経理の非効率な業務フローに潜むリスクと改善の進め方2025.11.27

「ウチの経理は担当に任せてあるから大丈夫」と安心している事業主の方も多いですが、本当に大丈夫でしょうか?
経理は業務が多岐にわたるものの、人手がかけられない部署の1つ。そのため、非効率などのムダが発生しやすく、外からは見つかりにくい傾向にあります。
しかも、非効率な業務フローは致命的なミスや不正などによる資金繰り悪化のリスクもはらみます。すぐにでも改善して、効率化と体制強化をすすめましょう。
今回は、経理の基本の業務フローと非効率が招くリスク、具体的な改善のステップをわかりやすく解説します。
目次
経理の主な業務と基本の流れ

まずは経理の主な業務と作業の流れを見ておきましょう。
経理業務には3つの時間軸がある

経理は、日次・月次・年次という3つの時間軸で動いています。それぞれで次のような業務を行います。
| 業務の種類 | やること |
|---|---|
| 日次業務 | 毎日の領収書の整理、小口現金の管理、経費精算の受付、仕訳入力 など |
| 月次業務 | 月々の給与計算、請求書の発行・支払、売掛金・買掛金の管理、月次決算のための集計作業 など |
| 年次業務 | 年に一度の決算業務、年末調整、法人税や消費税の納付 など |
どれか1つでも滞ると、財務状況が把握できなくなり、決算が遅れるなど経営にも影響が及びます。
日次・月次・年次の業務フロー

日次・月次・年次の業務は、それぞれが独立しているのではなく、時間軸をまたいで連鎖しています。
たとえば、「売上代金を回収する」という業務については、次のように動きます。
| 時間軸 | やること |
|---|---|
| 日次業務 (取引の発生) | 売上が発生したら、売上の事実と売掛金の仕訳を帳簿に記載し、売掛金の残高として記録 |
月次業務 (集計と回収) | 月末などの締め日に、日次の記録を集計して請求書を作成・送付 その後、入金を確認したら売掛金残高の消込作業を行い、未回収がないか管理 |
| 年次業務 (実績の確定) | 1年間の月次集計を統合して決算書を作成 この決算書にもとづき、法人税など税金を納付 |
日次業務での正確な記録が、月次業務の基礎となり、月次業務の集計が年次決算の材料となります。日次・月次の業務をきちんとしていないと、年次業務がより大変になります。
業務フローの非効率が招く経理のリスク

業務フローは、経理に詳しく、かつ部署全体を管理できる人物がいなければ、非効率になりがちです。非効率な作業はムダを生み、「人」や「お金」、「信頼」の面でさまざまなリスクに直結します。
属人化と特定の人の負担増

マニュアルなどがない状態で分業化されていると、業務を個人の知識や記憶、経験に依存する属人化が起きます。
属人化には、担当者が病欠や退職などで不在となった場合にトラブルとなりがち。わかる人が誰もおらず、業務がストップしてしまうからです。
知識や記憶を頼りにする作業には、往々としてムダな作業も含まれます。効率が悪いために作業量が多く残業になり、体力的にも精神的にも大きな負担となります。
支払遅延などによる信用の低下

非効率でムダなフローで業務が圧迫されると、単純な小口現金の管理や経費精算の処理にも時間がかかることに。まずは社内の他部署からクレームが入ることも少なくありません。
社外に対しても、請求書の承認や支払いが遅れるなどすれば信用は落ちてしまいます。また、二重請求や金額間違いといったミスを犯すと、確認や修正にもムダに時間と手間がかかります。
請求もれなどによる資金繰りの悪化

経理の業務フローが確立されていないと、資金繰りにも影響を及ぼします。
請求もれがあったり、売掛金の回収が遅れたりすると、入るべきお金が入らない状態に。入金確認や督促も業務フローに組み込まれていなければ手が行き届かず、キャッシュフローが悪化してしまいます。
キャッシュフローの悪化を放置すると、資金のショートにつながります。売上はあるのに手元にお金がない「黒字倒産」のリスクも高まります。
法令違反と致命的なミス

経理業務には、ひんぱんに行われる法改正への対応も必須です。しかし、業務フローに組み込まれていなければ、対応が遅れ、意図せず法令違反を犯すリスクも生まれます。
手作業で帳簿付けを行っていたり、決算書を作成していたりすると、ヒューマンエラーも避けられません。計算ミスなどがあれば、財務諸表の正確性も保てず、誤った経営判断につながりかねません。
チェック体制の不備による不正

業務フローに不備があると、業務をチェックする機能がない、あるいはあっても形骸化されている可能性が高いです。それで怖いのは、経理が水増し計上や着服といった不正の温床になりやすいこと。
不正は、気づかれないとエスカレートする傾向にあります。発覚した時にはもう遅く、多額のお金が流出している事態にもなりかねません。そうなれば、経営に大きなダメージになると同時に、金融機関や得意先からの信頼も失うことになります。
経理の業務フロー改善の3ステップ

経理の業務フローの不備によるリスクを抑えるには、次のようなステップで改善していく必要があります。
- 1. 現状把握とムダの可視化
- 2. 業務の整理と再構築
- 3. ITツールの導入と定着
順に見ていきましょう。
現状とムダの可視化

