1人経理は高リスク!中小企業にありがちな問題と解決の方法とは2025.01.06

中小企業では特に、人件費を抑えるため経理を1人に任せるケースが多く見られます。社長が経理を兼務する形の会社も多いでしょう。

利益に直結しないバックオフィスの費用はなるべく抑えたいものの、経理が1人しかいないことには大きなリスクもあるので注意が必要です。

今回は、企業に1人しか経理がいない「1人経理」の状態について、そのリスクや解消方法をお伝えします。

「1人経理」とその背景

「1人経理」とその背景

やや古いデータではありますが、中小企業の6割で経理・財務の担当人数が「1人」であることがわかっています(中小企業庁「平成26年度 中小企業における会計の実態調査について」)。

一般に、総務や経理などバックオフィスの人員は、全従業員数の5%~10%が適正だと言われています。従業員が30人程度であれば、経理が1人でも問題なく回っている会社は多いでしょう。

しかし、経理の業務量は取引先の数などにも大きく左右されます。1人では難しい業務量を抱えていても、人件費の削減や退職などによる人手不足で1人に任せているケースも少なくありません。

1人経理であることのリスク

「実際に1人でも回っているから問題ない」と思いがちですが、1人経理には次のように複数のリスクが潜んでいます。

・社員のワークライフバランスを崩す
ミスが起きやすい状態である
・ミスが起きても気づきにくい
不正が起こりやすい状態である
・不在時に業務が止まる
不満による退職のリスクもある

いずれも見逃せないリスクです。順に見ていきましょう。

ワークライフバランスを崩す

1人経理のデメリット

経理業務は多岐にわたるだけでなく、決算などの締切もあります。1人しかいない状態では、残業や休日出勤をしてでも作業を終わらせねばならず、自由に使える時間が減ります。

さらに「ミスは許されない」「自分しかいない」と感じ、責任感が強い人ほど精神的にも辛くなりがち。仕事も私生活も、充実とはほど遠い状態になってしまいます。

経理には、「繁忙期が明確でワークライフバランスが取りやすい」という見方があります。
しかし、それはあくまで人員に余裕があり、システム導入などで効率化されている職場での話です。

ミスが起きやすい状態である

1人経理のデメリット

1人経理で常に忙しい状態では、ミスも起きやすくなります。1人では問い合わせも集中しますし、突然頼まれた上に急かさせるようなことも増えます。

特に忙しい月末月初や決算期などは、疲労からケアレスミスが起きやすい状態に。休養が十分に取れなければ、繁忙期明けでもミスは起こりやすくなります。

ミスが起きても気づきにくい

ミスが起きやすい状態である上、1人経理ではさらに「気づきにくい」「気づかれにくい」という問題もあります。

まず、他者によるダブルチェックができないことが問題です。自分でチェックしても、疲弊した状態でミスに気づくのは難しいもの。「見直す時間すらない」というケースも多いでしょう。

実際に当社でも、2人以上の体制によってミスが防げたことは少なくありません。
よくあるのは、二重請求の見逃しです。
たまに、クライアントから同じ請求書が2枚送られてくることがあります。1人が気づかず他の請求書を含めて振込設定したとしても、別のスタッフが会計入力をする際に同じ請求書だと気づき、2重支払いを防ぐことができます。
また、納品書を請求書と間違えて振込してしまうケースも考えられますが、それも2人以上がチェックを行うことで防止できます。

不正がしやすい状況になる

1人経理のデメリット

1人経理の状態は、不正の温床にもなり得ます。経理に関することが「その人にしかわからない」状態になるからです。いわゆる「属人化」や「ブラックボックス化」の状態です。

たとえば外部業者と癒着してお金を不正に送金したり、少しずつ着服したりしても、他の人が気づくのは困難です。

「うちは1人経理だけど、会計の入力は税理士に任せているから不正は見つかるはず」と思っている方も注意が必要です。

会計入力とは、請求書や通帳の履歴を会計ソフトに入力することです。請求書があれば入力をしますが、その入金が通帳になければ入力しないというだけで、不正を見つけることはできません。
不正を見つけるのは、請求書発行や入金・支払の確認をする経理担当者、もしくは監査役(公認会計士であり税理士ではない)です。

不正の発見に関してもう1つ、当社の実例を紹介しましょう。
とある飲食店で、現金残高が毎月30万円ほど増えていった時期がありました。
1カ月目は月ずれの誤差かと思ったのですが、2カ月目からは明らかに残高が増えました。
社長にお伝えしたところ、「思い当たることはないですね」「現金とクレジットの打ち間違いかな」とのことで、そのまま数カ月間、いただいた資料通りの入力を行いました。
しかしある日、その社長から「従業員が売上を横領していました」と連絡が入ったのです。
会計帳簿の数字と合わせたところ、約200万円の損失でした。
監査役が入っていたとしても、このような事態をリアルタイムで見つけるのは難しいでしょう。
こういった不正を防ぐ仕組みとして、経理部分をアウトソーシングすることや、経理を2人体制以上で行うことが必要なのです。

いないと業務がストップする

経理が1人しかいない場合、その人が不在になると業務が止まります。予定した休暇などであれば対処できても、急な体調不良や出社拒否、家庭の事情で不在となればお手上げ状態に。

