自社はどのパターン? 経理のアウトソーシングが定着しやすい会社と、定着しにくい会社2021.10.04

【この記事の監修者】 株式会社Bricks&UK Outsourcing業務コンサルタント
経理の業務設計・運用に優れたコンサルタントが、効率的で正確な業務請負いをお約束します。

数多くの会社でいま必要とされているのが、自社の経理業務を委託できる、いわゆる経理アウトソーシング会社です。

ただ、経理アウトソーシングの利用には会社の実情によって向き・不向きもあります。なかには、費用をかけて経理のアウトソーシングをしたものの、うまくいかなかったケースもあるのです。

この記事では、年間数百件の企業様のお話を伺い、実際に経理代行の現場に立ち会っている筆者がこれまで見てきて感じた、経理代行で成功する会社と失敗する会社との違いや、実施に向けた注意点を解説していきます。

経理アウトソーシングが成功しやすい会社の特徴

経理代行に成功する会社

経理の仕事をアウトソーシングし、定着して成功している会社には主に次のような特徴があります。

  • 経理担当者が短いスパンで何度も代わっている
  • 経理の業務フローの中に、営業マンが入っている
  • マネージャー職と一般社員との距離が近く、意思疎通ができている

それぞれ見ていきましょう。

経理担当が短いスパンで入れ替わっている

「え?そんな会社が成功するの?」と意外に思われるかもしれませんが、経理担当が短いスパンで何度も代わっている会社は、経理アウトソーシングに向いていると言えます。

なぜなら、前任から引き継いだ担当者がそのつど業務をわかりやすくする工夫を重ね、業務が可視化されている、たとえばマニュアルとはいかないまでもメモに残されている、資料がわかりやすくまとめられている、ということが多いのです。

業務のやり方や進め方が第三者にもわかるようになっているということは、社外にも委託しやすい状況になっているということです。

こういった状況は、経理担当者が退職してしまい、そのあと何人か経理の採用をしたもののことごとく失敗、やむなく経理アウトソーシングを検討した、という会社に多い傾向にあります。

経理の業務フローの中に、営業マンが入っている

営業マンが経理担当者とよくコミュニケーションをとれている会社では、経理アウトソーシングへの引き継ぎもスムーズにできることが多いです。

たとえば請求書発行を行う際に、営業マンが経理担当に納品や売り上げの情報をリアルタイムで伝えてくれる流れができている。そうなれば計上漏れやタイムラグがなく、正しくかつ滞りなく請求書発行を行うことができるのです。

日常的に良好なコミュニケーションが取れている会社なら、経理アウトソーシングの利用を始めてからもミスやトラブルは少なく済みます。たとえば物理的にリモート勤務となった場合でも、何かあれば「経理に情報を伝えなくては」という考えが根付いているので、経理アウトソーシング会社に情報がきちんと伝わるのです。

マネージャー職と従業員の距離が近い

経理をアウトソーシングするにあたっては、管理体制や業務フローなどが変更になった場合に、マネージャーなど管理職がいかにそれを社員に迅速に伝えられるか、社員がいかに早く対応できるか、という点が成功に大きくかかわってきます。

「経理アウトソーシングを入れれば即日で業務が回る」というイメージがあるかもしれませんが、それは指示をする側と受ける側での意思疎通ができていてこそです。

経理アウトソーシング会社の人間は、もちろん経理業務のプロとして業務内容や引き継ぎ事項の把握にも長けています。社内で新しい経理担当を雇われるより確実で、精度の高い仕事ができます。それでもやはり、委託元と委託先の普段からの連携は欠かせないのです。

たとえば経費精算1つとってもそうです。それまで特にルールがなく都度精算をしていたところを、経理のアウトソーシングを行うことによって「毎月5日までに提出」となったとしましょう。

それまでは柔軟に対応してくれていたのに、ルールが決められたことに抵抗を感じる社員も多いと思います。それでも新しいルールをすぐに守って実行できるかどうかは、管理職からの指示系統が上手く働き、それに応える体制になっているかが重要なのです。

