仕訳、請求書の管理や振り込み、売掛金・買掛金の管理などを行います。

丸投げできる経理業務

丸投げできる経理業務

「経理の丸投げ」には、次のような業務が含まれます。

  • 記帳代行
  • 請求書発行
  • 売掛・買掛金の管理
  • 経費精算
  • 給与計算
  • 振込・支払代行
  • 資金繰り表・キャッシュフロー計画書などの作成

ただし、業者によって請け負う範囲が異なる場合もあるので注意が必要です。

「丸投げ」と「記帳代行」の違い

「丸投げ」と「記帳代行」の違い

「丸投げ」と同じくよく聞く言葉に「記帳代行」があります。記帳代行とは、文字通り記帳のみの代行サービスであり、丸投げとは業務範囲が大きく異なります。

記帳代行では、領収書などをもとにした会計ソフトへの入力を行います。その後、入力したデータをもとに、次のような帳簿を作成します。

・現金出納帳 ・預金出納帳 ・売掛残高一覧表 ・買掛残高一覧表 ・試算表 ・総勘定元帳

ただし、業者によっては現金出納帳を自社で作成する必要があるケースもあります。

経理の丸投げにおすすめの委託先

経理の丸投げにおすすめの委託先

経理業務の丸投げを請け負う業者はたくさん存在しますが、おすすめなのは、次のいずれかを選ぶことです。

  • 税理士法人
  • 税理士と提携する経理代行サービス会社

それぞれの違いを説明します。

税理士事務所・税理士法人

税理士に「丸投げ」すると、上記で紹介した一般的な経理作業のみならず、決算書の作成や年末調整、税務申告なども業務範囲に含まれます。決算書の作成などは税理士の独占業務であり、資格がないと請け負えません。

また、中には資金調達や生産性向上など、経営全般についてコンサルを行う税理士もいます。

税理士と提携する経理代行サービス会社

経理業務を代行する業者の中には、税理士と提携している業者とそうでない業者とがいます。

決算書の作成なども含めた丸投げを希望する場合は、まず税理士との提携の有無を確認しましょう。提携があれば、前述の決算書作成などは税理士に任せる形での委託が可能です。

また、各種経理システムの導入や経理の業務フロー改善などについてのアドバイスを行う業者も数多くあります。

上記以外への委託には注意が必要

経理の丸投げは委託先に注意が必要

上記のほか、税理士との提携をしていない経理代行サービス業者や、フリーランスで経理代行を請け負う個人への委託も可能です。

しかし、税理士との提携がない業者では、決算書の作成などが行えません。「丸投げ」の範囲が異なることに注意が必要です。

また、フリーランスの場合は、スキルや資質に差があること、信頼性の見極めが難しいことなどがネックとなります。個人ではセキュリティ対策に限りがあることも気がかりなところです。

【弊社Bricks&UKアウトソーシングと気になる業務フローについて】
弊社Bricks&UKアウトソーシングは、税理士法人を母体とする経理アウトソーシング会社です。
丸投げでお客様が必要な作業は2つのみ!
・資料の送付 ・確認&承認
具体的な業務の流れについては「毎月の業務フロー」をご覧ください。

経理を丸投げすることのメリット

経理業務を代行業者に丸投げすることには、次のようなメリットがあります。

  • 手間や時間の大幅削減
  • 本業への集中
  • ミスや社内不正の防止
  • 人件費などコストの削減
  • 法改正への適切な対応
  • 最新のシステムの活用

具体的に見ていきましょう。

手間や時間の大幅削減

経理を丸投げする最大のメリットは、自社で作業する手間や時間が大幅に省けることです。

経理には細かな作業や確認ごとが多く、取引や支払方法などが多いほど手間がかかり、多くの時間を取られます。

しかし丸投げすれば、自社での作業は(業者にもよりますが)請求書などの資料を業者に郵送やデータで送るだけです。

本業への集中

経理専門の担当者を持たず、社長自らが経理を行う中小企業も少なくありません。その場合、経理作業によって本業の時間が削られたり、寝不足で本業に支障が出てしまったりすることも。

経理業務を丸投げして切り離せば、本業に集中できます。そうなれば、業務効率や判断能力の向上などにつながり、業績のアップにもつながります。

ミスや社内不正の防止

税理士法人や経理代行業者は、専門知識を持つ人の集まりです。そのため、自社で行うより適切な方法による正確な作業で、ミスの防止が期待できます。当然ながら、自社内で不正が起こる心配もありません。