まずは経理業務の全体を可視化します。
日次・月次・年次ごとに、誰が何を、どんな手順で、どのツールを使って行っているかを書き出していきます。まずは個別でリストアップしましょう。
属人化されている業務も同じくリスト化し、誰が何をしているのかを把握します。
リスト化された業務内容から、二度手間になっている部分や、順番が逆の方がスムーズ、などのムダを特定します。
業務の整理と再構築

各自のフローをまとめ、ムダを排除した全体の業務フローに整えていきます。簡略化できる承認項目や、形骸化している作業もこの機会になくしましょう。
請求書や支払いの手順を簡略化して、業務の効率を上げるフローに再構築します。
担当者によってやり方が異なるのであれば、効率がよく、ミスの出ない方に合わせ、標準化したマニュアルを作成します。
ITツールの導入と定着

手書きや手入力、転記といった手作業のムダやミスをなくすため、自動化できる部分はITツールを導入するのが得策です。まずはクラウド会計ソフトを導入し、銀行口座やクレジットカードを連携させましょう。仕訳を自動化でき、ややこしい帳簿付けから解放されます。
経費精算システムを導入すれば、領収書の処理や精算を自動化でき、ペーパーレス化も進められます。ムダをなくすだけでなく、電子帳簿保存法にも対応できて一石二鳥です。
業務フロー改善で自社にかかる負担

社内で業務フローを改善する際は、通常業務と並行する必要があります。そのため容易ではなく、特に次のようなことがネックとなります。
業務設計するための知識が必須

業務フローを改善するには、業務設計やIT化に関する専門知識が必須です。
まずは数ある会計ソフトや経費精算システムの中から、自社に合ったものを選ぶことから始まります。これは経理の知識だけでできることではありません。知識がないまま選んだり、合わないものを選んだりすると、中途半端になるなどして効率化できない可能性も高いです。
担当者の時間的・精神的負担が大きい

日次・月次などの通常業務を行いながら業務フロー改善の作業を行うことで、もっとも大きな負担を強いられるのは担当者です。
改善には効果の検証やマニュアル作成、新しいツールに関する研修など、付随するさまざまな業務もあります。改善のために残業が増えれば、精神的にも大きなストレスになります。
通常業務がストップするおそれがある

改善に必要な業務の洗い出しや無駄な作業の廃止などを進めていると、やるべき通常業務が滞ることもあります。改善を途中で止めてしまえば元も子もなくなるので、社内業務などに多少の犠牲が出てしまうことも。
また、改善後も、新たなフローで慣れるまでは、確認に時間がかかるなどして、支払いや入金確認などの業務が遅れる可能性も。直後はミスが起きやすくなるので、いっそう注意が必要です。
経理アウトソーシングの活用とそのメリット

専門的な知識や担当者の負担増など、業務フロー改善にともなうデメリット。これを解消するには、社内でなく社外に経理を任せ、効率よい体制で進めてもらうという選択肢があります。
経理アウトソーシングとは、請求書の発行や振込など日常の定型作業を外部の専門家に代行してもらうサービスのこと。アウトソーシングの活用には、次のように大きなメリットがあります。
外部専門家の知識を活かせる

アウトソーシングの最大のメリットは、採用や教育などにかかる自社の時間と費用を節約しつつ、外部の専門的なナレッジで経理を処理できることです。
経理アウトソーシングを請け負う業者には、業務フローの改善から相談できるケースが多いです。自社に合ったITツールやシステムを導入して、業務を最適化することができます。
最近では電子帳簿保存法やインボイス制度など、経理に関する法や税制の改正はよくあります。その対応も任せられるので、時間や手間だけでなく、担当者のストレスや人的ミスの削減にもなります。
社員はコア業務に集中できる

経理アウトソーシングの活用で、担当者は手間や時間のかかる単純作業から解放されます。
そのため、より事業経営に直結するコア業務、売上分析やキャッシュフローの改善、資金繰り計画といったコア業務に集中できるようになります。
時間的な余裕が生まれれば、忙しくてはなかなか着手できない業務の見直し・改善、マニュアル作成などの業務にも、積極的に取り組むことができます。
属人化が解消できる
アウトソーシングすれば、属人化もおのずと解消されます。客観的に手順や作業方法を見直し、効率化します。
代行業者は多くの場合、複数人体制で業務を代行します。社内の担当者が1人いる・いないで業務が滞ることがなく、退職・異動などの影響も受けません。
チェック体制も整っているため、業務品質を保て、ミスを防止できます。ブラックボックス化による不正の心配もありません。
業務フローの改善にも経理アウトソーシング

経理の業務フローは、担当者まかせだと非効率になりがちで、残業やミス・不正などのリスクをはらみます。自社内で改善しようと思っても、業務設計には知識も必要ですし、その時間すら取れないことがほとんどでしょう。
しかし非効率な業務フローやミス・不正の可能性を放置するわけにもいきません。そこで考えたいのが、アウトソーシングを活用すること。専門知識のあるプロに任せることで、無駄をなくし、自社に合ったITツール・システムを導入し、効率化させることができます。
まずは丁寧なヒアリングから、状況に合った最適なご提案をいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