経理アウトソーシングが失敗しやすい会社の特徴

経理代行に失敗する会社

前章で紹介した成功の逆を行くパターンが、経理アウトソーシングが定着せず失敗する会社の主な特徴と言えるでしょう。それ以外も含めて、次のような特徴が挙げられます。

  • 数十年勤務してきた経理スタッフが退職した
  • 紙ベースの経理業務から抜け出せていない
  • 経理担当の社員がアウトソーシングに後ろ向きである
  • 経理部門と営業部門の連携が取れていない
  • マネージャー職と一般社員の意思疎通ができていない

こちらもそれぞれ説明していきます。自社に当てはまるものがある場合には、経理アウトソーシングを利用する前に改善できるところは改善し、トラブルを防ぎましょう。

数十年勤務して来た経理スタッフが突然退職

一人の担当者が長いこと同じ業務を担当していた場合は、経験だけですべての処理を行え、担当者自身で完結できてしまいます。そのためマニュアルもなく、退職後には手書きのメモが机の周りにペタペタ貼ってあるだけ・・・なんてことも多々あります。

なるべく普段から、一人でなく二人体制で業務を行うなどして属人化させない体制にしておくのがベストです。もしくは、誰にでも理解できるようなマニュアルを作らせておくとよいでしょう。

紙ベースの業務から抜け出せていない

数十年前と今では、経理を取り巻くシステムも様変わりしています。しかし、いまだ紙ベースの処理ですべてを行っている会社も多いものです。そのため無駄が多く、より煩雑なフローになってしまっていることもあります。

システムの導入には費用がかかることもありますが、業務の効率化や健全な経営環境を考えると、時代に合ったシステムの利用も検討する価値は十分にあるはずです。

担当者がアウトソーシングに後ろ向き

中には、経理担当の社員がアウトソーシングに賛成しておらず、アウトソーシング会社への引き継ぎに非協力的なケースもあります。

その理由はさまざまですが、たとえば次のような原因が潜んでいたりします。

  • 社長が世代交代し、新しい社長と馬が合わずけんか別れ
  • 自分のポジションが脅かされると懸念して、業務を抱え込んでしまう

こういったケースでは、稀に自分の行っていた業務の書類などを隠してしまったり、引き継ぎで間違ったことを教えてしまったりする恐れもあります。

担当者の状況や性格などから、あらかじめアウトソーシング化の動きを伝え、協力してくれるようにコミュニケーションを工夫しながら進めることが必要です。

経理部門と営業部門の連携が取れていない

営業部門と経理部門というのは、フロントオフィスとバックオフィスなど業務の性質の違いなどから連携がうまく取れないという悩みを抱える会社も多いものです。

同じ社内であればそれでも経理担当者の工夫・苦労の上になんとか回っていくものではあります。しかし経理部門をアウトソーシングするとなると、協力体制はより整っていないとスムーズにはいきません。

日頃から業務を円滑にしていくには、管理職など上層部からまずコミュニケーションを改善する必要があるのではないでしょうか。

マネージャー職と一般社員との意思疎通ができていない

現場社員とマネージャーなど管理職との距離が遠く、コミュニケーションがあまりとれていない会社は少なくありません。

しかしそれではどうしても現場にルールが伝わりにくく、社員全員が理解・実行するまでに時間がかかるだけでなく混乱が生じることも。これも社内であればどうにか回っていくものですが、アウトソーシングという別の会社が入ることになればより難しくなります。

やはり社内のコミュニケーションは社内で改善していくほかないでしょう。管理職側から歩み寄り、部下に理解と協力を得るのが一番の近道だと考えられます。

まとめ

経理のアウトソーシングを視野に入れる企業様は多いですが、委託すればすぐ何もかもうまくいくというわけではありません。うまくいくかどうかは、社内の雰囲気や、部署間・上下間の日頃のコミュニケーションが大きく関わっていると感じます。

この記事で紹介した経理アウトソーシングに向かない会社の条件に当てはまった場合には、現状を変えることでアウトソーシングするか否かに関わらず職場の環境を向上させることができるでしょう。

とはいえ、現状を変えることが難しい場合でも、経理アウトソーシング会社にはさまざまな種類があり、サービス内容や特徴が異なります。数社に問い合わせるなどして、自社に合ったサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

TOPへ戻る

貴社のお悩み・課題を
お聞かせください
見積もり依頼・ご相談
お気軽にどうぞ

© Bricks&UK