セキュリティの面でも、情報漏洩などへの対策がしっかり取られている可能性が高いです。

人件費などコストの削減

経理業務の丸投げは、コストの削減にもなります。経理担当に人を雇うには、募集の段階から費用がかかり、雇用後は研修などの教育、残業代や手当などを含めた賃金のほか、社会保険や福利厚生などの費用も必須です。

経理の丸投げをうまく活用した場合、人件費の約半分で済む可能性もあります。

法改正への適切な対応

経理業務で大変なことの1つに、法改正時の対応があります。税法などが改正されれば、そのたびに作業のやり方などを変えねばなりません。「何をどうすべきかよくわからない」という場合もあるでしょう。

しかし経理を丸投げしていれば、必要な対応は代行業者が自主的に行ってくれるので安心です。

最適なシステムの活用

経理を丸投げする際は、会計ソフトや連携するシステム、インターネットバンキングなどを利用します。代行業者の多くがシステム導入のサポートもしているため、経理の丸投げで自社に最適なIT環境が整えられます。

補助金などもうまく活用すれば、導入コストも抑えることが可能です。

経理を代行業者に丸投げすることのデメリット

経理丸投げのデメリット

メリットが大きい経理の丸投げですが、次のようなデメリットもあるので把握しておきましょう。

  • 委託料などのコストがかかる
  • 経営状況の把握が遅れる恐れがある
  • セキュリティリスクは0ではない
  • 自社に経理のノウハウが残らない

それぞれ説明します。

委託料などのコストがかかる

経理の丸投げには、人件費ほどではないとしても費用はかかります。選択する業者によっては、初期費用や追加代金などが必要となり、人件費よりも多くの費用がかかる可能性も。

ある程度の支出は必要だとしても、契約前に相見積もりを取るなどして業者を厳選してください。

経営状況の把握が遅れる恐れがある

自社内で経理業務を行うのと異なり、その場ですぐに資料の数字が確認できなかったり、業者からの帳簿の提出にタイムラグが生じたりすることも、経理丸投げのデメリットと言えます。

また、経理を丸投げすることで、中には経営の数字まで見なくなってしまう事業主もいるようです。そうなれば、最適な経営戦略も立てられず、経営が立ち行かなくなる可能性も出てきます。

セキュリティリスクは0ではない

税理士法人や経理代行サービス会社では、複数の企業や個人事業主の業務を扱うことから個人よりも盤石なセキュリティ対策を行っているところが多いです。

しかし、絶対に情報漏洩や不正が起きないという保証はありません。人がすることにはヒューマンエラーも起こり得ますし、業者のスタッフによる不正の可能性もまったくないとは言えません。

自社に経理のノウハウが残らない

経理を丸投げすることで、自社ではまったく、もしくはほとんど経理業務を行う必要がなくなります。そうなれば、自社でリアルタイムに作業状況を把握する人物がいない状態になり、業務のノウハウも残りません。

これは、将来的にも丸投げを継続していくなら問題はありませんが、自社に作業を戻す内製化の際にはネックとなります。業者が契約終了後の内製化サポートも行っているかどうか、そこも確認しておきたいポイントです。

経理代行に丸投げする場合の費用相場

経理を丸投げする場合の費用相場

経理代行の丸投げ費用は、業者や自社の事業規模や従業員人数、丸投げに税理士業務が含まれるかどうかなど、あらゆる要素によって大きく異なります。

ここでは税務関連業務を含む場合と含まない場合の大まかな費用相場をそれぞれ紹介しますが、あくまで参考程度としてください。実際の費用は、見積もりを取って確認しましょう。

税務なしでの相場

経理代行サービスに依頼する場合、仕訳の数や従業員の数、振込件数などによって月額28,000円~100,000円となっており、大きな幅があります。

たとえば月の仕訳数が150以下、給与計算10人分、振込件数が月に30件といった場合、経理業務を丸投げするには月5万円、年額60万円程度が相場となっています。

税務ありでの相場

税理士に丸投げする場合、税務顧問料+決算報酬、それに記帳代行サービスを合わせて申し込むのが一般的です。ほとんどの場合、年商によって料金区分が決められています。

たとえば年商500万円未満の場合は、年額で28万円~50万円、年商5000万円の場合は、年額で42万円~60万円などです。


ただ、インターネット上で公開されている料金表では、具体的な費用の総額はまずわかりません。仕訳の数が多いほど料金は高くなりますし、部門別の資料作成が必要だといくら、年末調整を含むといくら、などの追加が必要なところも。