何日も続くようなら、取引先にも迷惑をかけることになります。

1人経理の状態で無理をすることにより体調を崩しやすくなることも、懸念材料の1つです。

1人経理が不在になると、次のような負の連鎖が起こってしまう恐れもあります。
担当者が不在で振込できない
→外注や仕入業者への振込が期限に間に合わず、次回から取引できなくなる
→外注や仕入ができず売上を立てられない
→取引先から他の取引先に変えると言われる
→従業員の給与を払えなくなる
→事業をすべてストップすることになる
このように、業務どころか事業がストップすることにもなりかねません。

不満による退職のリスクもある

1人経理のリスク

経理経験の浅い社員の場合は特に、1人経理では退職してしまうリスクがあります。わからなくても聞ける人がおらず、誰にも相談できない状態で忙殺され、追い詰められがちだからです。

人手不足による売り手市場も相まって、経理の求人募集は常に行われています。ベテラン社員も同様に、「もっと条件のいいところで働きたい」と辞めていくのも不思議ではありません。

ご依頼を受け、経理ご担当者と打ち合わせる際によく耳にするのは、「周りの人が大変さを理解してくれていない」という言葉です。
一番の原因は、社長ご自身に経理の経験がないからなのでしょう。
「経理なんて作業するだけ。そんなの簡単でしょ?」と言うのは、例えば自社の事業に対し、その仕事をやったことのないコンサルタントが「そんなの簡単ですよね」と言うのと同じです。
また、「大変」という言葉の中には、ミスができないという事情も含まれます。
“経理はミスなくやって当たり前”、ミスをしたら間違いを指摘される。1勝9敗なんて許されず、10勝0敗でなければならない…。
毎日この状況を1人で維持するのは、ほぼ不可能ではないでしょうか。

1人経理を解消する方法

1人経理の解消法

1人経理には、目に見えないリスクもあるのが怖いところです。普段は1人で頑張っている社員でも、内面で何が起こっているかは計り知れません。

突然に不正が発覚したり、出社拒否になったりしてからでは遅いので、早めに状況を把握し、対処することをおすすめします。

1人経理の解消法には、主に次の4つが挙げられます。

雇用して増員する

1人経理を解消する方法

最も単純な解消方法は、正社員やパート・アルバイトで人を増やすことです。1人増やせば負担は半分に減らせ、時間外労働も減らせます。社員の満足度やモチベーションの向上も期待できます。

ただし、売り手市場であり応募が集まりにくく、優秀な人材の確保には好待遇である必要もあり、費用がかさむことは避けられません。また、忙しい中で教育する手間と時間も必要となります。

経理が複数人いる会社や、当社「Bricks&UK」のようなプロ集団の場合、同じ経理の業務を細分化して行っています。
経理の仕事はすべて同じと思っている方も多いのですが、そうではありません。
例えば「売上を上げる」にしても、売上を上げるための資料を作る、その資料を使ってお客さんを呼ぶ施策をする、人前で話をして宣伝する、実際にクロージングをする、などさまざまな業務があるように、経理業務にも違いがあるのです。
複数人で行うことにより、ミスがない環境を作り出すことが大事です。
当社では複数人のチームを作って経理業務を代行し、10勝0敗の状態を維持していきます。

派遣社員を受け入れる

1人経理の解消方法

コストを抑えつつ増員するなら、派遣社員の受け入れも1つの方法です。派遣社員の給与は高めなものの、賞与や社会保険、福利厚生や退職金などが不要なため、トータルで見るとコスト減になります。

31日以上なら短期での受け入れも可能ですし、紹介予定派遣であれば、一定期間後に優秀な人材を正社員として迎えられる可能性もあります。

ITの導入で効率化する

1人経理の解消方法

会計ソフトや支払管理・債務管理などのシステムを使っていないなら、導入して業務を自動化するのも効果的です。

システム化すれば作業効率が上がり、1人経理の負担を大きく軽減できます。

インストール型の会計ソフトを使っている場合も、クラウド型に変えることで情報共有ができるようになります。

経理をアウトソーシングする

1人経理の解消に経理アウトソーシング

社内での解決が難しい場合は、外部委託、いわゆるアウトソーシングも1つの方法です。経理業務の一部でも丸投げでも代行依頼が可能です。

アウトソーシングすれば業務内容が可視化され、社内での不正を防げます。経理の専門知識を持つスタッフが作業するので、正確さの面でも安心です。

急な退職で困ることもなくなるほか、人を雇うのに比べてコストや教育など手間の削減も見込めます。

1人経理の解消に「Bricks&UKアウトソーシング」

「1人経理」の状態は、ミスや不正に気付きにくいほか、社員には心身ともに大きな負担がかかり、突然の休職や退職といった事態につながりかねません。

リスクの大きさを考えると、1人経理の状態は解消するのが得策です。現状を把握し、必要なら増員やシステム導入による業務効率化などを検討してください。

社内での解決が難しい場合は、思い切ってアウトソーシングするのも1つの方法です。

当社「Bricks&UKアウトソーシング」では、丁寧なヒアリングのうえ、業務フローの最適化などからお役に立ちます。ぜひお気軽にご相談ください。

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