記帳代行の相場とは?料金を抑えるポイントと失敗しない選び方も解説2025.03.31

「毎日の記帳が面倒」「時間がかかりすぎる」といった声の多い記帳業務。外部業者に委託すれば楽にはなるものの、気になるのは費用ですよね。
記帳代行の料金は業者によって大きく違ってくるので、費用の相場やなるべく安くするコツなども知っておきたいところです。
この記事では、記帳代行の相場について解説します。企業規模別の相場や、代行料金を抑えるためのポイント、失敗しない業者の選び方を紹介するので参考にしてください。
目次
【企業規模別】記帳代行の料金相場

記帳代行にかかる費用の相場を、企業規模別に紹介します。
小規模事業者の場合
従業員が5~20人ほどの小規模事業者の場合、記帳代行の料金相場は月額5,000円~10,000円ほどです。個人事業主の場合も相場は同じです。
中規模事業者の場合
従業員が30~50人ほどの中規模事業者の場合、取引の数も増え、記帳も複雑化します。そのため、相場は月額10,000円~30,000円ほどです。
大規模事業者の場合
従業員が100人以上となる大規模事業者の場合、さらに取引件数が増え、取引金額も大きくなります。また、複数の事業を展開していたり、海外取引があったりするなどして記帳作業もより複雑に。
そのため、記帳代行も月額30,000円以上が相場となります。
記帳代行の料金体系とよくあるオプション料金
記帳代行の料金がどのように決まるのか、基本の料金以外にどんな料金がかかるのかも見ておきましょう。
記帳代行の料金体系

記帳代行の料金は、料金体系によっても大きく異なってきます。主な料金体系は次の3つです。
料金体系 | 概要 |
---|---|
従量課金制 | ・仕訳数に応じた料金体系。 ・1仕訳あたりの単価(50円~100円が相場)、もしくは100仕訳まで5,000円~10,000円、200仕訳まで20,000円、など |
月額制(定額) | 月間の仕訳数にかかわらず定額 |
時間制 | ・作業1時間あたりの単価で設定 ・相場は2,000円~3,000円 |
記帳代行の多くは「従量課金制」で、仕訳数に応じて料金が高くなります。仕訳数が少ない場合は従量課金制の方が無駄がありません。仕訳数が多い場合は、月額制の方がお得です。
時間制は、クラウドソーシングサービスなどでフリーランスに委託する場合に多い料金体系です。
よくあるオプション料金

ほとんどの場合、記帳代行の料金には、基本料金に含まれない作業や、イレギュラー対応のためのオプション料金が設定されています。一般的なのは次のような項目です。
オプション料金の種類 | 概要・相場など |
---|---|
クラウド会計ソフト導入支援 | クラウド化を記帳代行の条件とするケースもある 相場:3万円~6万円 |
消費税課税事業者 | 課税事業者の場合に追加代金が必要 相場:月額2,000円~3,000円 |
スピード納品 | 5営業日以内の納品など 相場:月額6,000円~(仕訳数にもよる) ※記帳代行料の50%の額、などのケースもある |
部門別の集計 | 損益計算書を部門別で集計 相場:月額5,000円~6,000円 |
証憑ファイリング | 領収書や請求書などの整理・ファイリング 相場:100仕訳あたり月額5,000円程度 |
資金繰り表の作成 | 資金繰り実績表の作成 相場:月額6,000円程度 |
発生主義への対応 | 年度内の処理も発生主義を適用する 相場:3,000円~5,000円 |
業種等による特殊取引 | 医薬・建設・金融・不動産などの場合 海外取引などがある場合 相場:3,000円~12,000円 |
ひと月あたり数千円でも年間にすれば大きな出費です。業者によってオプション項目も料金も異なるため、あらかじめ確認する必要があります。
記帳代行の委託先とメリット・デメリット

記帳代行の委託先業者には、主に次のような種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットも把握しておきましょう。
税理士・会計事務所
税理士は、言わずと知れた税務・会計の専門家です。そのため、記帳代行だけでなく税務相談や決算申告なども依頼可能です。
国家資格を持つ専門家であり、信頼性も高いですが、多くの場合は記帳代行の依頼だけでなく顧問契約を結ぶため、料金も高い傾向にあります。
行政書士・行政書士事務所
行政書士は、官公庁などへの書類作成の専門家です。行政書士も、記帳代行を請け負うことができます。書類作成のプロであり、賃借対照表や損益計算書といった財務書類の作成も得意としています。
税務申告等はできませんが、税理士と提携して請け負うケースも多いです。大企業や、複雑な会計処理を必要とする場合に向いています。
記帳代行・経理代行サービス業者
記帳代行サービス業者は、記帳代行に特化したアウトソーシング会社です。資格を必要としない業種ということもあり、専門性はありつつ比較的安く委託することができます。
経理代行サービスでは、記帳だけでなくより広範囲の経理業務を代行できます。税理士と提携して年末調整業務などを請け負うところも数多く見られます。
フリーランス経理
経理経験者などが知識を生かし、フリーランスとして記帳代行を請け負うケースもあります。人脈を生かすほか、「ランサーズ」「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサービス、スキルマーケットで依頼が可能です。
個人のため、比較的安価で請け負うケースも見られます。しかし、スキルなどの個人差が激しい上、契約前の見極めは困難です。急に連絡が取れなくなるようなケースもあるので、契約は実績などを確認して慎重にする必要があります。
委託先別の料金相場について解説している記事もあります。あわせて読んでみてください。
記帳代行の料金を抑えるポイント