結局いくらになるのかを知るには、自社のパターンで実際に見積もりを出してもらうのが一番の近道です。

経理丸投げを成功させるポイント

経理丸投げを成功させるポイント。注意点

経理を丸投げする際は、次のような点を押さえておくことで失敗が防げます。複数の業者から自社に合った最適な委託先を選び、うまく活用しましょう。

  • 自社のニーズに合った業者を選ぶ
  • 信頼できる業者を選ぶ
  • 引き継ぎをしっかりと行う
  • コミュニケーションを密にとる
  • 業務委託時のルールを守る
  • 作成された帳簿類は必ず確認する

自社のニーズに合った業者を選ぶ

経理の丸投げは自社ニーズに合った業者選びがポイント

もっとも重要なのは、自社に合ったサービスを利用することです。料金が安くても、必要なサービスがなければ手間や時間の削減になりません。

まずは「丸投げ」として自社が手放したい業務を明確にし、それが確実にサービスとして含まれるかどうかを確認してください。

たとえば、請求書を送ればいいだけなのか、データ化やファイリングの必要があるのかといった細かいことでも、利便性は異なります。

信頼できる業者を選ぶ

経理丸投げは信頼できる業者選びがポイント

会社の重要な情報を共有する相手なので、信頼性ももちろん重要です。それまでの実績を確認するほか、口コミの評判なども探してみてください。セキュリティ対策の内容も確認しておきましょう。

あとは、実際に問い合わせて対応の仕方や相性などを見ます。質問への回答やそのスピードのほか、こちらの意向を大事にする姿勢が見えるか、自社のためになる積極的な提案があるか、などが判断のポイントです。

引継ぎをしっかりと行う

経理の丸投げは引き継ぎをしっかりすることも重要

丸投げと言っても、「じゃあ明日からよろしく」とすぐに任せられるわけではありません。引き継ぎをしっかりとしていなければ、こちらの意思や希望が伝わらず、丸投げのはずが常に確認などのやり取りに追われることも。

委託直後からスムーズに業務が進められるよう、委託前に現状のマニュアルを整備したり説明の時間を作ったりなどして、必要な準備を行ってください。

コミュニケーションを密にとる

経理丸投げの際の注意点

丸投げしたからと言って、放置するのも危険です。「うまいことやってくれているだろう」「そのうち帳簿が届くだろう」と希望的観測をして待つのではなく、疑問などがあればすぐに問い合わせ、コミュニケーションを図りましょう。

コミュニケーション不足は、業務が滞る原因にもなり得ます。業者は自社の業務だけを請け負っているわけでないことも、頭に入れておかねばなりません。

ルールを守る

経理丸投げの際もルールは守ること

委託契約時には、資料の受け渡しの方法や期限などについて、委託先とのルール決めも行うのが一般的です。

丸投げするにも、決めたルールは必ず守りましょう。自社がルールを守らなければ、委託先のスケジュールが狂い、作業が遅れてしまいます。委託先との信頼関係を築くにも、ルールの徹底は必須です。

作成された帳簿類は必ず確認する

経理は丸投げでも帳簿類は必ず確認する

経理の丸投げには否定的な意見もありますが、その多くが「経営者が数字を見なくなる」ことを危惧するものです。事業の現場だけに集中し、数字を二の次にしてしまえば、経営が悪化する兆候に気づけなかったり、行動のタイミングを逃したりしてしまいます。

経理の丸投げが経営の丸投げにならないよう、業者から提出される帳簿類には必ずすぐに目を通し、常に経営に生かすことが重要です。

経理丸投げの活用で業績アップを図ろう

経理丸投げの活用で業績アップ

経理の丸投げとは、通常は自社で行う記帳や振込などの経理業務をまるごと、外部の業者に任せることです。丸投げすることで、手間や時間の削減になり、本業への集中ができるほか、自社でミスや不正が起きるのも防げます。

とはいえ、業者によって「丸投げ」の範囲が異なる可能性もあり、料金もさまざまなので、業者の選定は念入りに行いましょう。

弊社「Bricks&UKアウトソーシング」では、経理丸投げの引き受け実績も多く、1カ月からのお試しも可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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