経理担当の退職が急に決まったら引き継ぎできる?今後のためのリスク対策2025.11.06

経理の方の突然の退職

「経理担当者が辞める?これで何人目だ…」中小企業では、経理担当者は1人しかいないことも多く、突然の退職は会社にとって大きな痛手です。

まずは誰か代わりの人を決める必要がありますが、問題となるのは引き継ぎです。

業務のやり方はもちろん、どの業務がどこまで進んでいるのかもわからないので、引き継ぎは重要。でも、急な退職で時間が取れないケースがほとんどです。

今回は、経理担当者の退職で業務がストップするのを防ぐ、具体的な引き継ぎ方法と、今後のためのリスク回避策を紹介します。

【この記事の監修者】 株式会社Bricks&UK Outsourcing業務コンサルタント
経理の業務設計・運用に優れたコンサルタントが、効率的で正確な業務請負いをお約束します。

経理の退職で引き継ぎに苦労する原因

突然の退職に困惑している現場

ただでさえ経理担当の人員に余裕がない中小企業。退職時に、引き継ぎの時間が十分にとれないのはよくあることです。特に、経理という業務が持つ次のような特性が、引き継ぎを難しくさせています。

  • 属人化しやすい
  • 専門的かつ非定型の業務も多い
  • 経理人材の不足

それぞれについて解説します。

経理は「属人化」しやすい

一人に任せて属人化している

中小企業では、仕訳や領収書の入力といった日次業務から、年次に行う決算業務まで、一人で回しているケースが少なくありません。そのため、業務の内容や手順がすべて担当者1人にしかわからないという状態になりがりです。

属人化している場合、ほとんどがマニュアルを備えていません。そのため、引き継ぐにはまず、担当者が何をどのように進めているか、洗い出しなどをする必要があります。

後任者にわかるように可視化し、説明するのには、かなりの時間と手間がかかります。

専門的かつ非定型な業務も多い

給与計算や法人税の申告、高度な知識を必要な業務

経理業務には、日次業務だけでなく、給与計算や月次決算、年末調整や法人税の申告といった、高度な知識を必要とする業務、状況に応じた計算や判断が必要な業務も多く存在します。

そういった業務は、個人のスキルに依存するところも多く、マニュアルを作成しようにも腰が重くなりがち。頻度も高くないため、「またいつか」と後回しにされがちです。

経理人材の不足で教える人がいない

経理の仕事を教える

人に教えるには、「教える人」と「教える時間」が必要です。ですが、たとえば退職間近、ただでさえ忙しくなっているところに、新しい人を紹介されて「教えといて」と言われても、時間はなかなか作れません。

そんな状況で、新しく入った人も「教えてほしい」とは言いづらいもの。何もわからないまま、前任の退職日を迎えることになりがちです。

経理の引き継ぎミスによる大きなリスク

引き継ぎのリスクの提示

経理で後任者への引き継ぎが不十分なまま放置されている状態は、経理だけでなく会社全体の大きなリスクとなります。

中でも深刻なのは、次の3つのリスクです。

  • 資金繰りの停滞・悪化
  • 支払い・請求もれによるリスク
  • 申告もれなどの税務リスク

順に見ていきましょう。

資金繰りの停滞・悪化

あらゆるものの管理状況や会計ソフトを示唆する画像

たとえば、現金や仮払いの管理状況や、会計ソフトへの入力の仕方を把握していたのが、退職した前任者だけだった場合。わからない人間が手探りで行うには相当の時間がかかり、月次決算の作成も遅れます。

経営者がリアルタイムで現金の残額を確認するのも難しくなり、その決算すら不正確なおそれも。そうなれば、資金繰りにも正しい判断ができず、事業経営の悪化につながりかねません。

支払い・請求もれによるリスク

取引先の信用を失う

取引先への支払いは、期日までに確実にしないと信用問題にかかわります。

引き継ぎがされていないために請求書の存在を見逃してしまったり、口座情報の変更を知らず過去の情報で振込処理をしたりなどすれば、関係性に大きなダメージを与えます。

売掛金についても、請求書の発行が遅れれば入金も遅れることに。資金繰り悪化の原因を自ら作ってしまいます。

申告もれなどの税務リスク

経理業務で知識が最も問われるのが、税金に関する処理です。引き継ぎなく知識も乏しい後任者が作業をすることになれば、年末調整の計算ミスや法人税の過少申告、申告もれなどを引き起こしかねません。

税務のミスは知らなかったでは済まされず、加算税や延滞税といったペナルティが科されることに。そうなれば、支払い負担だけでなく、融資の審査などにも影響する可能性があります。

社内で経理を維持することの3つの障害

経理業務の限界

中小企業では、社内で経理業務を維持・定着させることが難しくなってきています。今後も時間とコストをかけ、採用や引き継ぎを繰り返すことは、非効率だと言わざるを得ません。

