経理の採用が難しい…見直すべき点と人手不足の対処法を解説2025.02.28

経理ができる人を採用したくても、「求人募集をしても応募が来ない」、せっかく即戦力となる人を採用しても、「すぐに辞めてしまった」と頭を悩ませる中小企業の経営者は少なくありません。
経理には専門知識が必要なので、欲しいのは即戦力となる経験者。かといってバックオフィスに人件費はあまりかけられない…となると、転職の売り手市場も相まってなかなか難しいものです。
そこで今回は、経理人材の採用が難しいと感じている方に、優秀な経理人材を採用するために見直すべきポイントを紹介、採用が難しくてもすべきではないNG行為についても解説します。採用する以外の問題解決方法も提案するので、ぜひ参考にしてください。

目次
経理人材の採用が難しい理由
経理の採用が難しくなっているのには、大きく次の3つの理由が挙げられます。
- 労働人口の減少と売り手市場
- 多様な働き方へのニーズ
- 自社向き人材の見極めの困難さ
それぞれ具体的に見ていきましょう。
労働人口の減少と売り手市場

少子高齢化で労働人口が減り、採用する企業より求職者が有利となる売り手市場が続いています。なかでも経理はつぶしの利く仕事と言われており、常に複数の求人がある状態です。
大企業を含めた多くの会社が経理人材を募集しているため、求人広告を出してもまず、多くが埋もれてしまいます。
また、応募する側は複数社にアプローチするのが一般的なので、自社に応募はしても、他により良い条件の企業があれば流れてしまいます。
多様な働き方へのニーズ

育児や家事、介護などとの両立やワークライフバランスなどのため、ほとんどの人は給与の額だけでなく、働く環境や条件を重視して職場を選びます。
しかしたとえば中小企業では、会社に1人しか経理担当を置かないケースも多いのが実状です。1人では必然的に休みも取りにくく、責任が重い、残業も必須などと大変なのが目に見えているため、敬遠されがちです。
自社向き人材の見極めの困難さ

経理業務にはルーティン作業が多いですが、会社や業種によってやり方が違うことも多数あります。そのため、経理経験者だからといって、自社でも即戦力として活躍してもらえるとは限りません。
長年の経理経験があっても、ずっと手作業で会計システムは触ったことがない、大企業で一部の業務しか担当してこなかった、という人もいます。
自社と同じ業界で同じような経理業務をしていた経験者、かつ即戦力が応募してくる可能性は、決して高くありません。
経理の採用が難しいときに見直すべきこと

では、「求人広告を出しても応募が来ない」「応募は来てもいい人材がいない」といった場合、どうすればいいのでしょうか。まずおすすめしたいのは、次の4つの項目を見直すことです。
- 求人広告の記載内容
- 求人募集の方法
- 自社の待遇・労働環境
- 教育体制の構築
どれが欠けていても、定着してくれる優秀な人材の確保はできません。それぞれ見ていきましょう。
求人広告の記載方法

求職者が応募先企業を決めるために、まず見るのが求人広告です。公式ホームページやSNSアカウントなどがなければ、自社を知ってもらう手がかりは求人広告の中身だけです。しかし、「面倒だから」と必要最低限の記載だけで終わっていないでしょうか。
会社の情報や募集する経理業務の範囲、使用する会計ソフトや求める人物像など、条件をより具体的に記載することで、求職者は応募がしやすくなります。
ただし、求めるものが多すぎたり、「アットホームな職場」など古い時代を思わせるような文言を記載したりしても敬遠されがちなので、注意が必要です。
求人募集の方法

求人募集には、ハローワークに求人票を出すほか、新聞やインターネット、地域のフリーペーパーへの出稿、自社ホームページへの掲載など、さまざまな方法があります。その中で、欲しい人材が見るであろう媒体を選ぶことが重要です。
たとえば週3日のパートなら、主婦向けの転職サイトやフリーペーパーの広告を使う、経験豊富な経理人材を探すなら、経理専門の転職エージェントを利用するなど。
若者なら、SNSや簿記専門学校などへのアプローチも選択肢に入ります。特にこだわりがなければ、紹介予定派遣で正社員候補を紹介してもらうという手もあります。
自社の待遇、労働環境