この記事では料金の相場を紹介していますが、実際の金額は業者や依頼内容などによって大きく異なります。
なるべく料金を抑えて無駄なく活用するため、委託の際は次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 依頼する業務・しない業務をはっきりさせる
- ペーパーレス化を実施する
- 会計ソフトを活用する
- 代行業者に任せきりにしない
- 代行料金を定期的に見直す
依頼する・しない業務をはっきりさせる

コストの節約を考えると、自社でできる作業は自社で行うのが得策です。業務を洗い出し、「時間がかかる」、「専門知識がないから難しい」などの業務のみを委託しましょう。
たとえば、領収書や請求書の整理・ファイリングや保管、総勘定元帳の作成は自社で行うなど。自社の状況に合わせて決めてください。
業者によっては、これらの業務込みでも料金は変わらない、丸投げの方が安いといった可能性もあります。複数の業者に見積もりを依頼して比較することも大切です。
ペーパーレス化を実施する

まだ紙での作業が多い場合は、これを機にペーパーレス化を図りましょう。
領収書や請求書は、電子データにして代行業者と共有した方が効率的です。郵送日数やコストが省けるほか、急ぎの時に速達料金を払う必要がなく、追加料金がかかる可能性も減らせます。
そもそも、ペーパーレス化すれば業務効率が上がり、保管スペースの確保や探す手間・時間が省けるなど、大きなメリットがあります。
クラウド型会計ソフトを活用する

会計ソフトを使っていない、もしくはインストール型で1台のパソコンでしか作業できない場合は、クラウド型の会計ソフトの導入をおすすめします。
クラウド型なら、いつ・どこででも作業ができるほか、属人化を防げるなど大きなメリットがあります。口座やクレジットカードとの自動連携機能などを使えば作業時間も短縮でき、入力ミスや修正の手間もなくなります。
導入時にコストはかかりますが、長い目で見ればメリットの方が大きいものです。代行業者の多くが、導入のサポートも行っています。
代行業者に任せきりにしない

委託したから、丸投げしたからと言って、代行業者に任せきりでは無駄な費用がかかる可能性もあります。連絡はマメに行い、自社が守るべきルール、たとえば資料送付の締め切りを厳守するなどは徹底してください。
連絡はチャットツールでコストを節約する、データの受け渡し方法を統一して業者の作業効率を上げるなどの工夫も有効です。
代行料金を定期的に見直す

代行料金も、定期的に見直せばコスト削減につながります。利用状況を見直し、自社で引き取れそうなら引き取る、契約プランを変更するなどし、常にコストを最適化させましょう。
場合によっては、代行業者を変えるのも1つの方法です。とはいえ、その度に初期費用などもかかるため、業者選びはやはり最初が肝心です。
失敗しない記帳代行サービス業者の選び方

記帳代行を利用するなら、たくさんの業者の中から自社に最適な委託先を選ぶ必要があります。最後にその際のポイントを確認しておきましょう。
自社ニーズとのマッチングを重視する
代行業者選びは、料金の安さよりも「自社の現状、ニーズに合っているかどうか」が重要です。必要なサービスが適正な料金で受けられるか、サービス対象外などではないかも確認しておきましょう。
それにはまず、自社の現状やニーズの把握が必須です。
料金プラン、見積もりを確認する
各社の料金設定はさまざまで、基本料金が必要だったりオプション料金が必要だったりします。そのため、契約前に複数の業者から見積もりを取り、比較して選びましょう。
料金の明瞭さも、信頼性を測るポイントです。自社に必要なサービスを伝え、結局いくらかかるのかを具体的に確認してください。
これまでの実績も確認する
どのような業界・業種の企業の代行実績があるか、何年も継続契約している企業はあるかなど、実績についても確認しておきましょう。
特に、自社と同じ業種での代行実績があれば話が早く、委託もスムーズに行く可能性が高いです。ただし実績は公式サイトにも掲載されていないことが多いため、直に聞いてみる必要があります。
セキュリティ対策を確認する
代行業者のセキュリティ体制によっては、委託は大きなリスクとなります。代行業者がウイルス感染や社内不正の防止にどのような対策を行っているのかを確認してください。
確認の際は、セキュリティ対策をしているかどうかではなく、どのようなセキュリティ対策を取っているのか、具体的な策を聞いておくのがおすすめです。
担当者の対応力を見る
契約前のヒアリングでの対応や、その上で提案された代行プランが納得できるものかどうかも重要なポイントです。
業者が売りたいプランをすすめるのではなく、自社に合ったプランをすすめてくれるかどうか、自社の意向をくむ姿勢を見せてくれるかどうかに注目しましょう。
細かな契約内容も確認する
業務範囲や料金などだけでなく、中途解約・解約の条件や、その場合の違約金、責任の範囲など、契約内容の細かな部分についても確認してください。
それによって使い勝手が大きく違ったり、結果として高くついたりする可能性があります。
記帳代行の相場を知って最適な業者を選ぼう

記帳代行サービスの相場は、依頼する場合の予算の目安となります。しかし、実際にかかる料金は自社の規模や業種、取引数などさまざまな要素によって大きく異なるため、あくまで参考程度としてください。
また、料金の高低だけでサービスの良し悪しは決まりません。まずは自社のニーズを明らかにし、複数の業者の提案や見積もりを踏まえて比較検討するのがおすすめです。
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