というのも、経理業務を取り巻く状況には、主なものだけでも次のように3つの障害があるからです。

経理人材の採用・教育・安定が困難

経理人材の教育が困難

少子化の今、就職・転職は売り手市場が続いています。大手企業も人手不足の中、業務範囲が広く多忙な中小企業が優秀な人材を採用するのはかなり困難な状況です。

そのため、急な退職者が出た場合に、すぐに即戦力となる人材を確保できる保証はありません。たとえ時間とコストをかけ、苦労して採用しても、社内に十分な教育などの環境が整っていなければ、またすぐに退職となりかねません。

法改正時などの業務の難易度・負担増

方か業務難易度の増加

経理業務には、法人税や消費税、電子帳簿保存法などのさまざまな法令がかかわります。法令は頻繁に改正されるため、随時適切に対応していかなくてはなりません。

中小企業では、経理担当者が1人しかいないケースも多いでしょう。その1人が、最新情報の取得から、適切な処理を行うための業務フローの変更、必要な会計ソフトの導入などを進めていく必要があります。

ミスが許されないプレッシャーも大きい上、通常業務との並行で負担は大きく、業務効率の低下やモチベーションの低下につながってしまいます。

いつ来るかわからない「急な退職」のリスク

いつ来るかわからない退職に怯える人

経理を特定の人材に依存している限り、退職のリスクは常に存在します。転職が珍しくない今では、入社してすぐに辞めてしまう、というケースも多く見られます。

もちろん、長く働いている人が急な退職を申し出ることも。業務が属人化している場合、「その人にしかわからない」作業や情報が多いほど、退職の影響は大きく、業務がストップする可能性も避けられません。

社内での引き継ぎをなくすただ1つの方法

引き継ぎをなくすただ1つの方法

社内での経理の限界を感じたら、抜本的な対策を講じましょう。まずは考え方の転換が必要です。

「経理は社内で」という思い込みからの解放

昔から、経理は会社の業務の重要な一部であり、社内で行うのが当たり前と考えられてきました。しかし、中小企業の場合、それが「誰かひとりの社員」かつ「知識のある唯一の人間」であることも多く、属人化を生み出す要因となっています。

重要なのは、経理を「誰がどこで」行うかより、「確実に正確に」回る仕組みとして維持しつづけることです。それには、社内の人間関係の影響や採用・教育コストの必要性、退職リスクなどがない「アウトソーシング」を有効な手段として受け入れるのが得策です。

経理アウトソーシングに頼めること

経理代行の女性

経理のアウトソーシングでは、記帳や支払いなど業務の一部だけを代行してもらうことも、定型業務をまるごと委託することも可能。事前のヒアリング等で、自社の状況に応じた対応をしてくれます。

アウトソーシングすることで、社内では決裁やコア業務などの重要事項に時間を費やせるようになります。ミスが多かったり、法改正への対応が後手に回っていたりする状況でも、経理専門のアウトソーシング業者なら安心して任せられます。

また、税金の申告などは税理士資格がないとできませんが、税理士と提携しているアウトソーシング会社であれば、決算、確定申告といった、より高度な業務についても相談可能です。

経理アウトソーシング利用のメリット

メリットの提示をする女性

経理アウトソーシングには、一部業務のみでも定型業務丸ごとでも委託可能なのは前述のとおりです。どちらにするかは状況にもよりますが、メリットが大きいのはやはり丸ごとの委託でしょう。

主なメリットは次のようなことです。

  • 採用・教育の負担ゼロ
  • 退職リスクなし
  • 業務品質の安定
  • 税務リスクの回避

経理アウトソーシングに定型業務をすべて任せれば、担当者を雇う必要がなくなります。そうなれば、採用や教育にかかる手間やコストも不要です。人間関係のいざこざが起きることもありませんし、急な退職で困るリスクもありません。

経理アウトソーシング会社では、多くの企業から経理業務を専門に請け負います。そのため、ノウハウが蓄積され、安定した高品質での業務が可能です。同時に、法改正などへの対応も素早く行われるため、日々の業務で税務リスクが生じる心配もありません。

経理担当者の負担を減らすなら一部業務の委託、会社全体の負担やリスクを減らすには丸ごとの委託がおすすめです。

経理代行で引き継ぎループから脱却しよう

経理代行に任せてお悩み解決

経理担当者の退職に伴う引き継ぎは、中小企業にとっては大きな負担。業務がストップしたりするほか、場合によっては支払い遅延などで大ごとにもなりかねません。

新たに人を雇うにも、募集から採用、教育などさまざまな面で手間やコストが発生します。しかもその人材が長く働いてくれるとも限りません。

それを解消するのが、経理アウトソーシングのサービスです。経理の専門知識を持つスタッフが、安定した高品質の業務を行ってくれるため、法改正時にも安心です。

アウトソーシングするのであれば、税務にも対応できる税理士と連携したアウトソーシング会社の利用がおすすめ。当社「Bricks&UKアウトソーシング」は、中小企業の経営に強い税理士法人が母体となり、業務フロー改善も得意としています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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