同じような経理人材を募集する他社の広告と自社の広告とを見比べ、条件などを見直すのもおすすめです。基本的な給料のほか、特に注目されるのは、住宅手当や食事手当、皆勤手当といった福利厚生、育休や短時間勤務など働きやすい制度の有無とその利用状況などです。
ただしもちろん、「求人広告と実際の条件が違っていた」とあっては、すぐに退職されてしまったり、内容によっては労基法違反となったりします。求人広告には事実のみを記載してください。
教育体制の構築

経理人材の募集では「経験者」を条件とするケースがほとんどです。しかしそれで見つからない場合には、「未経験者」も視野に入れてはどうでしょう。ただしそれには、社内に経理担当を複数人置くこととし、自社で人材を「育てる」環境を作ることが必須です。
経験の長さからこだわりが強く環境に適応しにくい経験者もいる中、未経験者をしっかりと育てた方が早く自社になじんでくれる可能性もあります。教育によって社員同士のつながりが強くなれば、定着率も高まります。
経理の採用が難しいときにやりがちなNG行為
いい人材が見つからないと、「早く見つけなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、ここで次のようなことをするのはNGです。
- 採用のハードルを安易に下げる
- 肝心な点を妥協する
いずれも、採用後に自社の求める人物と違うとわかって管理に苦労したり、当人がすぐに辞めてしまったりする恐れがあります。
採用のハードルを安易に下げる

応募者側のハードルを安易に下げるのは禁物です。こちらのハードルを下げると、応募者のレベルも下がるおそれがあるからです。
たとえば、もともとは担当課長の面接、次に社長面接の予定だったのが、面接を1回だけにしてしまう、もしくは、予定していた筆記テストやそれまでの採用で必須としていた要件をなくしてしまうなど。
優秀な人材であれば、面接が2度でも応募しますし、応募するかどうかを筆記テストの有無で決めたりはしません。会社にとっても、1度きり、1人による面接より複数人の目で判断した方が、より的確な見極めができるはずです。
肝心な点を妥協する

完璧な人材を求めると難しいので、ある程度は妥協することも必要です。しかし、安易な妥協は後悔や採用後の早期退職の原因となります。
たとえば前の章で、教育を前提にした「未経験者」の採用も推奨しました。しかし、教育の体制や余裕がない場合には、やはり経験者に絞るべきです。仕事が回らなければ、コストだけが無駄にかかり、当人の成長や定着も難しいでしょう。
採用以外で経理の人手不足を解消する方法
経理の人手不足で採用を考えている場合、自社で採用する方法以外にも、次のような解決方法があります。
- 経理業務を効率化・自動化する
- 経理代行サービスに外部委託する
それぞれ見ていきましょう。
経理業務を効率化・自動化する

経理担当者の残業が多いのに業務の見直しをしていない場合、業務に無駄が生じている可能性があります。
まずは経理業務の棚卸しを行います。課題を洗い出したら、効率化・自動化に着手しましょう。作業負担が減れば、新たに人を採用する必要がなくなるかもしれません。
たとえば手書きからデータ入力への移行、システム導入による帳簿への自動転記、不要な慣例作業の撤廃、マニュアル作成による属人化の解消などが効果的です。
経理代行サービスに外部委託する

経理業務は自社内で完結すべきだと思われがちですが、そうではありません。採用が難しいなら、経理を外部の業者に委託することも可能です。
自社で人材を雇うよりも低コストでできる可能性が高く、教育や労務管理の必要もありません。当人のコミュニケーション能力や環境適応能力、責任感などを考慮する必要も皆無です。
経理代行サービスには、一部の業務を代行してもらうことも、丸投げすることも可能です。自社に必要な範囲で利用できるのも便利なところです。
経理人材の採用が難しいなら外部委託も検討しよう

経理人材の採用は、求めるものが大きいほど難しくなります。経験者を雇えればよいかと思いきや、自社で必要な作業が不慣れで未経験者同然だったりすることも。
求人募集からのコストや手間を考えると、各種ソフトやシステムの導入による効率化・自動化や、経理のアウトソーシングも視野に入れるのがおすすめです。
当社「Bricks&UKアウトソーシング」は、税理士法人を母体とする経理代行サービス会社です。中小企業の皆様のサポートを得意とし、最適な業務フローのご提案や1カ月のお試しなど、状況に応じて便利にご活用いただけます。
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