経理アウトソーシングの料金は何で決まる?費用を抑えるポイントとは2024.11.19
【この記事の監修者】 株式会社Bricks&UK Outsourcing業務コンサルタント
経理の業務設計・運用に優れたコンサルタントが、効率的で正確な業務請負いをお約束します。
経理をアウトソーシングする主な目的は、業務効率化とコストの削減です。一般的に、経理担当の社員を雇うより代行業者に委託した方がコストを削減できます。
しかし、委託前の準備や利用の仕方によっては、パート社員を雇った方が安くついたかも?というケースもあるので注意が必要です。
今回は、経理のアウトソーシングのメリットである「コストの削減」をいかに実現させるか、費用を抑えるポイントを紹介します。
目次
経理代行費用の目安と料金を決める要素
経理アウトソーシングの料金は各社の料金設定によって違いますが、次のような要素によっても大きく異なります。
- 依頼側の状況(企業規模・売上など)
- 委託する業務(業務量・納期など)
- 委託する業者の種類(税理士、経理代行業者など)
依頼する企業の状況も、委託する業務もさまざまです。料金に影響する要素は業者によっても異なるため、相場も一概には言えません。
参考までに、中小企業向けに経理アウトソーシングを請け負う当社の場合、月に10万円~15万円のご利用が最も多くなっています。
ただし、個人事業主であれば5万円以下で収まる方もいますし、社員数の多い会社では20万円やそれ以上となるケースもあります。
各ケースでの費用相場については、こちらの記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
まずは料金が上記の要素でどう変わってくるかを見ていきましょう。
依頼側の状況(企業規模・売上など)
クライアント側の状況とは、具体的には次のような項目です。これらによって料金が変わります。
- 資本金額
- 前年度の売上高
- 取引の形態
- 業種
- 取引の量
- 従業員の人数
それぞれについて説明します。
資本金額・売上高は基本料金に影響
資本金額や前年の売上高によって、基本の料金が決まるケースが多く見られます。
いずれも、金額が多いほど基本料金も高い傾向です。
取引形態や業種の一部は追加料金の対象
海外取引や手形による取引、製造原価による計算など、特殊な経理処理が必要となる場合も、追加料金がかかって割高になる傾向に。
業種で言うと医業や建設業、金融業、不動産業などが対象となっています。
取引量や従業員人数に比例
経理アウトソーシングの料金は、業務ごとに一律の場合もありますが、多くは従量制を取っています。
たとえば記帳は、仕訳数によって金額が決まることが多いので、取引の量が多いほど料金が高くなります。
給与計算では、「従業員1人あたり○○円」で計算するため、人数が多いほど費用がかかります。
委託する業務(業務量・納期など)
委託する業務内容は企業により大きく異なります。次のような要素も料金に大きく影響します。
- 委託する業務のボリューム(量)
- 業務の範囲
- 納期
- 委託時期
- 代行の難易度
業務のボリューム(量)や業務の範囲
「経理」と一口に言ってもさまざまな作業があるため、項目ごとに料金が決められています。たとえば「記帳代行」「給与計算」「請求書の送付代行」など。依頼する業務範囲が広いほど、料金は高くなります。
また、前述のように従業員数や取引数が多いほど高くなる作業もあります。
一部の業務を委託するほか、「1人だった経理担当者が退職してしまった。その社員がやっていた日常業務を委託したい」という場合もあるでしょう。経理1人分くらいの業務量であれば、人件費の50%~60%が目安です。
ただし、大量に委託することで割引・値引があるケースもあります。交渉してみるのも1つの方法です。
作業の納期や委託時期
希望する納期や代行の依頼時期によって、追加代金が必要となることがあります。
たとえば、経理業務の繁忙期である月末月初や四半期末、年度末などに急な作業を依頼する場合や、3日や5日、10日といった短い納期で作業してもらう場合など。
代行業者側で増員など体制を整える必要性も出てくるため、短い納期には「特急オプション」などを設けて対応しているところが多いのです。
代行の難易度
次のような作業も、料金設定が高くなる、もしくはオプション(追加代金が必要)となる可能性が高いです。
- 退職した人による資料の作成
- 顧客や従業員ごとに異なる対応
- 決算書の作成
- 年末調整
たとえば経理業務が属人化していた場合、独特の方法で書類作成などが行われていることが多々あります。たとえばExcelなどの資料で作成者によるクセがある場合、そのまま引き継ぐのは簡単ではありません。
また、顧客によって値引きや単価の変更が必要な場合や、部署により給与体系が異なる場合などのイレギュラー対応も、手間がかかるため追加料金での対応となります。
そして、資格を持たない業者の場合、請け負うには税理士などと提携する必要があるため、料金も高くなります。
業者の種類(税理士法人、経理代行業者など)
経理を代行する業者には、大きく分けて次の3種類があります。それによっても料金に差が出ます。
- 税理士や行政書士などの有資格者
- 経理代行サービス会社
- フリーランス経理
代行料金が最も高いのは、国家資格を持つ税理士や行政書士などによる代行です。ただ、税理士の場合、税務の顧問契約をすれば多少は安くなったりもします。
経理代行サービス会社(経理アウトソーシング会社)は経理業務に特化した会社であり、国家資格者より安価で委託できます。フリーランスと比べると料金は高い傾向にありますが、信頼性などの面では個人より上でしょう。
フリーランスの場合は、経験年数の短い人や長い人、簿記などの資格を持つ人や持たない人など、さまざまな人がいます。安価な傾向ですが、税理士など難易度の高い資格を持つ人が個人で請け負っている場合も。スキルの個人差が大きいので、料金にも差があります。
経理代行の費用をできるだけ抑えるポイント
では、なるべく費用を抑えつつ、質の良い委託先に代行を頼むにはどうすればよいのでしょうか。
次のようなポイントを押さえることで、無駄な料金を払うことなく適切なサービスを適切な料金で受けられる可能性が高まります。経理代行に委託するまでもなく効率化できる可能性もあります。
現状から予算を把握する
まずは、経理業務にどれだけ社内リソースを使っているかの現状を把握しましょう。正社員が1人なのか、パート社員が2人なのか、何時間勤務でいくらの人件費がかかっているのか。
代行業者は、人数や時間などからおよその業務量を測り、請け負った場合の料金を見積もります。
頼む側は、出された見積もりの額が業務効率化とコストカットの目的に合うかどうかの判断がしやすくなります。
経理の棚卸しでムダを見直す
経理担当者が現在行っていることをすべて洗い出し、業務の流れも確認しましょう。慣例で無駄な作業を行っていたり、二度手間になっていたりする恐れがあります。
それらを見直すだけでも、業務の効率化ができ、不要な業務まで委託して無駄な料金を支払うこともなくなります。委託するにも、何が最もネックとなっているかを知ることは重要です。
丸投げでなく一部を委託する
経理代行サービスには、経理業務をすべて丸投げすることもできますし、業務の一部を委託することもできます。
もちろん楽なのは丸投げですが、費用も高くなります。
そのため、大きな負担となっている一部の業務のみの委託も視野に入れましょう。経理人材の成長や将来の内製化という点では、丸投げはデメリットにもなり得ます。
通年ではなく繁忙期のみ委託する
委託の期間も検討すべき事項です。通年での利用が便利ですが、やはり費用は高くなります。
決算などの繁忙期のみの利用で、従業員の残業代などと比較してどうかを検討するとよいでしょう。
ただし前述のとおり、繁忙期に納期の短い委託をすると追加料金などで高くつくため、余裕をもって依頼する必要があります。
他部署など社内の理解を得る
経理代行への依頼は、他部署にもあらかじめ理解を得る必要があります。委託にあたり、社内ルールや業務フローの変更が必要となるケースが多いからです。
個人やクライアントごとのイレギュラー対応ができなくなったり、行うには料金がかさんだりします。
理解を得ずにアウトソーシングすれば、社内で混乱が生じることも。ルールが守られなければ、アウトソーシングのメリットも限られてしまいます。
会計ソフトやシステムを導入する
会計ソフトを使っていなければ導入する、インストール型の会計ソフトを使っているならクラウド型に移行するなど、自社内でできる業務効率化も検討しましょう。
経費精算システムや請求書発行システム、給与計算システムなどの導入なども効果的です。
代行業者にシステム導入からサポートしてもらうと、その分の費用がかかります。また、業者によって対応ソフトが限られ、変更によって高額になるケースもあるので注意が必要です。
選定のために相見積もりを取る
業者はいくつもあり、料金設定はさまざまなので、必ず相見積もりを取って比較してください。特に自社独自の経理処理を必要とするケースでは、追加料金などでトータル費用が大きく変わってきます。
「どこも同じようなものだろう」と考えて安易に選ぶことはおすすめできません。
料金だけで決めない
「安く抑える」ためのポイントではありますが、安さだけで決めると損をする恐れもあります。代行業者の選定は、料金だけでなく業務の質やセキュリティ、信頼性や相性などを総合的に見て決めてください。
たとえば業務の質が悪く資料にミスが多ければ、経営判断に悪影響となりかねません。セキュリティ意識が低ければ、情報漏えいによる信頼の失墜や損害賠償など、大きな損失となる恐れもあります。
委託先を選ぶ際のポイントや、アウトソーシングを成功させるためのポイントについては、こちらの記事で解説しています。ぜひ読んでみてください。
自社に合った使い方でコストを削減
経理アウトソーシングの費用は、さまざまな要素によって決まります。会社規模などは変えられないとして、必要とするサービスの範囲や時期、委託先を厳選してムダなく活用したいものです。
まずは自社の経理業務の現状を把握し、できるところは効率化しておくのがおすすめです。委託の際に余計な費用がかかるのを防げますし、委託の必要がなくなる可能性もあります。
コストカットのために委託したのに、会計ソフトの導入やイレギュラー対応への追加代金で思いのほか高額になった、というケースもあります。
できる準備は行って、最大限に活用してください。
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